軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1189話 人権っていうものは義務と責務を果たしてこそ得られるもの

ドゴォオオオオオーーーーーッ!!!

街の一画で巨大な爆発が起きた。

轟音と衝撃波が周囲に飛んで。

夜の闇を吹き飛ばすかのように、炎の光が閃く。

それは、エーデルワイスの魔法によるものだ。

本気ではなくて、あくまでも戯れの一撃。

そうでなければ、今頃、街の一画だけではなくて全てが吹き飛んでいただろう。

付け足すのならば。

爆発で吹き飛んだ屋敷……悪徳商人の屋敷にいた者、全員、命を落としていたはず。

しかし、現実はそうはならない。

一応、手加減していたらしく、大半の者が瓦礫にまぎれて倒れ伏しているが、命を落とした者はいない。

骨が折れるなどの重傷者はいるだろうが、致命傷に至る者もいない。

凄惨な現場ではあるが、死者ゼロという奇跡的なことになっていた。

「「「……」」」

エーデルワイスを除く全員が唖然としていた。

エーデルワイスが策があると言って、悪徳商人の屋敷に向かい。

到着するなり、エーデルワイスがいきなり悪徳商人の屋敷を吹き飛ばしたので、唖然とするのも当然だろう。

「いやいやいやいやいや!? にゃにをしているの!?」

「いきなり吹き飛ばすとか、タニアの姐御っすか!?」

我に返ったカナデとライハがものすごく慌てた。

ちなみに、フィーニアは気絶していた。

サクラは、「おー」と、吹き飛んだ屋敷を花火を見るような感じで眺めていた。

「なに。どうせ、最終的にこうして力をぶつけることになる……ならば、最初からその過程を省いた方が早いだろう?」

「思考がほんとタニア!?」

「もしや、タニアの姐御が化けているっすか!?」

ここにタニアがいたら、とことんしばき倒されそうなことを口にするカナデとライハ。

とはいえ、慌てるのも仕方ない。

相手は『社会』を味方につけている悪徳商人。

それに力で立ち向かおうとしても意味はないと、そう結論は出たはず。

「……なるほど」

唯一、コハネだけが落ち着いていた。

「エーデルワイスさまのお考えは、ある程度、推測することができましたが……しかし、よろしいのでしょうか? 『魔王』の悪評が高まってしまいますが」

「悪評があってこその『魔王』ではないか?」

「……かしこまりました。エーデルワイスさまにお任せいたします」

「うむ、それでよい」

なにやら二人の間だけで通じるやりとりが交わされた後。

たまたま大きな被害を免れたらしく、ぼろぼろになった屋敷から横に長い男が粉塵に咳をしつつ出てきた。

「ごほっ、げほっ……! く、いったい何事だ……? いったいなにが……む? お前達は、この前の最強種二人……他の連中は……他の連中も最強種か?」

「お前がサクラとフィーニアの債権者か?」

エーデルワイスが前に出て、静かに……しかし強い口調で問いかけた。

「サクラ? フィーニア? ……あぁ、この前、手に入れた商品か」

「なんだ、てめえら? もしかして、あのおもちゃ達の仲間か?」

「こんなふざけた真似をしやがって後悔させてやる……お前らも奴隷にして、俺達がいいように使ってやるよ」

「「「……」」」

最初、エーデルワイスの暴挙に慌てていたメンバー達ではあるが。

男達の暴言を超えた暴言に、ピキリとこめかみのあたりをひくつかせた。

「魔王さま」

「やっちゃっていいよ」

「うむ」

二発目が炸裂して、男達の悲鳴が再び響いた。

それでも死者が出ていないのは奇跡というべきか。

あるいは、絶妙に手加減をするエーデルワイスを褒めるべきか。

「て、てめぇ……誰か、知らないが……俺達にこんなことをして、タダで済むと思っているのか……?」

「俺達の組織は、きちんと、街に認められて……」

「そのようなことは知らん」

男達は自分達の正当性を訴えるが、エーデルワイスはそれをばっさりと断ち切る。

彼らが法に触れない範囲で活動していようが。

あるいは、バックに領主などの大きな存在がいようが。

そのようなことはどうでもいい。

単純に……

「私の仲間に手を出して、タダで済むと思うなよ?」

「「「ひぃ……!?」」」

怒りで動いていた。

「貴様らは己の正当性を主張するが、私からすれば、そのようなものは悪人にない。権利というものは、正しき者にのみ生まれるものだ。人の道を外れた外道が人権を主張できるなど、笑わせてくれる。普段、好き勝手しておいて、都合のいい時だけ法を盾に人権を叫ぶとは愚か者が。あまり生きるということを舐めるなよ?」

「「「……」」」

エーデルワイスの本気の殺気。

つまり、魔王の殺気。

それを真正面からぶつけられた男達は抵抗なんてできるはずもなくて、そのまま泡を吹いて気絶した。