作品タイトル不明
546話 VSアルテラ・その3
体はボロボロだ。
指先を軽く動かすだけで、全身に激痛が走る。
血が足りていない。
視界がぼんやりと濁ってきて、意識が朦朧としてしまう。
でも、そんなことは関係ない。
俺は今、立っている。
自分の意思で立ち、武器を手にしている。
ならば、やるべきことは一つ。
「ユウキ!」
「うん!」
俺とユウキは、同時に地面を蹴り、勢いよく駆けた。
それぞれ左右に分かれて、挟み込むようにして突撃する。
「あーもうっ、うっとうしいなあ! さっさと死んじゃってよね!」
アルテラは苛立ちをあらわにして、両手を振る。
その軌跡に従い、豪炎が地面を駆け抜ける。
「何度も見せられれば、そんなもの!」
アルテラの炎は驚異的な威力を誇り、速度もかなりのものだ。
しかし、あくまでも速いというだけで誘導性はない。
地面を走る炎のタイミングを見極めて、斜め前へ跳ぶ。
真横を炎が駆け抜けていくが、直撃ではない。
チリチリと軽く肌が焼ける程度で、これくらいなら問題はない。
「なっ!?」
ユウキも、俺と同じような動きで炎を避けていた。
うん。
俺達は、似た者同士なのかもしれないな。
「このっ、調子に乗らないでよね!」
俺達を迎撃するべく、アルテラは、次に炎の竜巻を生み出した。
視界が埋め尽くされてしまうほどの、巨大な竜巻だ。
普通に考えたら、こんなものを回避する術は持たないのだけど……
なら、回避しなければいい。
「ユウキ!」
「うん!」
視線だけでこちらの意図を察したらしく、ユウキは俺の前に移動した。
なんていうか、気分は長年連れ添ったベストパートナーだ。
「弐之剣……神月!!!」
ユウキの極大の剣技が、炎の竜巻に突き刺さる。
その力は相当なもので、一瞬ではあるが、炎の竜巻が形を維持できず揺らぐ。
その一瞬を見逃すことなく、俺は立て続けに攻撃を叩き込む。
「イグニション! いけぇえええっ!!!」
残りのカートリッジを惜しむことなく使い切り、特大の一撃で炎の竜巻を蹴散らした。
「なぁっ!?」
俺達が炎の竜巻を突破するとは思っていなかったらしく、アルテラは目を大きくして驚く。
すぐに次の行動に移ろうとするが……遅い!
「壱之剣……雪月花!!!」
最初に、ユウキが飛び込んだ。
超速の連撃を放ち、ありとあらゆる角度からアルテラを斬りつける。
刃の嵐に飲み込まれたアルテラは、両手を顔の前にやり、亀のように耐えることしかできない。
「こ、このっ……人間なんかが、私のことをこんなに……!」
「まだ終わりじゃない!」
「!?」
次は俺の番だ。
「魔眼、発動!」
「なっ!? あ……うっ」
リファと契約したことで得た魔眼は、格上の相手には通用しにくいのだけど……
今のアルテラは動揺していることもあり、見事に成功した。
うまく体が動かない様子で、アルテラの動きがぎこちなくなる。
「召喚! そして、重力操作!」
イリスと契約したことで得た能力で、ありったけの武器を召喚して、投擲。
さらに、ティナと契約したことで得た重力を操作する力で、武器を限界まで加速させて……
雨あられと、無数の武器を叩きつけてやる。
「うあっ、あう!?」
思わずという様子で、アルテラが地面に膝をついた。
そんな自分が信じられないというように、アルテラは目を大きくする。
「私が、私がこんな人間なんかに……! 許せない許せない許せない、みんなみんな、焼いてあげるんだからぁ!!!」
「その前に……」
「まだ俺達の番だ!!!」
「っ!?」
ユウキは剣を鞘に戻して、体を前のめりに。
深く深く、体勢を低くした。
俺は、クサナギを左手に持ち替えて、右手にカムイを持つ。。
その上で、あらかじめて用意しておいた、予備のカートリッジと交換する。
「参之剣……蓮華っ!!!」
驚異的な加速でユウキが突撃して、剣を閃かせる。
超高速の抜剣術。
それが、彼の切り札だった。
「まとめて、全部くれてやるっ! イグニション!!!」
クサナギが極大の光を帯びる。
すぐさま、セカンドフォームに移行。
そして、十二の刃をカムイにまとわせて……
「サードフォーム、くらえぇえええええっ!!!」
光の刃で横に薙ぎ払い……
続けて、反対側の刃で縦に断ち切る。
全てを打ち砕き、全てを切り裂く。
まず最初に、視界をゼロにするほどの光が生まれた。
続けて衝撃と烈風が吹き荒れて、嵐となる。
最後に大地が揺れて……全て、終わる。
俺とユウキの切り札による連続攻撃。
これがダメだとしたら、もう……
「……この、人間めっ!!!」
アルテラは……未だ、健在だった。