作品タイトル不明
1187話 いらしゃっせー!
「わふっ、いらっしゃいませー!」
とある街。
その中にある、とある食堂。
店に入ると、キラキラの笑顔に迎えられた。
太陽のように明るくて。
見ていると、ついついこちらも笑顔になってしまう。
そして、ついついときめいてしまいような、輝いている笑顔。
そんな看板娘となっていたのは……サクラだった。
「にゃ、サクラ……?」
「な、なにをやっているっすか……?」
「もしかして、アルバイトでしょうか?」
「ふむ。けっこう似合っているではないか」
皆が驚いて。
一人だけ違う感想を口にして。
そんなカナデ達を見て、サクラの尻尾が驚いたようにピーンと立つ。
「わふっ!? みんな!? どうしてここに!?」
「それは私の台詞なんだけど……」
「自分達、フィーニアを探してて……で、ここまでやってきたっす」
「フィーニアを?」
「ちょっと色々とあって……フィーニアはいる?」
「うん、いる!」
サクラが店の奥に視線をやる。
どうやら厨房で働いているらしい。
働いている……
その現状を知り、カナデ達はますます怪訝そうな顔に。
一度、パーティーを解散して。
その後は、それぞれの自由に任せていたのだが……
なぜ、サクラとフィーニアは食堂で働いているのだろう?
社会経験を積みたいと思ったのだろうか?
それとも金を稼ぎたいと思ったのだろうか?
そのあたりを問いかけると……
「借金返済!!!」
サクラが、とてもいい笑顔で答えて。
「「「「!?!?!?????」」」」
なにそれどういうこと!? という感じでカナデ達が驚いた。
エーデルワイスも驚いていた。
あの魔王を!?
そんな感じで、さらに追加でカナデ達が驚いていた。
驚きの連鎖である。
「わふ?」
そんな中、一人、よく現場を理解していない様子でサクラが小首を傾げていた。
――――――――――
「おまたせー!」
「お、おまたせしましたっ……!!!」
日が暮れて……
仕事が終わったところで、サクラとフィーニアはカナデ達と合流した。
場所は、街にある、なんてことのない宿。
広い部屋をとっていたため、サクラとフィーニアがプラスされてもまだ余裕はある。
ただ、二人は二人で別に宿をとっているらしく、寝る時はそちらに戻ると言うが……
「街の端……っすか?」
「簡単にではありますが、この街を見て回りましたが……端に宿があったという記録はございません」
「だよね。うーん? 私の記憶が確かなら、街の端って、放棄されたっぽい空き家があるだけだったような?」
「そ、そこがワタシ達の宿です……」
「え?」
「宿代かからないからお得!」
えっへん!
という感じで、サクラが自慢そうな顔を見せた。
エーデルワイスが疲れた様子で言う。
「サクラよ……それは宿ではない」
「でもでも、タダだよ? お金、使わない!」
「わ、ワタシ達は借金があるので、なるべく節約を……」
「……言われてみると、なんか二人共、ちょっと……うーん、な感じっすね」
「臭うな」
「「っ!?!?!?」」
ライハがどうにかこうにかオブラートに包んで伝えようとして。
しかし、エーデルワイスがばっさりと一刀両断してみせた。
さすがのサクラとフィーニアもショックを受けた様子で、目を大きくして驚いている。
サクラは、いつでもどこでも自由奔放で。
フィーニアは、身を引くことが多く、主張は常に控えめ。
そんな二人だから、身だしなみにあまり気を使わないのだが……
しかし、それでも女の子。
恋する女の子。
臭う、と言われて気にしないわけがない。
「「……がふぅ……」」
「にゃ!? サクラ、フィーニアーーーーー!?!?!?」
サクラとフィーニアが精神的なダメージで撃沈してしまうのだった。