作品タイトル不明
549話 大集結
「フリーズシールド」
どこからともなく氷の盾が現れて、アルテラの炎を防いでくれた。
その魔法を唱えたのは……
「アルさん!?」
「妾、参上!」
空間が揺らいで、光の扉が形成された。
そこから姿を見せたのは、アルさんだ。
精霊族の里から、ここに扉を繋げたのだろうけど……
いったい、どうして?
「なに、簡単なことじゃ」
表情から俺の疑問を察した様子で、アルさんが得意そうに語る。
「ちょっとしたことを頼まれてのう。どうしても、レインのことが気になるから、なにかあったら教えてほしいと、頼まれておったのじゃ。なので、今回は、ちと言い方は悪いが、監視していたのじゃ」
「監視、って……」
「安心するのじゃ。常時、レイン達の動向を確認していたわけではない。妙な遺跡に潜った時とかは、よくわからなかったしな。ただ、こうして再び地上に出たことで、しっかりと見えるようになり、ピンチも把握した、というわけじゃ」
「なるほど……ちなみに、頼まれたというのは?」
予想はついているというか、他に候補者がいないのだけど……
一応、尋ねてみる。
「こやつらじゃ」
「レインーっ!!!」
「うわっ」
精霊族が使う扉から、まず最初にカナデが飛び出してきた。
そのままの勢いで抱きついてきて、受け止めきれず、倒れてしまう。
「いてて……」
「あわわっ、ご、ごめんね? 私、なんかレインに会えたのがうれしくて、つい……」
「いや、いいよ。俺も、カナデに会えたのはうれしい」
「レイン……って、すごい怪我しているよ!? あちらこちら、怪我だらけだよ!? あれ? 怪我の跡だけで怪我はしていない? にゃん……?」
カナデは慌てた様子で俺の上からどいて、あたふたとした。
「やっぱりというか、レインの旦那、いつものように無茶しとるなー」
「ん、それがレイン」
「なはは、そう言われると納得してまうな」
続けて、ティナとリファが現れた。
ティナは人形バージョンで、リファの頭の上にちょこんと乗っている。
ニーナではないのだろうか?
なんて思っていたら、そのニーナが、ノキアさんに抱っこされた状態で現れた。
甘えん坊モードは継続中らしく、今は、ティナはニーナの頭の上に乗ることができないらしい。
「レイン……だい、じょうぶ?」
「こんなに傷ついて……」
「なんとか大丈夫です。それよりも、二人も来たということは……」
「す、すみませんすみません! わたしなんかが来て、すみません!」
「オンッ!」
最後に、フィーニアとサクラが現れた。
「ぴゃあ!? れ、レインさんにユウキさん、も、ものすごい怪我をしてて……あうあうあう、ど、どうすれば!? こ、こんな時こそ救急箱を!?」
「オフゥ」
「はっ!? そ、そうだよね、サクラちゃん。救急箱じゃなくて、まずはポーションだよね」
「なんでやねん」
たまらず、という感じでティナがツッコミを入れた。
「慌てる気持ちもわからんでもないが……まったく、お主は不死鳥族じゃろう? ほれ、自慢の力で癒やしてやるといい」
「はっ、そ、そうでした! えっと、えっと……し、失礼します!」
フィーニアが手をかざすと、温かい炎が舞い上がる。
それはアルテラの炎とは正反対で、とても優しい。
時間を巻き戻すかのように、俺とユウキの傷がみるみるうちに癒えていく。
フィーニアと契約したおかげで自動回復が備わっていたものの、それを上回る攻撃を受けていたため、なかなか完治にはいたらなかったのだ。
「こ、これでどうでひょうか!?」
「うん……バッチリだ。ありがとう、フィーニア。本当に助かったよ」
「ど、どういたひましへ!? ふぁあああ……」
反射的に頭を撫でると、フィーニアは真っ赤になってしまう。
今度は、こちらが燃えてしまいそうな勢いだ。
「レイン」
カナデが俺の前に立つ。
そして、にっこりと笑う。
「おまたせ」
「うん……ありがとう」
俺とユウキなら、なんでもできると考えていたのだけど、訂正。
俺とユウキと……そしてみんながいれば、なんでもできる。
不可能なことはない。
それは絶対、だ。
「……ねえ、いきなり出てきて、なに? なに? お姉ちゃん達も、私の邪魔をするつもり?」
アルテラはとても不機嫌そうにしていた。
その証拠というように、時折、その身から炎が漏れている。
すさまじいプレッシャーだ。
本気になった四天王の圧に、フィーニアなどは気絶してしまいそうになっている。
でも、それに負けることはないと、カナデが一歩、前に出た。
「邪魔するよ」
「……」
「私達は遠くにいたから、正直、詳細は知らないんだけど……でもね? あなたは、レインにひどいことをした。だから……」
カナデは拳を構える。
「戦う理由は、それで十分だよ!」
次いで、みんなも構えて、戦闘態勢に移行する。
フィーニアに怪我を治してもらったものの、失われた体力までは戻らない。
足は鉛のように重く、手は自由に動かない。
それでも。
不思議と心は軽い。
今までにないほど晴れやかで……
そして、今まで以上の闘志が湧いてきた。
「アルテラ」
「……なに?」
「ここで、決着をつけようか」
「ふん、なによ。仲間が来た途端、強気になっちゃって。かっこ悪い」
「なんとでも言えばいいさ。俺がベストコンディションを発揮できる時は、今……みんながいる時なんだ。一人じゃなくて、仲間が一緒にいる時なんだ。その時こそ、全てを出し切ることができる」
「ああ……もう……」
アルテラは、ギリリ、と奥歯を噛んだ。
愛らしい少女の顔はどこへやら、悪鬼のような形相でこちらを睨みつけてくる。
「たかが人間が、うっとうしいの! 燃やしてあげるんだからっ!!!」
「できるのなら、やってみろ。お前が、今まで踏みにじってきた命、その罪……その身で贖ってもらうぞ!!!」