作品タイトル不明
476話 誰が行く?
まずは、残りのメンバーを集めた。
それから、さきほどと同じ説明をして……
誰がノキアさんの心に入るか? という相談をすることに。
「ちなみに、妾は外で魔法を使わないといけないため、同行はできぬ。ノキアも、当然、同行できぬ。自分で自分の心に入ることはできぬからな。妾とノキア以外で四人じゃ」
「むう。もう一人くらい、増やしたりできぬのか? 母上なら、なんとかなるだろう?」
「無茶を言うでない。妾の力をもってしても、四人が限界なのじゃ」
「からの~?」
「できぬわ!」
「はいはい、今はお笑いをしてる時じゃないでしょ。誰がノキアの心の中に行くか? それを決めるために集まっているんだから」
タニアがパンパンと手を叩いて、脱線した話を元に戻す。
「ちなみに、あたしはやめておくわ」
「にゃん? それは、どうして?」
「誰かがノキアの心に潜っている間、襲われないとも限らないし……イリスの時と同じよ。あたしは護衛に回るわ」
「にゃー……ちょっとふてくされていたのに、今度は、自ら立候補するなんて。タニア、大人になったね」
「カナデに言われると、そこはかとなく腹が立つわね」
「そういうことなら、今回は、私も護衛に回ろうかな? 心の中だと、物理特化の私、あまり役に立てないかもだし」
タニアとカナデが辞退した。
そんな二人の流れに続くように、リファが手を上げる。
「ボクも辞退しておくね」
「一応、理由を聞いておきたいんだけど」
「なんとなく?」
「えっと……うん、わかった。リファがそうしたいのなら」
「ありがと」
リファは気まぐれなところはあるが……
でも、その行動方針には、いつもなにかしらの理由がある。
今回も、なにか考えがあってのことだろう。
「ソラとルナはどうする?」
「むふんっ、我の力は必須であろう?」
「そうですね。ソラとルナ、どちらかは同行した方が……」
「却下じゃ」
「「えぇっ!?」」
ソラとルナは乗り気であったが、アルさんにダメ出しされてしまう。
「なぜなのだ!?」
「二人には、妾の手伝いをしてもらいたい。けっこう扱いが難しい魔法なので、サポートがいないと困るのじゃ」
「そういうことならば、仕方ないですね」
「むう……今度こそ、我が活躍できると思ったのに」
ルナは少し不満そうではあったものの、ごねることなく、素直に引き下がる。
同じくソラも、アルさんのサポートに徹することにした。
そうなると……
「残りの候補は、俺、ニーナ、ティナ、イリス、フィーニア、サクラ、フォンさん……といったところか?」
「悔しいですが、私はただの商人なので、力になれそうにありません。なにもできません……」
フォンさんが苦い顔をして言う。
詳しいことは聞いていないけど……
この人は、ノキアさんのことをとても大事に思っているのだろう。
「なにもできないなんてこと、ありませんよ」
「え?」
「ノキアさんの傍にいて、応援してあげてください。きっと、それはノキアさんの力になるはずです」
「……シュラウドさん……」
「あの……そうしていただけると、うれしいです」
ノキアさんも、フォンさんが傍にいることを望んでいた。
この二人、もしかしてもしかすると……?
なんてことを思うものの、それは後回し。
今は、闇の呪いをなんとかしないと。
「残り六人だから、あと二人、待機してもらわないといけないんだけど……」
「んっ」
ニーナが力強く挙手した。
「わたし……行き、たいっ」
「うん、そうなるよな」
母親のピンチなのだ。
じっと待つことはできないだろうし、できることがあるならなんでもやりたいと思うのが子供だろう。
「俺はいいと思う。他のみんなは?」
「賛成!」という言葉が一斉に返ってきた。
「というわけで、ニーナは決定だ」
「いい、の……?」
「もちろんだ。むしろ、ニーナ以外の適任者はいないよ」
「ん……がんばる、ね」
ニーナはやる気に満ちた表情で、しっかりと頷いてみせた。
とても頼りになる。
つい反射的に、いいこいいこと頭を撫でてしまう。
「んぅ」
「あ……すまない。つい」
「いい、よ? あと……レインも一緒に来てくれたら、うれしい……な」
「できれば、俺もそうしたいと思っていたんだけど……みんなは?」
「異議なし!」と、先程の攻撃を再現するかのように、みんなが一斉に答えた。
「じゃあ、俺とニーナは決定で。残り二人だけど……」
「ウチも行かせてくれへん? ウチ、幽霊やから、心の中に入るのとか得意やと思うんや。色々できるかもしれんし、お買い得やでー」
「なるほど、確かに」
アルさんを見ると、適任じゃろう、というような感じで頷かれた。
「じゃあ、三人目はティナで」
「よっしゃ! ニーナ、ウチ、がんばるからなー。絶対に、おかんのこと、治してみせるで!」
「あり、がと」
なるほど。
ティナは、ニーナのことを考えて、どうしても参加したかったのか。
二人は仲が良いし、この流れも当然なのだろう。
「わ、ワラヒも、が、がんびゃ……!!!」
「オフゥ……」
フィーニアも立候補してくれるのだけど、ガチガチに緊張していた。
ノキアさんの命にも関わる問題なので、ものすごい責任を感じてしまっているのだろう。
キミじゃあダメ、というような感じで、サクラがぽんとフィーニアの肩をやけに優しく叩いていた。
「そうなると……ふふっ、残りはわたくしですわね」
「イリス、頼めるか?」
「ええ、ええ。もちろんですわ。わたくしの全ては、レインさまのもの。求められて、断るという選択肢はありません」
「にゃん? 全て……?」
「レインのもの……?」
カナデとタニアの目が妖しく光るが、イリスは気にすることなく言葉を続ける。
「それに……今は、わたくしもレインさまのパーティーの一員。この力、誰かのために振るいたいと思いますわ」
「ありがとう、イリス」
昔のイリスを知っている身としては、なかなかに驚かされる発言だ。
まさか、イリスがこんなことを言うようになるなんて。
その変化をとてもうれしく思う。
「じゃあ、突入メンバーは、俺とニーナ。ティナとイリスということでいいか?」
「異議なーし」という答えが再び返ってきた。
そんな中、ニーナがノキアさんの手を取る。
「ママ……待って、いてね。わたしが、絶対に……助ける、から」
「ニーナさん……はい、待っていますね」
ノキアさんの記憶はないのだけど……
でも、二人は、紛れもなく母と娘に見えた。