軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1194話 拭えない違和感

「タニア殿にかけられた呪いを解除する方法をこちらも探しているが、なかなか見つからなくてな……それについても謝罪しなければならない」

再び頭を下げられてしまう。

「そ、そこまで気にしなくてもいいわ。まあ、やられたことを許したわけじゃないけど……あんたのせい、っていうわけじゃないし」

「そう言ってもらえると助かる」

「むぅ……」

調子が狂う。

そんな感じで、タニアはなんともいえない小さな呻きをこぼした。

隣に座るタニアにちょっと顔を寄せて、ランデリオンに聞こえないように小声で聞く。

「……今のところ、だけど、すごいまともな人なんだけど?」

「……おかしいわね? あのバカの親だから、最悪を予想していたんだけど……」

「……予想って、もしかして会ったことがない?」

「……」

「……まあ、グローヴェインがあんな感じだったから、会わずに毛嫌いするのも仕方ないと思うけど」

「……いえ、ダメね。あたしのせいで、レインに変な印象を植え付けちゃったんだもの。そこは反省しないと」

タニアは深刻な顔をする。

あまり気にしなくていいんだけどな。

なんだかんだ、こういうところはとても真面目なんだよな。

……たまーに過激になるけど。

たまにじゃないか?

「……グローヴェインはどうしているわけ?」

動揺を隠すためなのか、あたしは不機嫌ですよ、というポーズで問いかけるタニア。

ランデリオンはそれを気にした様子もなく、静かに答える。

「あやつには謹慎を言い渡している。己の行いを見つめ直して、なにが問題だったのか、それを自分で気づいてもらわなければならぬ。最悪、私が教えることになるだろうが」

「気づけるわけ、それ……?」

「……なんとも言えぬ」

ランデリオンが困った表情を作る。

グローヴェインの行いに頭を痛めている、という感じなのだけど……うーん?

「今日は、グローヴェインについての謝罪と、ヤツがやらかした行いについての援助をさせてもらいたいと思っている。それと……」

「あー……援助なら大丈夫です」

「レイン?」

タニアが不思議そうな顔をするけど、今は内緒話は難しいだろうから、話を先に進める。

「タニアの呪いの解除についてなら目処が立っています。今すぐに、というのは難しいですが、近いうちには」

「そうなのか? ふむ……それは喜ばしいことだ」

あまり喜ばしくなさそうな顔で同意する。

「もし可能なら、もうしばらく里に滞在したいんですけど……」

「それはなにも問題はないだろう。私が決めることではないが……ミルア殿も賛同しているのだろう? 人間が滞在することを禁じているわけでもないし、大丈夫だろう」

「ありがとうございます」

トントン拍子に話が進んでいく。

正直なところ……

よくも大事な息子に恥をかかせてくれたな?

人間など竜族の敵ではない!

ここで仲間共々滅ぼしてくれよう!

……なんていう展開も予想していたのだけど、そんなことはまったくない。

最悪の想像の真逆を突き進んでいる。

ランデリオンはとても紳士で、他所に控えて会話を聞いているであろうグローヴェイン派の竜族が口を出してくることもない。

とても歓迎すべき展開なのだけど……

「……そういえば、なにか言いかけていたようですが。あ、いえ。俺が遮ってしまい、すみません」

「いや。色々と気になることは多いだろう。疑問を抱いた時、気にすることなく質問をすればいい。それに都度、誠実に答えると約束しよう」

「ありがとうございます」

「それで、私が言いかけたことだが……いや。これはまだ早いか」

「早い?」

「すまない、こちらの話だ。少し考えていることがあるのだが……まずは、グローヴェインがやらかしたことに対する謝罪と、タニア殿の呪いの対処を優先しなければならないと思ってな。我らの助力は不要とのことだが、しかし、後々でやはり……となる可能性はあるだろう? その時は遠慮なく声をかけてほしい」

「それは……」

「気にする必要はない。今、考えるべきことはタニア殿の問題を最優先すべきであろう。そのために、なにか必要なことがあれば協力を惜しむつもりはない」

「……ありがとうございます」

とてもありがたい話だ。

たぶん、カナデ達がフィーニアを見つけてくれれば問題は解決すると思うけど……

もしかしたら、フィーニアでも難しい、という展開になるかもしれない。

その時は、コハネの解析を待つか。

あるいは、エルフィンさんを頼りにするか。

他の手を考えなくてはいけなくなる。

そうなった時、竜族が協力してくれるのは大きい。

身体能力だけではなくて魔力にも優れている。

きっといい方法が見つかるだろう……

……と。

期待はしたいのだけど。

できればしたいのだけど。

「……」

どうにもこうにも素直に喜べない自分がいた。