作品タイトル不明
492話 クサナギの力
クサナギとアイギスの使い勝手を確かめるために、カナデとイリスと模擬戦をすることにした。
クサナギとアイギスが想定通りの機能を発揮するか?
それを確かめないといけない。
それともう一つ。
ちょっとしたこと懸念を抱いていて……
それを確かめるために、あえて、二人を相手にしての模擬戦を選んだ。
「レイン、本当に私達二人で大丈夫? 一人の方がいいんじゃない?」
「大丈夫……と断言はできないが、ちょっと考えていることがあるんだ。それを確かめるには、カナデとイリスに協力してもらうことが一番なんだよ」
「うーん、でも……」
「まあ、仕方ありませんわね。わたくしでよければ、協力いたしましょう」
「イリスは心配じゃないの?」
「心配ではありますが、レインさまは、ああ見えてとても頑固な方ですから。そうそう前言撤回はなされないかと」
「う……そうなんだよね。レインってば、すっごく頑固なんだよねー」
「そうですわ。あのような頑固な方、なかなか見たことがありません。しかし、そこがまたレインさまの魅力と言えますが」
「うんうん。言い換えれば、自分を貫いている、っていうことだからね。そういうところは……えっと……にゃー、かっこいいな」
「ふふっ、照れるカナデさんもかわいらしいですわ」
話が逸れているぞ……?
「とにかくも……二人共、よろしく頼む」
「あいあいにゃー!」
「わかりましたわ」
カナデとイリスが元気よく返事をして、
「レイン、カナデ相手ならやりすぎてもなにも問題ないわよ」
「うむ、カナデは頑丈だからな」
「ソラの魔法を食らっても、笑って済ませそうですね」
「つよ……い」
「なんか、私の評価おかしくない!?」
家の庭で、のんびりと観戦するみんな。
最近、娯楽に飢えているのか、全員集合だ。
「レイン、がんばれ。骨はボクが拾うよ」
「それ、あかん台詞ちゃうかなー」
「が、がんばってください! あ、でもでも、ワタシなんかの応援だと逆に不幸になってしまうような……!?」
「オンッ、オンオン!」
やけに賑やかな模擬戦になってしまったのだけど……
でも、これはこれで楽しい。
みんなと一緒にいると、いつも温かい気持ちになって、自然と笑顔になるんだよな。
「よし。それじゃあ、手合わせを頼む」
「了解!」
「ふふっ、いきますわ」
そして、模擬戦が開始された。
「うにゃん!」
まずは、カナデが突撃してきた。
その攻撃軌道を正確に見極めようとして……
「っ!?」
カナデの影に隠れるようにして飛んできた炎弾に気づいて、横に跳ぶ。
カナデの突進は囮。
彼女の体を影にして、イリスの放った炎弾を直撃させることが本命なのだろう。
この二人、なかなかの連携だ。
侮れない。
「俺もいくぞ!」
ダブルセイバー……クサナギを手に、カナデに斬りかかる。
もちろん、刃には布を巻いている。
まずは片刃で斬りかかり……
避けられると同時に、すぐに反転させて、もう片方の刃を叩きつける。
「うにゃ!?」
即座に飛んでくる二つ目の攻撃に、カナデは驚いたように後ろへ跳んで、距離をとる。
「ふむ?」
ダブルセイバーは初めて使うのだけど……
けっこう悪くない感じだ。
扱いは難しいが、連続で変則的な攻撃が可能となり、カムイの時以上のトリッキーな戦闘が可能になる。
ただ、クサナギの本領はここから。
単なるダブルセイバーではなくて……
「ブレイク!」
ダブルセイバーに光の線が走り……
十二の小さな刃に分かれ、宙を飛ぶ。
「にゃんですと!?」
小さな刃は、それぞれが意思を持つように空を飛ぶ。
そのコントロールをしているのは、もちろん俺だ。
レア・オリハルコンは、魔力を増幅するだけではなくて、受信装置的な役割も果たすらしく……
こうして魔力を乗せることで、遠隔で操作することができる、というわけだ。
「とはいえ、これは……」
一度に十二の小さな刃をコントロールするのは、かなり大変だ。
思考がそちらに割かれてしまい、俺自身はうまく動くことができない。
「なら、今はコントロールは簡単なものにして……」
密かに隠し持っていた短剣……カムイを手にする。
とても愛着のある武器なので、壊れたからさようなら、というのはどうしてもできなくて……
無理を言って、ガンツに修理してもらったのだ。
性能は以前と変わらないため、覚醒時のみんなの力を借りることはできない。
ただ、普通にやり合う分には問題はない。
それと、ちょっとした隠し機能も追加してもらった。
「カナデさん、援護いたしますわ!」
「りょーかい!」
十二に分解された、飛翔するダブルセイバーを避けつつ、イリスとカナデが即席のコンビネーションを見せる。
カナデの突撃に合わせて、イリスが炎弾を放つ。
コントロールは精密の一言に尽きる。
カナデと並ぶように炎弾が疾走して、こちらに迫る。
いくらかの炎弾を、分解されたダブルセイバー……セカンドフォームと名付けた……で叩き落とす。
しかし、まだコントロールが甘いため、いくらかは見逃してしまう。
「にゃんだふるパンチっ!」
よくわからない必殺技名を叫びつつ、カナデの右ストレート。
ただのパンチだった。
「こい!」
「えっ!?」
セカンドモードのクサナギを一箇所に収束させて、盾のように展開。
カナデの拳を受け止めた。
その間に、俺はカナデの懐に潜り込み、その喉元にカムイを突きつける。
「勝負あり、だな」
「うにゃー、負けた―!?」
カナデが悔しそうにして、模擬戦を見ていたみんなは、パチパチと拍手をくれる。
「レインさまの新しい武器は、とんでもなくトリッキーですわね。普通のダブルセイバーではなくて、まさか、分離して自由自在に操作できるなんて」
「そうそう、それ! ものすごく驚いたんだけど。しかも、盾代わりにもなるなんて」
「通常時が、ファーストフォーム。分離状態がセカンドフォーム。あと、とっておきのサードフォームがあるんだけど……それは、今はできそうにないな。やっぱり、セカンドフォームの制御が難しいから、まずはそれを完璧にできるようにならないと」
「にゃーどフォーム?」
「それは、どういうものですの?」
「んー……カムイの機能をさらにパワーアップさせるようなもの、かな? 今は秘密で」