作品タイトル不明
1186話 探しものならお任せあれ
竜族の里を出て。
少し離れたところにある人の村。
そこにカナデ、ライハ、コハネ、エーデルワイスの四人の姿があった。
「うにゃー……負けたぁ……」
「自分もっす……」
がくん、と肩を落として元気のないカナデとライハ。
どんよりと目が淀んでいた。
レインが里に残る選択をして……
そこで争いが勃発した。
私もレインと一緒に里に残る!
好きな人といつでもどこでも一緒にいたいという乙女心である。
ただ、タニア、ニーナ、ルリの三人は自動的に里に残ることに。
外よりは里の方が安全だろうから、という考え。
タニアも今は小さいため、扱いはニーナとルリと一緒だ。
コハネとエーデルワイスは、どちらでもいい、と大人の余裕を見せつけて……
残りのメンバーでじゃんけんをして、里に残るか外に出るかを決めた。
結果……
「落ち込まないでくださいませ。すぐに里に戻れるよう、わたくし、精一杯にがんばらさせていただきますので」
「女ならば、時に余裕を見せてしっかりと構えておくことも大事だぞ?」
同行するコハネとエーデルワイスが言う。
カナデ、ライハ、コハネ、エーデルワイス。
この四人が外に出て、フィーニアを探す役を担うことに。
「うん、そうだね。こっちはこっちで大事だから、私達もがんばらないと!」
「そして、戻ったらアニキになでなでしてもらうっす!」
「「おーーー!!」」
単純な二人であった。
故に、やる気が出れば心強い。
コハネとエーデルワイスが苦笑する。
「ところで……」
カナデの尻尾が『?』のマークを描く。
「どうやってフィーニアを探したらいいのかな? 北大陸まで行く?」
「めっちゃ遠いっす……ソラとルナがいないと、厳しいんじゃないっすか?」
「私が投げ飛ばしてやるぞ?」
「「やめて!?」」
エーデルワイスなら可能そうで。
そして、本気でやりかねないと、カナデとライハは互いを抱きしめるようにして震えた。
「運が良いのか。それとも、裏でなにかしらの意図が働いているのか……フィーニアさまでしたら、そう遠くないところにいらっしゃると思います」
「にゃん? コハネ、なんでそんなことがわかるの?」
「わたくしは、世界の管理者故」
「「???」」
カナデとライハは揃って小首を傾げた。
コハネは世界の管理者であり、世界の存続のために行動する。
必要な情報を集めるため、『機械』という今は失われた技術を主に使っていた。
それを利用すれば、特定の個人を探し出すことも可能。
魔法では考えられない精度、威力、能力を叩き出すことができる。
それがコハネの持つ『力』。
普通なら恐れ慄くか。
過度な敬意を持ち崇めるようになるか。
理解できず、遠ざけてしまうか。
だいたい、そのような選択になってしまうだろう。
ただ、カナデ達は……
「便利だよねー。外で迷子になった時、すごく助かりそうだね!」
「自分、この前、お気に入りのヘアピンをなくしたから、探してほしいっす」
「私は見られてやましいことなど一切ないからな。好きに探るといい」
こんな反応。
適当といえば適当。
ただ、根本にあるのはコハネに対する信頼と友情で……
たった少しの会話で、彼女達の関係性の全てが現れていた。
「それで、フィーニアがいるのって、どこら辺っすか?」
「この村から、さらに少しいったところにある街……そちらに反応を検知いたしました」
「ふむ? 人間の街か……なにか特別な街なのか?」
「いいえ。わたくしの知る限り、特別な要素は持ち合わせていないかと」
「にゃるほど、普通の街なんだね……そんなところに、フィーニアはなにをしに行ったのかな?」
「フィーニアがいるってことは、サクラも一緒っすかね?」
「はい。サクラさまの反応も検知いたしました」
「おー」
久しぶりの再会。
しかも一気に二人。
目的はともかく。
久しぶりに仲間に会えると思い、カナデとライハは嬉しそうな顔をした。
コハネは微笑み、エーデルワイスは不敵に笑う。
今、フィーニアとサクラはなにをしているのか?
もしかしたら観光だろうか? 楽しいことをしているのだろうか?
再会が楽しみだ。
早く二人に会いたい。