作品タイトル不明
1190話 妙なところで繋がる
「つまらぬな」
エーデルワイスは少しふてくされていた。
あの後……
エーデルワイスは、手加減なしの本気の攻撃を放とうとしたが、さすがにそれはカナデ達に止められた。
言いたいことも気持ちもわかるけど、やりすぎ……と。
その後、男達のアジトを捜索して、サクラとフィーニアの証文を見つけて燃やして。
ついでに、他に利用されている人々の証文も燃やして。
さらに、違法な奴隷や、単純に誘拐されていた人々を解放して。
ここまで悪事が暴露されてしまえば、もうどうすることもできない。
騎士団が動いて調査にあたることになり……
当然、エーデルワイス達も取り調べを受けるはず……なのだけど。
知るか。
の一言でエーデルワイスが却下して、サクラとフィーニアを連れて街を出た。
相手は悪人とはいえ、問答無用の攻撃。
さらに、捜査とはとても呼べない強引な方法。
それらもまた犯罪であり、エーデルワイスは捕らえられる可能性があったのだが……
それらの法を、エーデルワイスは力でねじ伏せた。
とんでもない暴挙である。
だがしかし。
エーデルワイスはまったく後悔してしないし、これが最善と疑っていない。
法は悪人の人権もある程度尊重する。
力に任せて解決、としたら社会が成り立たない。
が、エーデルワイスはそれを無視した。
法を無視して、社会の成り立ちを無視して、力で解決する方法を選んだ。
魔王故に。
そして……仲間のために。
無論、やりすぎではあったため、今こうして、カナデ達から説教を受けているわけだが。
「エーデルワイスはやりすぎだよ。そりゃ、ああしたい気持ちは私もちょっとわかるけどね? でもでも、私達は今、人間の社会にいるんだから。そのことをもうちょっと理解して、色々と自重しないと」
「そうっすよ。カナデが珍しくまともなことを言っていることに驚きっすが、まあ、正論っす。そして、正論っていうことは正しい、ってことっす。魔王さまは、色々とすっとばしすぎっす」
「むう……」
続く説教。
エーデルワイスは口をへの字にする。
エーデルワイスとて、先の行いが暴挙であることを自覚していた。
『社会』という中でそれをやってはならないことを自覚していた。
王であるからこそ、なおさら。
ただ。
仲間の身に危険が迫っているのなら?
仲間が人間達にいいようにされようとしていたら?
手段なんて選んでいられない。
どのような方法であれ、最短ルートを突き進み、確実に助けられる道を選ぶ。
そして、そのことにまったく後悔はしない。
エーデルワイスが心の底まで『魔王』に染まっていた頃。
その頃にはなかった考え方であり、感情だ。
そのことをカナデ達もわかっているからこそ、あまり強くは言わず、軽いお小言程度に留まっていた。
なんだかんだ……
悪人達は領主にとっても頭痛の種となっていて、どうにかして排除したいと、色々と計画を練り、色々な試みをしている最中だったらしい。
そこにエーデルワイスの一撃。
混乱が起きたし、法も社会も無視された。
とはいえ、悪人達を一網打尽にすることができた。
そのことは感謝しているらしく、エーデルワイスの『やりすぎ』は見なかったことにしてくれた。
「エーデルワイスが無茶をしたら、レインに迷惑がかかっちゃうんだよ?」
「む、それは……」
「気持ちもわかるけど、ほどほどにしないと」
「……すまん」
レインに迷惑をかけてしまうのは不本意だ。
エーデルワイスは素直に頭を下げた。
「よしよし」
これで終わり、という感じでサクラがエーデルワイスの頭を撫でた。
一人、よくわかっていない感じである。
「サクラさんとフィーニアさんは大丈夫ですか? なにか酷いことをされていませんか?」
「ぼくは大丈夫! 働くのも、ちょっと楽しかったくらい」
「さ、サクラちゃん、助けてもらってそれはちょっと……あ、でもでも、ワタシも社会経験ができて……はっ!? ご、ごごご、ごめんなさい! あれくらいで社会経験とか、社会を低く見てごめんなさい!」
「サクラとフィーニアは、相変わらずっすねー」
「謝るフィーニアを見ていると、変わらないなー、って感じで安心するよね」
「すごいわかるっす」
いつの間にか歪んだ価値観を抱いてしまっているカナデとライハだった。
「と、ところで、みなさんはどうしてここに……? ワタシ達のことを助けてくれたのは嬉しいんですけど、ただ、そういう感じではなかったような……?」
「実は……」
カナデは、今、タニアが置かれている現状を説明した。
「……というわけで、タニアを元に戻すためにフィーニアの力が必要なんだ」
「そ、そんなことに……わ、わかりました! まだまだ未熟なワタシですが、が、ががが、がんばりゅませぎゅ! ……あう、噛みすぎました……」
それでこそフィーニア。
そして、その気合やよし。
……というような感じで、カナデ達が頷いた。
「あれ? そうなると……」
ふと、サクラが小首を傾げた。
「どうしたっすか?」
「ぼく達、しばらくこの街にいたんだけど、竜族を見かけたよ」
「あ、そ、そうだね……そういえば確かに」
「え? ど、どういうことっすか……?」
「人間に変身してたけど、あれは絶対に竜族! ぼくの鼻はごまかせない!」
えへん、とサクラが胸を張った。