軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

435話 すでに未来はない

「こんな、ところでぇっ!!!」

リーンは尚も抗い、破壊を撒き散らしていく。

一撃一撃の威力は恐ろしいほどに高く、それらが嵐のように無数に放たれている。

でたらめな攻撃ではあるが、脅威であることに変わりはない。

しかし、流れはこちらにある。

たくさんの最強種。

さらに、ニーナとカナデの覚醒。

これだけの要素があって、負けるわけがない。

……と言いたいところなのだけど、あと一歩。

決定的な一歩を踏み込めずにいた。

死にものぐるいで、リーンは必死の抵抗を見せている。

それらの攻撃を防いで、あるいは避けて……

こちらに致命的な被害が出ることは、ない。

ただ、苛烈な攻撃故に、どうしても決定的な一打を叩き込むことができない。

あえて攻撃に身を晒すような、そんな捨て身の戦法をとれば、もしかしたらいけるのかもしれないが……

さすがに、それはなしだ。

俺はともかく、みんなをそんな危険な目に遭わせるわけにはいかない。

どうする? どうすればいい?

「レイン君!」

シフォンがこちらに駆け寄ってきた。

あちらこちらがボロボロだ。

「シフォン、大丈夫か? 今、治癒魔法を……」

「ううん、私なら大丈夫。これくらい、なんてことないよ」

「でも……」

「本当に大丈夫。ね、レイン君。私を信じて?」

「……わかった。でも、絶対に無理はしないでくれよ」

「了解」

本当は、立っているだけでも辛いはずだ。

それなのに、こうして気丈に振る舞い、笑顔さえ浮かべることができる。

彼女の強さを見たような気がした。

「ちょっとだけ考えがあるの。それは、もしかしたら私にしかできないこと」

「それは?」

「ごめん。詳しく説明している時間はないから。レイン君は、身体能力を強化する魔法を私にかけてくれない? とにかくも、接近できないと話にならないから。でも、今の状態だと厳しくて……」

「……わかった。シフォンに託すよ。ブースト!」

「ありがと! 絶対に、突破口を開いてくるからっ」

シフォンはにっこり笑う。

次いで、すぐに厳しい表情になり、リーンに向けて突撃した。

「ファイヤーボール・マルチショット!」

せめてもの援護として、魔法を唱えた。

ありったけの量の火球をぶつけてやる。

全て障壁に阻まれてしまうが、爆炎が広がり、シフォンの姿をうまい具合に隠してくれる。

その間に、シフォンはリーンの懐に潜り込むことに成功した。

「雷鳴剣っ!」

雷撃魔法を剣にまとわせて攻撃する。

魔法剣の威力は相当なもので、障壁をまとめて複数打ち砕いた。

リーンに刃は届かない。

ただ、脅威を感じたらしく、リーンはシフォンの迎撃に専念するように。

雨のように攻撃魔法が降り注ぎ、シフォンを食らいちぎろうとする。

俺やカナデ、他のみんなの援護があるものの、その攻撃全てを止めることはできない。

それでもシフォンは怯むことはない。

むしろ、今まで以上に苛烈に果敢に突撃を繰り返す。

「あなたは……こんなところで、こんなことをして、どうしたいの!?」

「はぁ? なによ、あんた。あたしに説教するっていうの? そういうの、うざいのよぉっ!!!」

「くっ……あなたは、仮にも、元勇者パーティーの一員なんでしょう? それなのに、こんなことをして!」

「うるさいうるさいうるさぁあああああいっ!!! どいつもこいつもうっとうしいのよぉ! 凡人が天才であるあたしに意見するなぁ!!!」

「凡人だからこそ!!!」

シフォンがさらに踏み込む。

彼女の底知れない力に、リーンは顔を大きく歪めた。

「私は、天才とかそういうのじゃない。ただの凡人よ! でも、だからこそ、がんばってきた。優しい人になれるように努力をしてきた。だけど……失敗した。自分のことだけを考えて、周りに迷惑をかけて……」

シフォンが悔しそうな顔に。

おそらく、カグネでの出来事を思い出しているのだろう。

「でも、そこで諦めたりなんかしない。失敗したことを反省して、前に進もうとした。迷惑かけた分、がんばろうと思った。だからこそ、こうして、レイン君と一緒にいて……あなたと戦っているの!」

「このっ……うっとうしい!」

「あなたはどうなの!? 失敗を繰り返して、それだけで、反省することもなくて……そんな歪んだ人生でいいの!? 間違えても、でも、諦めることなく、まっすぐ生きようと思わないの!? レイン君と一緒にいて、そういう風に思わなかったの!?」

「だから、うっとうしいのよっ、あんたはぁ! このあたしに説教なんてするなぁ!!!」

「くっ」

リーンの魔法が吹き荒れて、シフォンが吹き飛ばされる。

ただ……魔法の威力が少し落ちているような気がした。

詠唱なしに魔法が発動できるとしても、ある程度の集中は必要なはずだ。

それがシフォンの言葉によって乱されている?

「私は、あなたのようにはならない! 勇者としての役目を、今度こそ果たしてみせる! その最初の仕事は……道を踏み外して、戻ろうともしないあなたを、ここで終わらせることよ!」

「このっ、偽物がぁあああああ!!! あたしが、あたしこそが……!」

「偽物とか本物とか、そういうのはどうでもいいの! 私は私として、やるべきことを果たす。今は、新しい勇者として……あなたという前のメンバーに、けじめをつける!!!」

シフォンが改めて剣を構えて、

「ルナティックボルト!!!」

極大の雷撃を剣にまとわせた。

それは剣に収まることなく、バチバチと音を立てながら、周囲に放電を撒き散らした。

「極・雷鳴剣っ!!!」

「っ!?!?!?」

リーンの障壁が一瞬で全て砕け……

さらに、極大の雷撃と斬撃がその身に降り注いだ。