作品タイトル不明
501話 選抜メンバーは?
その後、しばらくしてみんなが戻ってきて……
ユウキとグレイを含めて、みんなでごはんを食べた。
途中、ソラがこっそり作っておいた料理をユウキが食べてしまい、あやうく昇天しかけるという大ハプニングがあったものの……
それ以外は特に問題なく、楽しい時間を過ごすことができた。
ユウキは王族ではあるものの、とても親しみやすい性格をしているため、すぐ普通に接することができた。
それでいいのか? という疑問はあるのだけど……
ぎこちなくなるよりはマシだろう。
その後、みんなでリビングに集まり、今後についての話をする。
「……と、いうわけなんだ」
「魔族が動いているかもしれない、か……もしも本当なら、厄介な話ね」
「ですが、おかしいですわね。わたくしの知る限り、そこまでの大規模な侵攻は、魔王が覚醒した後になるはずなのですが……?」
「まだ確定したわけではありませんから、その辺りは調査を進めるしかないのでは?」
「調査なら、ボク、得意。化けられるからね」
「オンオンッ!」
「あ、あの……サクラちゃんが、自分も色々と役立てるはずだ、って……」
みんな、すでにユウキに協力するという前提で話を進めている。
今後、どうするか?
みんなの様子を見る限り、今更話し合う必要はないのかもしれないけど……
それでも、確認はしておかないと。
「みんなは、協力することで問題ない、っていう感じでいいのか?」
「うん、いいと思うよ」
「人間はあまり興味がないが、魔族が動くとなれば、放っておくことはできないのだ!」
「ママみたいな、こと……絶対、ダメ」
みんな、やる気に満ちあふれていた。
頼もしいというか心強いというか……
うん。
俺は、とても良い仲間と出会うことができた。
何度も認識していることだけど、彼女達と出会うことができて幸せだ。
「じゃあ……改めて、依頼を引き受けるということで」
「うん。ありがとう、レイン」
契約の締結というかのように、握手を交わした。
「……レインの旦那、王子相手にタメ口きいてるで」
「……にゃー。レインってば、私達最強種だけじゃなくて、人たらしでもあったのかな?」
「……ナタリーもそれっぽい感じだから、我はその可能性が高いと思うぞ」
なにやら不本意な会話が聞こえてくるものの、聞こえなかったことにしておいた。
「ユウキは、この後のスケジュールは考えていたり?」
「そうだね、大まかな感じだけど」
俺達の協力が得られたら、なるべく近いうちに出発。
クリーグラントまでは、馬車で二週間ほど。
その二週間で事態が一気に進展するという可能性は考えづらいが……
可能性はゼロじゃない。
なので、クリーグラントに到着した後は、迅速に行動を開始。
すでに、クリーグラントの領主に手紙は送っている。
その後の展開は臨機応変に。
魔族の行動次第で変わるとのこと。
「なるほど……確かに、詳細な行動は向こうに行ってみないとなんともいえないか」
「まず調査が優先されて、それから、場合によっては戦闘になると思うんだよね。最悪、四天王を相手にすることになるかも」
「それ、シフォンがいなくて大丈夫なのか?」
「彼女は今、別の任務を請けているんだ」
「別の?」
「詳しくは僕も知らなくて……王によると、今は動くことができないみたい」
「それで、俺が紹介された、っていうわけか」
「うん、そういうことだね。協力してくれるっていうことで、本当に助かるよ。グレイは信頼できるし、かなりの実力者なんだけど……」
「さすがに、俺一人で多方面を同時にカバーするなんて無理だからな。期待させてもらうぜ」
「ええ、任せてください。なあ、みんな?」
「にゃん!」
カナデをはじめとして、みんなはしっかりと頷いてみせた。
「細かい日程は今後、詰めていくとして……誰がクリーグラントに行くか決めないとな」
「にゃ? 全員で行くんじゃないの?」
「ノキアさんを連れて行くわけにはいかないだろう? それと、ちょっとリースの動きが気になるんだよな……」
あちらこちらで暗躍しているのだけど……
もしかしたら、俺のホームグラウンドだからという理由で、ホライズンに手を出すかもしれない。
なので、できる限りの用心はしておきたい。
幸い、メンバーはいっぱいなので、二つに分けても問題はないはずだ。
「俺が行くのは確定として……」
「はいはいはーい! 私も行くよー!」
「ダメよ、とにかくでしゃばりたいけどどこか残念な猫」
「長い!?」
「俺も、カナデはホライズンに残っていてほしいかな」
「レインまで!?」
「というか、ニーナもだ。今のところ、二人は覚醒に至ったわけで……たぶん、メンバー最大の戦力だ。だからこそ、大事なところ……帰る場所を守ってほしい」
ニーナは、ノキアさんと再会できたばかりなのに引き離すわけにはいかない、という思いも交じるが。
「にゃー……そう言われると、そうかなー、って思っちゃうね」
「単純猫ね」
「ものすごい勢いで変な名前が増えていく!?」
「というわけで、あたしが立候補するわ」
「では、わたくしも。火力があると自負していますので。それと、魔族を相手にするのならば、わたくしほどうってつけの人材はいないでしょう」
確かに。
天族は魔族と戦うことを使命としていたようなところがあるから、イリスが来てくれるのならありがたい。
「では、ソラも行きましょう。どうなるかわからない以上……」
「きっと、我らの魔法が役に立つのだ!」
「うん、そうだな。じゃあ……」
クリーグラントに行くメンバーは、俺、タニア、ソラ、ルナ、イリス。
この五人でいいだろう。
残りのメンバーは、念の為にホライズンで待機。
ただ、今後、なにかある度に二手に分かれていたら、いつか致命的な問題に遭遇するかもしれないし……
守りを固めるという点について、なにか考えておいた方がいいかもしれないな。
「僕達も含めて、七人で向かうっていう感じだね」
「ま、あたしがいるから大船に乗ったつもりでいるといいわ! ふふんっ」
「ソラ、知っています。今のタニアの発言は、自爆フラグというやつですね?」
「脂肪フラグではないのか?」
「変なこと言うんじゃないわよ! っていうかルナ、別のしぼうを使ってなかった?」
「ひゅーららー」
相手は魔族。
しかも、四天王が関わっているかもしれない。
そう考えると、七人は少ないのかもしれないが……
ただ、目的が調査と考えるのなら、大人数で行動しても目立つだけだ。
少数精鋭が必須だろう。
もしも、魔族が大規模な侵攻をはじめたら……
その時は国が動いて、戦争になるだろう。
……なかなかに重い依頼だ。
少しだけプレッシャーを感じた。
次の目的地は、中央大陸西端。
魔族領に一番近いと言われている城塞都市、クリーグラント。
そこで、待ち受けているものはなんだろうか……?