軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

525話 どれだけがんばろうと

俺とユウキ。

それと、グレイとタニア。

この四人が、どこかに連れて行かれた三人の女の子を助けに行くことに。

ソラとルナ。

そしてイリスは、囚われていた人達を安全なところまで護衛することに。

なるべくなら戦力は分散したくなかったのだけど、この場合は仕方ない。

最善と思う配置をして、それぞれの目的を達成するために全力を尽くすだけだ。

「レイン、気をつけてくださいね? 絶対に無茶をしたらいけませんよ?」

「捕まっていた人間達を安全なところに送り届けたら、我らもすぐに戻るのだ。だから、無理はするでないぞ?」

「どのような事態に遭遇しても、冷静さを保たなければなりませんわ。無茶無謀を繰り返してはいけません」

三人が心配をしてくれるのだけど……

「なんで三人とも、俺が無茶をしないか、っていう心配をしているんだ……?」

「「「自分の胸に聞いて」」」

ジト目を向けられてしまう。

うーん。

そこまで無茶をしているつもりはないのだけど……

「レイン、諦めなさい。今のやりとり、どう考えてもソラ達の方が正しいわ」

「えぇ……」

タニアにまで、そんなことを言われてしまう。

「あはは」

俺達のやりとりを見て、ユウキは笑っているし……はあ。

なんだかなー、とは思うものの……

でも、ちょうどいい具合に緊張はほぐれた。

「じゃあ、また後で」

「うむ、また後でなのだ!」

ルナ達と別れて、俺達は、さっそく連れ去られた三人の捜索を開始した。

ここは敵地なので、大胆に行動することはできない。

なので、ユウキの案を繰り返そうと思ったのだけど……

「……敵が見当たらないね」

後をつけて案内してもらおうとするのだけど、肝心の敵が見当たらない。

普通の砦と違い、兵士は必要最小限しか配置されていないようだ。

探索はしやすいのだけど、しかし、連れて行かれた三人を探すのには困る。

「もう少し、敵を探してみやすか?」

「うーん……それはどうかな? あまり時間をかけたくないよね」

「ユウキの言う通りだな。時間をかければ、捕まっていた人達が逃げたこともバレやすくなる。そうなると警戒が厳重になって……」

「あたしらが面倒なことになる、っていうわけね……解決方法は?」

「……とにかく、がんばるしかないかな」

現状、打つ手は限られている。

取ることができる選択は少なく……

最終的に根性論になってしまう。

「打てる手は全部打つことにしよう」

ネズミなどの小動物と仮契約。

さらに……

「ひぃっ!? ま、またソイツを使役するの……?」

「ごめん。やっぱり、コレが一番てっとり早いから」

黒いアレとも仮契約を交わした。

どこにでもいて、どこにでも入り込むことができて、しかも素早い。

密偵としては、かなり優秀なんだよな。

まあ……見た目とか、精神的なショックはすごいけど。

「うっ、ぐぐぐ……」

こうすることが最善であると理解しているらしく、タニアは、なんとか我慢してくれていた。

ただ、それもなかなかに厳しく、ともすればブレスを放ちそうな勢いだ。

さすがに味方に攻撃されたくないので、早く連れ去られた三人を見つけないと。

――――――――――

「……よし、見つけた!」

小動物達とアレを使役して、遺跡内を探索させること三十分。

連れ去られた三人と思わしき女の子達の居場所を突き止めることに成功した。

「レイン、見つけたの?」

「ああ。ここから先、五百メートルくらいの場所で、女の子達を見かけたそうだ。コイツが教えてくれた」

「ひっ……わ、わかったから、いちいち見せつけないで!」

黒いアレを前にして、タニアはとても怯えていた。

普段の凛とした姿が台無しなのだけど……

まあ、タニアも女の子だから仕方ないか。

「すぐに助けに行こう」

「うん、そうだね」

強い使命感を表情に乗せて、ユウキがしっかりと頷いた。

タニアが怯えてしまうので、仮契約は解除。

ルートは覚えているので問題はない。

索敵を怠らず、警戒しつつ通路を進む。

そして……

「……見えた、あの部屋だ」

魔族らしき兵士が二人、扉の前に立っている。

その奥にある部屋に女の子達が囚われているはずだ。

「見張りがいるね」

「どうしやす? 下っ端に見えるけど、相手は魔族。なかなか難しい状況じゃあ……」

「簡単よ」

タニアが一歩、前に出る。

黒いアレと対峙していたことでストレスとショックが溜まっているらしく、その目つきはちょっと怪しい。

「タニア、あまり無茶を……」

「せいやっ!!!」

しないように、といい終えるよりも先にタニアが動いた。

その動きは、まさに風のよう。

一瞬で見張りとの距離を詰めると、それぞれの腹部に一撃を与える。

「ぐっ!?」

「がぁ!?」

たったの一撃でノックアウト。

見張りの兵士達は、意識を失いその場に崩れ落ちた。

先の一件で、よほど鬱憤が溜まっていたのだろう。

手加減なしの全力だったようだ。

「レイン……彼女、すごいね」

ユウキに対して、俺は苦笑いしかできないのだった。

とにかくも、障害を排除することができた。

すぐに扉を開けて、中へ入る。

そこで俺達が見たものは……

「うっ、ぐす、ひっく……お姉ちゃん、お姉ちゃん……」

「やだよぉ、こんなのやだよぉ……うううぅ」

ぴくりとも動かず、倒れている女の子。

そして、その子にすがりついて泣いている二人の女の子だった。