作品タイトル不明
540話 無敵の二人
心配そうにするみんなを送り出して……
そして、ユウキと一緒に敵を待ち構える。
こちらは二人だけ。
敵の詳細な数は不明だけど……
四天王もどきのギガブランドのコピーは十体以上。
それに加えて、数十の魔族。
戦況は火を見るよりも明らか。
普通に考えて、俺達は一瞬で押しつぶされてしまうだろう。
でも、なんでだろう?
不思議と負ける気はしない。
「ねえ、レイン」
「うん?」
「ちょっとおかしなことを言うんだけど、笑わないで聞いてくれるとうれしいかな」
「内容にもよるな」
「そこは、絶対に笑わない、って約束するところじゃない?」
「そう約束しておいて、ユウキが笑わせに来るかもしれないだろう」
「そんなことはしない……と思うよ。たぶん」
「たぶんなのか。それで?」
「うん……僕達の置かれている状況って、けっこう絶望的だよね」
「そうだな」
「普通に考えて、死んじゃうよね。でも……僕は、そんな気がしないんだ。ちゃんと生き残ることができる、そんな風に思っているんだ」
「奇遇だな。俺も、同じことを考えていたよ」
「あはは、そっか」
たぶん、俺とユウキは同じことを考えていると思う。
みんなを守るため。
ユニアとアニのため、捕まっていた人達のため。
俺達は殿を務めることにしたが、死ぬつもりなんてサラサラない。
今、俺達がまだ生きていられるのは、グレイのおかげだ。
グレイは、みんなを助けるためにその命を投げ出した。
俺達は、その尊い想いを託された。
みんなを守ることはもちろん……俺達自身も守る。
託された想いの中には、俺達の命も含まれているだろうから。
だから、死なない。
なにがあろうと、生き延びてみせる。
そんな強い決意が力となり、体中を巡る。
おかげで、どれだけの大軍が相手でも、負ける気がしない。
「来たよ」
地響きと共に、ギガブランドのコピーが現れた。
その数は、十五。
「微妙に増えているな……厄介な」
「僕が八、レインが七でいい?」
「俺が十で、ユウキが五だ」
「レインは欲張りだね」
「その代わり、遅れてやってくるであろう魔族達が姿を見せたら、牽制を頼む」
「了解」
俺はクサナギを構えた。
ユウキは、双剣を構える。
「うん、それじゃあ……」
「いくか」
互いの顔を見て、頷いて見せて……
そして、俺達は同時に地面を蹴る。
「セカンドフォーム!」
まず最初に、クサナギを十二の刃に分けた。
それぞれをコントロールして、刃の嵐を作り上げる。
ギガブランドの防御力は大したものだけど、さすがにクサナギの刃を無視することはできず、足を止める。
その位置は狙い通り。
「物質創造! ファイヤーボール!」
火薬の塊を作り出して、ぽいっと放り投げた。
次いで、火球をぶつけて……
ガァッ!!!
大爆発。
炎と粉塵が吹き荒れる。
「すぅ……」
ユウキは深く息を吸い、双剣を一つに重ね合わせた。
特殊な構造らしく、二本を一本に合体することができるらしい。
「弐之剣……神月!」
極大の斬撃が顕現した。
直上から振り下ろされる、圧倒的な力の塊がギガブランドのコピーを、まとめて数体、飲み込む。
その斬撃が叩きつけられると、大地が震えた。
なんていう威力。
ユウキの剣士としての実力は、間違いなくAランクに匹敵する。
王族でありながら、ここまでの力を持っているなんて……
どれだけの訓練を重ねてきたのだろう?
すごいヤツだと、改めて彼のことを尊敬する。
同時に、友達のことを誇らしく思う。
「ユウキ!」
「レイン!」
セカンドフォームを解除。
カムイを抜いて、サードフォームへ移行。
ユウキは、再び両手に剣を持ち、それを深く構える。
「喰らえっ!!!」
「壱之剣……雪月花!!!」
俺の特大の一撃が炸裂して……
続けて、ユウキの目にも止まらない連撃が繰り出された。
ギガブランドのコピーが四散、塵に変わる。
魔物と違い、こちらは魔石が残ることはない。
死んだ後に待ち受けているものは、無だ。
「よし、まずは一体だ」
「即興のコンビネーションだけど……うん、意外とやれるものだね」
「当たり前だろう? 俺とユウキなんだからな」
「そうだね。レインとなら、なんでもできるような気がするよ」
残り十四体……と思っていたら、さらに三体、追加で現れた。
絶望はない。
逆に、怒りがこみ上げてきた。
アルテラは、どれだけの人を犠牲にしてきたのか?
どれだけの悲しみと涙を積み上げてきたのか?
絶対に許せない!
「レイン、いこう。こんなこと、終わりにしないと」
ユウキも怒りを覚えていた。
普段、温厚な彼なのだけど、今は獣のように鋭い気配を放っている。
「ああ、いこう。大丈夫だ。俺達なら……」
「なんでもできる!」