軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

555話 真アルテラ戦・その6

「それは……」

どういう意味だ?

そう問いかけるよりも先に、アルテラとリース、両方が動いた。

アルテラは炎を。

リースは魔法を使い、それぞれ攻撃を繰り出してくる。

「ニーナさん、フィーニアさん、いきますわよ!」

「ん」

「わ、わかりまひふぁ!」

迎撃に動いたのは、後衛の三人だ。

ニーナが亜空間に繋がる扉を開いて、イリスとフィーニアがそこに攻撃を叩き込む。

「くうっ……うっとうしい! リースちゃん!」

「はい、わかりました」

アルテラの合図で、リースが……消えた。

決して見逃すことのないように注意を払い、常に視界の中に収めていたのだけど……

それでも、移動するタイミングを捉えることができず、見失ってしまう。

「いたずらする子にはおしおきですね」

「あ……!?」

「ニーナ!?」

リースは、ニーナの背後に移動していた。

それなりの距離が離れていたはずなのに、いったい、どんな手品を?

手品の正体はわからないが、かなり厄介な能力を有しているのだろう。

だからこそ、リースは今、勝利を確信した笑みを浮かべているのだろう。

今、俺達の攻撃の要になっているのはニーナだ。

彼女のトリッキーな能力のおかげで、何度も何度もアルテラ達の不意を突くことができた。

そんなニーナがいなくなれば、一気に戦線が瓦解してしまうだろう。

だからこそ、リースはニーナを狙った。

でも、その狙いは読めていた。

絶対にニーナを狙ってくるだろうと、アルテラとリースの行動を誘導していた。

「ティナ!」

「まかせとき!」

ニーナの背中から、ぴょんとティナが飛び出した。

ティナの方の戦いが落ち着いたので、こちらの援軍に呼んだのだ。

ここぞというタイミングで活躍してほしいため、今まで隠れてもらっていた。

「なっ!?」

さすがにこれは予想外らしく、リースは目を大きくした。

「うちらのかわいい妹分に、なにしてくれてんや! おんどりゃあああ!」

ティナは、魔力でバットとボールを生成。

そして、至近距離でリースに向けて、強烈な一打を放つ。

「ぐっ!? やってくれますね。こうなれば、一度……」

「ふふ、撤退はさせませんわ」

「わ、わらひ達に付き合ってもらいまひゅ!」

「さあ、踊りましょう?」

イリスとフィーニアが、雨あられと、ありったけの攻撃を叩き込む。

今まで観察した結果、リースの謎の転移能力は連発ができない。

使用前に、ある程度、集中する必要がある。

その二つを突き止めることに成功した。

まあ、それもブラフという可能性はあるのだけど……

そこまで考えていたらキリがないので、今は無視。

こちらの観察の成果が正しいと信じて、あらかじめ、みんなに指示を出しておいた。

ティナの不意打ちでリースが体勢を崩したら、そこで一気に攻撃を叩き込むこと。

そうすることで、足止めをしてほしい……と。

その間に、

「ユウキ!」

「うん」

「ニーナ、サクラ!」

「がん、ばる」

「オンッ!」

「やるぞ!!!」

本命のアルテラを叩く!

俺とユウキは並んで駆けた。

そして、ニーナはサクラの背中に乗り、俺達以上の速度で走る。

「いい加減、死んでよ! うざいうざいうざい、死んじゃえええええぇっ!!!」

アルテラは右手を横に振り払う。

その軌道に沿い、巨大な炎の波が生まれる。

さながら、炎の津波だ。

普通に考えて回避不可能なのだけど……残念。

こちらには、ニーナがいる。

「ん」

ニーナは、くるっと指先を回した。

亜空間に繋がる扉が開いて、炎の波を飲み込んでしまう。

こと、防御や回避に関しては、ニーナの右に出る者はいない。

最近は、ますます能力に磨きをかけてきたし……

このまま成長を続けたら、将来、とんでもなく化けるかもしれない。

まあ、現時点でも相当に化けていると言われるかもしれないが、それはそれで。

「グルルル……ガァッ!!!」

サクラらしからぬ凶悪な唸り声。

とても器用に、サクラは拳大の石を咥えると、首を振り、高速で投げてみせた。

ただの投擲ではあるが、飛んでくるものは拳大の石だ。

しかも、最強種が投げたことで、かなりの速度が加わっている。

「そんなもの! ……くっ」

炎化しているアルテラに物理攻撃は通用しない。

通用しないが……

もしも、顔に向けて拳大の石が飛んできたら、どうなるか?

通用しないとわかっていても、目を閉じるなどの反応をしてしまうのが常だ。

アルテラも例外ではなくて、一瞬、動きを止めてしまう。

「壱之剣……雪月花!!!」

最初にユウキが飛び込んだ。

アルテラの炎を、その剣圧で吹き飛ばすかのように、双剣の乱舞をくれてやる。

「ぎっ、ぐぅ……こんな、ことでぇっ!!!」

「あぐ!?」

アルテラのカウンターが炸裂して、ユウキが吹き飛ばされてしまう。

ただ、役目は果たしたというように、こちらに笑みを向けてきた。

その笑みは、俺を心配させないためのものでもあるのだろう。

ああもう。

本当に頼りになるし、優しいヤツだ。

「ユウキもみんなも、最高だ!」

そして、俺は勝負を決めにかかる。