作品タイトル不明
556話 真アルテラ戦・その7
みんなのおかげで、アルテラに続く道ができた。
クサナギを手に、炎の道を一気に駆ける。
「このっ、しつこいなぁ! 死んじゃえ! 死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえええええぇぇぇっ!!!」
接近する俺を迎撃するため、アルテラは炎の翼を背中に生やした。
両手を左右に広げ、そして前に突き出す。
その動きをトレースするかのように、炎の翼がはばたいて、そこから雨あられと炎の羽が飛んできた。
一撃はファイヤーボール並の威力だろうか?
しかし、その数は百以上。
いや、千に届くかもしれない。
骨の欠片も残してやらないというような、アルテラの強い殺意を感じた。
ただ、そう簡単にやられてやるつもりはない。
俺にできることを全て。
粘り粘り続けて、そして、その喉元に食らいつく!
「アイギス!」
一度、クサナギを折りたたみ、収納。
代わりに両手を前に出して、左右に魔力の盾を形成した。
「ぐっ」
炎の羽の嵐がぶつかる。
ものすごい熱と圧力。
津波に抗うかのような感覚で、一気に速度が落ちてしまう。
しかし、足は止めない。
みんなが切り開いてくれた道、絶対に無駄にしない。
「プロミネンスフレア!」
地上に太陽を顕現させる、アルテラの必殺技。
あれをアイギスで防ぐことは難しいだろう。
対処方法は一つ。
すぐにクサナギを抜いて、刃を展開。
さきほど、こっそりとイリスに充填しておいてもらった最後のカートリッジを装填。
トリガーを引いて、構える。
「お前の炎を……堕とす!」
クサナギのファーストフォーム。
みんなの力を借りた一撃で、迫りくる太陽を撃ち抜いた。
「ぐっ」
本来なら、サードフォームで迎撃していたものを、威力の劣るファーストフォームで迎撃したのだ。
かなりの負荷とバックファイアがあり、全身を衝撃が襲う。
それでも、足は止めない。
前へ。
前へ。
前へ。
みんなが託してくれた想いがある。
それは、ここにいる仲間やアルさん達だけのものではない。
ユニアとアニ。
ルイエ。
そして……グレイ。
みんながいてくれたからこそ、俺は戦うことができる。
みんなのためにこそ、俺は戦わないといけない。
「これでっ!!!」
残った魔力の全てを振り絞り、クサナギの刃を十二に分けた。
そして、それらをカムイと合体させて、サードフォームを形成する。
それを見て……アルテラがニヤリと笑う。
「それを待っていたよ」
なにを考えているのか、アルテラは逃げることも回避することもなく、真正面からつっこんできた。
無防備すぎる行動に、一瞬、迷いが生まれる。
罠ではないか?
ただ、ここまできたらもう止まることはできない。
さらに加速して、サードフォームのクサナギ……カムイを振り下ろす。
「その力……食べてあげる!」
「なっ!?」
アルテラは自らカムイに手を伸ばしてきた。
炎化している状態とはいえ、今のカムイならダメージを与えられる。
それなのに、いったいなにを……
その疑問はすぐに答えが提示された。
「これは……魔力が!?」
アルテラはカムイを受け止めた。
ここまでは予想済だ。
しかし……
アルテラの手に触れたカムイから、蓄えていた魔力がどんどん消えていく。
いや……食べられている。
「ふふ、あはは、きゃははははは! おいしい魔力をありがとう、お兄ちゃん。人間のくせに、けっこう良い魔力だね」
「コイツ……!」
「私のメインの能力は炎を操ること。己の体も炎にしてみせることができる。でも……それは切り札じゃないんだ。きひっ、ざんねーん! 私の本当の切り札は、相手の魔力を食べること。そうして、さらに強くなることができるんだよ」
「……」
「切り札は最後までとっておく……ふふ、私の勝ちだね?」
「……」
「今、焼いてあげる♪」
アルテラは、魔力が空っぽになったカムイから手を離した。
そして、その手に炎を生み出す。
今までにないほどの勢いで豪炎が立ち上がる。
弓を構えるように、炎をまとう手を後ろに引いて……
一気に突き出した!
「がっ……!?」
槍のようなアルテラの抜き手が、俺の脇腹を貫いた。
激痛に次ぐ激痛。
神経が焼ききれてしまいそうだ。
「これだけで終わらないよ! あはははっ、体の中から燃えちゃえ!」
「ぐぅううう!!!?」
脇腹を貫かれた状態で、さらに、アルテラの手から炎が吹き上がる。
体が燃えていく。
血が蒸発していく。
骨が炭化していく。
まともに言葉が出てこないほどの激痛に、意識が飛んでしまいそうになる。
それでも、なんとか耐えようとして……
「ばいばい、お兄ちゃん。ちょっとは楽しめたよ?」
アルテラは血に濡れた手を引き抜いて……
そして、もう反対側の手に炎を生み出して、それをゼロ距離で叩きつけてきた。
ガァッ!!!
豪炎に飲み込まれて、意識が飛んだ。