軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

483話 操られた……

ティナとイリスと分かれて、ニーナを探すこと三十分ほど。

未だ、手がかりは見つからない。

「まずいな……時間も限られているのに、このままだと……」

焦りを覚えて、心が乱れてしまう。

「ダメだ……落ち着かないと」

深呼吸をして、乱れた心を落ち着ける。

完全にとはいかないけど、少しは効果があった。

物事をしっかりと考えるだけの余裕が生まれる。

「モナがニーナをさらったのは……人質に使うためだよな? なら、まずはなにかしらの要求を突きつけてくるはず。そうなると……ああ、そっか」

要求を突きつけるために、必ず、向こうから姿を見せるはず。

待つだけなんてもどかしいが……

手がかりがゼロな以上、受け身に回るしかない。

できることは、モナがどんな要求を突きつけてきても、冷静に対処すること。

そして、ニーナを奪還するための策を考えること。

そうして、思考を巡らせつつ、その場で待機すること少し……

「やあやあ」

やけに明るい声が響いた。

いつの間に移動したのか、少し離れたところにモナと……そして、ニーナの姿が。

「ニーナっ、大丈夫か!?」

「……」

ニーナは応えない。

どこか虚ろな目をして、視線の焦点が定まっていない。

「ニーナ?」

「あははっ、だめだめ。無駄でーす。今、この子は私の忠実な操り人形なんだ♪」

「お前……!!!」

魔法かなにかを使い、ニーナを操っているということか。

この短時間で取り返しがつかないほどに深い洗脳ができるとは思えないから、モナを倒せば、なんとかなるだろう。

俺は短剣を構えるが、それを見たモナが楽しそうに、バカにするように笑う。

「いやー、話には聞いていたけど、キミって仲間が絡むと途端にバカになるんだね。自分が誘い出されたこと、わかっていないの?」

「なんとなく、気づいていたさ」

「へぇ」

「お前の目的は、おそらく、俺を始末すること。そのためにニーナをさらい、俺達を分断させた。そうだろう?」

「なんだ。直情型かと思えば、ちゃんとものを考えることができるんだね。意外だなあ」

「ニーナを返してもらおうか」

「いいよ」

モナはあっさりと言い、ニーナの背中をトンと軽く押した。

ニーナはゆっくりと、こちらに向かって歩き出す。

その足は次第に早くなり……

風を切るように駆ける。

そして、爪を出すように指を立てて、

「くっ!?」

慌てて体を横に。

直後、ニーナの拳が、えぐりとるような感じで宙を駆ける。

「ニーナ!?」

「……」

強く呼びかけるものの、反応はない。

そのまま、ニーナは次々と攻撃を繰り出してきた。

どれも鋭く、強烈で、一撃喰らえばタダでは済まないだろう。

「どう? どう? 仲間に攻撃される気持ち、教えてくれないかな? あはははっ」

「このっ……!」

モナを殴り飛ばしてやりたいが、しかし、そんな余裕はない。

操られたニーナの動きは、普段と比べるとやや鈍いのだけど……

しかし、最強種であるが故にそのスペックは高く、多少、動きが鈍っていたとしてもかなりの脅威だった。

ついでにいうのなら、こちらから反撃することはできない。

ニーナは操られているだけなのだ。

傷一つつけることなく、正気に戻したい。

ニーナを操るのは、モナの能力なのだろうか?

だとしたら、モナに一定のダメージを与えるか倒すかすることで、ニーナを正気に戻すことができるかもしれない。

ただ、ヤツの力は変身能力だったはず。

転移は、モニカと同じ魔道具を利用していると思われるから、洗脳も魔道具で……?

その場合は、モナを倒したとしてもニーナが正気に戻るかわからず……

「くっ!?」

ニーナの攻撃が飛んできて、慌てて避ける。

考え事くらい、ゆっくりさせてほしい。

「重力反転!」

ニーナにかかる重力を倍増させて、動きを止める。

「物質創造!」

ロープを作り出して、ニーナに放る。

ナルカミを使う要領で、そのまま捕縛を……

「おっと、そうはさせないよ」

「くっ」

モナが横槍を入れて、ニーナをかばう。

俺とニーナが争うところを高みの見物……

というわけじゃなくて、自分も戦闘に参加するらしい。

二対一。

しかも、ニーナが操られている状態。

これは……なかなかに厳しいかもしれない。

「実は私は、けっこう口が軽いんだよね」

「突然、なんだ?」

「私がこんなところまでやってきた理由は、神族の記憶を取り戻させないためでもあるけど……もう一つ、理由があるんだよね」

「……もしかして、俺か?」

「ピンポンピンポン、大せいかーい!」

とぼけた態度でモナが言う。

とても楽しそうにしているが、その様子と反比例して、こちらの機嫌は急降下していく。

「最初は、キミは大してマークされてなかったんだけどねー。でも最近、色々とがんばっていたでしょ? だから、リースにもマークされて、できるなら今のうちに……っていうわけ」

「リース……?」

「おっと、これは失言だったかな? さすがに怒られちゃうかも」

モナがてへ、と舌を出してみせた。

おどけているように見えるのだけど……

ただ、本気で失敗したかのようにも見えた。

リース……か。

たぶん、魔族なのだろう。

この名前、しっかりと覚えておかないと。

そのためにも……

「まずは、この状況をどうにかしないといけないな」