作品タイトル不明
494話 リフォームをしよう・その2
その後、何度かみんなで話し合いを繰り返して、案をまとめて……
フォンさんに相談をして、設計図を何度か作り……
そして、いよいよリフォームのための工事が行われることになった。
俺達も協力して、フォンさんの指揮の元、リフォーム工事を始める。
「ねえねえ、フォンさん。この丸太はどっち?」
「それは家の裏手側に積んでおいてください。ソラさんとルナさんが、魔法で適度なサイズにカットしてくれているはずです」
「とりあえず、言われた通りにでかい石をとってきたけど、これ、どうするの?」
「それは、新しく増築する部分の土台にします。リファさんと協力して、配置してください。あ、これが図面になります」
「了解。リファ、いきましょ」
「アイアイサー」
カナデやタニアは自慢の腕力を。
ソラとルナは魔力を。
みんな、己の持つ能力を駆使して、家造りを進めていく。
「よい……しょ」
「こ、こここ、これでいいでしょうか!? 位置は合っているでしょうか!?」
ニーナとフィーニアも木材を運んでいた。
その外見からついつい忘れがちになってしまうのだけど、彼女達も最強種なので、カナデには及ばないものの、普通の人を超える力を持つ。
小さな木材なら運ぶことが可能だ。
「んー……ちょい左やな。調整できる?」
「オンッ!」
人形バージョンのティナが隙間に潜り込み、中の様子を確認して……
サクラがグイグイと頭を使い、木材の位置を調整する。
バッチリのコンビネーションだ。
「これはまた……」
「フォンさん、どうしたんですか?」
「いえ……最初は、専門の職人だけの作業を想定していて、工期は一ヶ月ほどを考えていたのですが……まさか、みなさんの力がこれほどとは。これなら、一週間……いえ、数日で終わるかもしれませんね」
「あはは……俺も、ちょっと驚いているところです」
最強種となると、戦闘力ばかりに目がいきがちではあるが……
こうして、戦闘以外でも大活躍することができる。
驚きの発見だ。
「みんな、頼りになりますからね」
戦闘時はもちろん、それ以外の面でも、とても頼りにしている。
辛い時、寂しい時。
隣にそっと寄り添ってくれる。
とても大事な仲間だ。
「みなさん、とてもレインさんを慕っているのですね」
「え?」
「彼女達を見ていればわかります。レインさんのことを信頼して、欠片も疑っていないことが。そのような絆を紡ぐことができたのは、とてもうらやましい」
「あ、ああ、そういう」
恋愛絡みの話だと思った。
「さて。彼女達に負けないように、私達もがんばらないといけませんね」
フォンさんは気合を入れ直した様子で、職人達を連れて、別の箇所の作業に取り掛かった。
俺もがんばることにしよう。
指示を出しつつ、できるところは手伝い、作業を進めていく。
「裏の方はどうなっているかな?」
裏に地下室用の空間を掘り、そこに建物を増築して、さらに屋上を設置する予定だ。
まず、大きな穴を掘らないといけないので、今回のリフォームで一番大変な作業と言える。
サクラとリファが担当することになっているのだけど……
時間的に考えて、そろそろ作業を開始しているはず。
問題ないかどうか、確認しておこう。
そう思い、家の裏手に回ると……
「オンッ、グルルル、オオオーンッ!!!」
「はい、そこ。サクラと一緒に掘って」
「……」
すでに巨大な穴が掘られていて、絶句した。
サクラが猛烈な勢いで土を掘り進めて……
さらに、リファの眷属である巨大な狼が一緒になって土をかきだしている。
巨大な穴。
そして、大量の土。
「あ、レイン。おっはー」
わけのわからない挨拶をされた。
職人さんに教わったのだろうか……?
「どうしたの?」
「様子を見に来たんだけど……あれ? リファは、さっきまで土台を作成していたよな?」
「そだね。さっき終わったよ」
「それで……地下室用の穴を掘り始めた?」
「うん。サクラ、がんばってくれているよ」
「それにしても、これは……」
すさまじい。
ほぼほぼ、作業が完了しているように見える。
始めて数十分で、これだけの穴を掘ってしまうなんて……
改めて、最強種のデタラメな能力を見せつけられたような気がした。
「おーい、サクラ。掘るのはその辺でいいぞ。細かいところは職人さんがやるから、それだけ掘れば十分だ」
「オフゥ!」
呼びかけると、サクラは穴を掘るのをやめて、俺のところへやってきた。
そして手前で座り、じっとこちらを見つめる。
がんばった。
えらい? えらい?
そんなサクラの心の声が聞こえてきた……ような気がした。
「よしよし、よくがんばったな。すごい働きだ。えらいぞ」
「オフゥー」
頭をなでると、ものすごい勢いで尻尾を横に振られた。
「えらいえらい」
リファもなでなでをする。
さらに尻尾が勢いよく振られて……
「……サクラさん」
「オフ!?」
土煙が舞い上がり、それをまともに浴びたイリスがジト目を向ける。
「レインさまやリファさんに褒められてうれしいのはわかりますが、ほどほどにいたしましょうね? でないと……ふふっ」
「キューン……」
イリスの不敵な笑みに怯えるように、サクラは尻尾を内股に抱いて、体を小さくしてしまうのだった。