作品タイトル不明
491話 さらに進化した武器
これからなにが待ち受けているか、それはわからない。
ただ、世間話をしたいから、なんていう理由で重要人物がやってくるわけがない。
大きな問題が起きたと考えていいだろう。
故に、準備はしっかりとしないといけない。
食料と水の準備。
それと……
荒事に備えて、武具の調達。
「おいっす、ですわ」
「おっちゃん、おいっす」
イリスとティナと一緒に、ガンツの店を訪ねた。
イリスは、あの妙な挨拶を気に入ったのだろうか……?
最初やられた時は、イリスの頭がおかしくなったのかと本気で心配をした。
できることなら、やめてほしい。
「おぉ、レイン達か。よくきたのう」
「頼んでおいた武具ができた、っていう手紙を受け取ってきたんだけど……」
「うむ。当初の予定より遅れてしまったが、その分、きっちりと仕上げておいたぞ。我ながら会心の出来じゃ」
そう言って、ガンツは、まずは小手を見せてくれた。
この際、ナルカミも改修しておこうという話になり……
新しいアイディアを盛り込んだ、新作を作ってもらうことになった。
「確かに、良い感じだな」
新しいナルカミは、二対。
左右につけるタイプで、ワイヤーや針を仕込んでいるなど、基本的な機能は同じだ。
そしてもう一つ、新しい機能が追加されている。
ワイヤー、隠し針に続く、第三のボタンを押すと……
「おっ、なんやなんや?」
「それは……盾、なのですか?」
ナルカミの側面……手の甲の上辺りに、淡く輝く光の盾が形成されていた。
大きさは三十センチメートルほど。
一般的な盾と比べると小さいが、それが両手に二つ。
強度も抜群だ。
「うん、良い感じだ」
「まったく。今度は小手を二つにして、さらに盾もつけてほしいなんて無茶を言うものだから、苦労したぞ」
「でも、作り甲斐があっただろう?」
「そうじゃな。職人をやる気にさせるのがうまい男じゃ」
俺とガンツはニヤリと笑い合う。
その一方で、ティナがふわりと浮いて、コンコンと盾を叩く。
「これ、なんでできてるん?」
「魔力で形成されておる。持ち主の魔力を使い、面積は小さいものの、強固な盾を作り出すという仕組みじゃな」
「器用なもん、作るねー。これ、なんて命名するん?」
「ナルカミの後継機なら……ナルカミ二号、でしょうか?」
「……イリスって、ネーミングセンスはアレなんやね」
「アレとは?」
「名前か……」
考える。
「……アイギス、にしようかな」
「素敵な響きですわ」
「うん、ええんやない?」
満場一致で名前が決定。
新しい小手は、アイギスとなった。
「で……こっちが本命じゃな。レイン、お主の新しい武器じゃ」
ガンツが運んできたのは、両方に刃がついた特殊な武器……ダブルブレードだ。
刃は澄んだエメラルドグリーン。
カムイと同じように、柄にトリガーがつけられていた。
さらに、その近くに大きな宝石がハメられている。
「へー、綺麗な刃やね。これが、レア・オリハルコンなん? 確か、赤かったと思うんやけど……」
「加工した結果、色が変わるなんてことはよくある話じゃ」
「ほー」
「コイツは加工がとんでもなく難しくて、三徹してしまったわい」
「あら、大丈夫ですの?」
「なに、地人族は頑丈じゃからな。三徹くらいなら、なにも問題ないぞ」
「でも、なんでダブルブレードなん? レインの旦那、今まで短剣を使っていたやん」
「ちょっと攻撃力不足を感じていたからな。ここらで方針転換をしてみようと、おもいきって、ダブルブレードにしてみたんだ」
ダブルブレードの扱いは難しいものの……
広範囲を攻撃できるだけではなくて、手数も倍以上に増える。
攻撃力を求めるのなら、わりと最適の武器だろう。
「でも、レインさまがアイディアを提供したのならば、ただのダブルブレードではないのでは? なにかしら、おもしろい仕掛けがあるのでしょう?」
「まあ、そうかな」
「今回は注文が多くて、本当に骨が折れたわい」
「はは……すまない」
たぶん、言葉にする以上の苦労があったと思う。
報酬とは別に、なにかしらお礼を考えておきたい。
「で、どんな機能をつけたん?」
「まずは、カムイと同じく、みんなの力を借りることができる機能かな。基本はそのままだけど、事前にチャージできるようにして、いつでも引き出すことができるようにした。ほら、ここにカートリッジがあるだろう? ここにチャージした魔石をセットすることで、いつでも使うことができるんだ。魔石は三つまでセットできるから、最大で、三連撃ができる、っていうわけだ」
「おーっ、すごいやん。ってか、んなことして壊れへん?」
「なに、そいつは問題ないぞ。なにしろ、素材がレア・オリハルコンじゃからな。最強種の覚醒とやらにも、軽く耐えられるほどの強度があるぞ」
「すごいですわね……それで、他の機能はなんですの?」
「いくつかあるんだけど……さすがに、ここで披露するわけにはいかないな」
「もっともですわね」
「まあ、新機能はそのうち。とっておきの機能もあるんだけど、それを使うのは練習が必要だろうから……それも、また今度」
練習をしないといけないから、そう遠くないうちにお披露目することができるだろう。
「で、コイツの名前はどうするんじゃ?」
「そうだな……」
新しい武器にも名前をつけないと。
やっぱり、そうした方が愛着が湧くし……
武器もこちらの想いに応えてくれるような気がする。
「スーパーカムイというのは、いかがでしょう?」
「イリスって、やっぱりネーミングセンスが……」
「なんですの?」
「いや、なんでもないでー」
イリスのネーミングセンスはともかく……
新しい武器の名前はどうしようか?
じっくりと考えて……
そして、ポンと思い浮かんだ名前を口にする。
「クサナギ、にしようかな」
「ほう、クサナギか」
「ええやん、良い名前やと思うでー」
「わたくしは、スーパーカムイの方が良いと思うのですが……ただ、レインさまがそう仰るのならば、なにも問題はないと思いますわ」
「よし、決まりだ」
こうして、俺は新しい武具を手に入れたのだった。