軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1195話 ひとまずの静寂

ランデリオンとの会談が終わり。

タニアと並んで、ミルアさんの家に歩いて戻る。

「なんか、ちょっと拍子抜けしちゃったわね」

タニアがどこかスッキリとした様子で言う。

「すっごい嫌なヤツっていう印象だったんだけど、あたしの勘違い……っていうか、思い込み? 話してみれば、わりと話のわかる竜だったわね」

「そう……だな」

「なんだか歯切れが悪いわね? レインは違う印象なの?」

「いや、タニアと同じなんだけど……」

グローヴェインの父親とは思えないほど、しっかりとした人だ。

あれならば多くの竜に慕われているというのも納得できる。

納得できるのだけど……

「なんていうか、こう……うまく言葉にできないんだけど、仮面のようなものを感じたんだ?」

「仮面?」

「仮面をつけて本当の表情を隠していた。あるいは、見せないようにしていた……そんな印象を受けたんだよ」

表向きは誠実に。

しかし、裏ではなにを考えているかわからない。

悪巧みをしているかもしれない。

そういう違和感。

「ああして話をして、顔を合わせているのに……でも、ぜんぜん彼の心を感じられなかった」

「それは……」

「謝罪をしてもらった時、力になると言ってくれた時……まるで、あらかじめ用意された原稿を読んでいるかのような、そういう気がしてならないんだ」

「そう言われてみると……」

タニアも心当たりがあるらしく、ちょっと難しい顔に。

「それと……」

ランデリオンと話をしている時。

彼は、タニアに対しては普通に接していたが……

俺の言葉を投げかける時は、わずかではあるが圧を感じた。

竜族はプライドが高い。

人間に対して普通に接することは難しい、のかもしれないけど……

少しだけ。

ほんの少しだけど敵意のようなものを感じたのが気になるところだ。

それは、俺の勘違いなのか。

あるいは、竜族のプライドの高さから来るものなのか。

それとも……

「レイン!」

「大変なのだ!」

ソラとルナが慌てた様子で駆けてきた。

ぜーはーと荒い呼吸をして汗をかいているところを見ると、けっこう駆け回っていたらしい。

「どうしたんだ?」

「ルリがいないのだ!」

「なっ……」

――――――――――

俺達がランデリオンと話をしている間……

ソラがルリのためにおやつを作ろうとして。

ルナが慌ててそれを止めて。

よく知らないミルアさんが、おやつ! と喜んで、ソラがますますやる気を見せて。

そんな賑やかな時間が過ぎていたらしいけど……

ふと気がつけば、ルリの姿が見当たらないことにニーナとティナが気づいたらしい。

最初はなんとも思わなかったらしい。

近くを散歩しているとか。

トイレに行っているとか。

しかし、待てど帰って来る様子はない。

軽く近くを見てもルリが見つかることはない。

ルリはおとなしい子だ。

そして、ダメと言ったことは絶対に守る子だ。

竜族の里に来るから、ではなくて。

それよりも前から、決して一人で行動しないように、と約束をしていた。

最近は落ち着いているものの、ルリが狙われている可能性は消えているわけではない。

それ故の約束。

ルリもそういう事情をきちんと理解しているため、勝手をすることはない。

だから、急に消えたルリのことを心配するのは当然のことだ。

「最後にルリを見たのは?」

ひとまずミルアさんの家に集まり、みんなに話を聞く。

「えっと……ソラは、ルリに本を読んであげました。レイン達が出たのと、ちょうど同じくらいのタイミングでしょうか?」

「あ、その後に、我がルリと一緒に散歩をしたのだ」

「その後は?」

「うちは……すまん。食事の準備をしてたから、わからん……」

「わたし、は……」

ニーナが書庫を指さした。

「ルリが、そこに入るところを見て……それだけ」

「うーん……私は家の前でのんびり日光浴をしてたけど、ルリちゃんが出てくるところは見ていないよ」

最後に、ミルアさんがそう言って話を締めくくる。