軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1078話 覚えていろよ?

「……」

ライハをしっかりと受け止めて、その顔を覗き込む。

穏やかな呼吸。

顔色も悪くない。

しっかりと手加減できたらしく、ただ気絶しているだけみたいだ。

操られたままなのか。

それとも、気絶したことで解除されたのか。

それはわからない。

ただ、まだ操られているのだとしたら、絶対に……

「おいっ、レイン! こっちだ!」

振り返ると、少し離れたところにアクス達が集まり、こちらに向けて手を振る。

包囲網を崩すことに成功したのだろう。

「わかった、すぐに行く!」

ライハをしっかりと背中に抱えて。

それから、邪教徒の連中を見る。

「……覚えていろよ?」

こういう時こそ冷静にならないといけないのだけど、どうにも難しく。

ただ、やるべきことは見失わず、俺達は、アクス達が作った逃げ道へ急いだ。

――――――――――

「どうだ?」

「……ああ、大丈夫だ。うまく撒けたみたいだ」

「そっか……ふぅ」

自然と安堵の吐息がこぼれた。

追われる側というのは、やはり精神的な疲労が大きい。

ライハも守らないといけないから、なおさらだ。

とはいえ、なんとか邪教徒の連中を撒くことができた。

少し休憩ができる。

「周囲の警戒を頼む。なにかあれば吠えてくれるだけでいいからな?」

「ガウッ!」

近くにいた狼の群れと仮契約をして、周囲の警戒を頼んだ。

それから、皆のところへ戻る。

「ありがとう、レイン君。警戒を担当してくれて」

「俺よりも、あいつらに礼を言ってくれ。そうだな……後で肉なんてあげると喜ぶと思う」

「うん、そうするね」

「でもー、レインさんがいて助かりましたねぇ。私達だけだとぉ、周囲の警戒は、どうしても自分達でやらないといけませんからねー」

「動物に任せることができれば、私達は全員、休むことができるからなー」

「まったく、ビーストテイマー様々だな」

「恥ずかしいからやめてくれ……それよりも、これからについて話し合おう」

携帯用の飲料水を皆に配りつつ、話を進める。

「完璧とは言えないものの、邪教徒の正体について、ある程度のことを理解することができた。これは大きな前進だけど……」

「あいつら、どこから湧いてきたんだ? 俺等の情報、どこからか漏れていたんじゃないだろうな?」

「うーん……ギルドが裏切ったとか、それは考えづらいんだよね。犯罪者と結託することはあっても、邪教徒が相手、っていうのは……さすがにリスクが高いし、リターンも少なすぎると思う」

「元から邪教徒だった、という話はどうですかー?」

「スパイだな」

「可能性はなくはないけど……でも、それなら、私達がドラグロース家の情報を手に入れる前になんとかするべきだと思うの。でも、実際は情報を手に入れた後に動いた……やっていることが中途半端なんだよね」

「む、それもそうだな」

「レイン君はどう思う?」

「そうだな……」

考える。

教会の地下で見た光景を思い返す。

「……もしかしたら、トラップが仕掛けられていたのかもしれない」

「トラップ?」

「侵入者がいたら探知して、それを知らせる……みたいな。それで、邪教徒は慌てて駆けつけてきたとか?」

「なるほど……ありえるかもしれないね」

「でも、んなものあったか? というか、んなものを仕掛けるくらいなら、最初っから、あそこの資料とか全部燃やせばいいだろ」

「あまり大きな動きをしたくなかったんじゃないかな? 下手に動いたら、誰かに感づかれるかもしれない。そこから自分達のことがバレてしまうかもしれない。だから、トラップを仕掛けるだけに留めておいた」

「一番、しっくり来る説明だけど……ただ、それが正しいかどうか、確認する術はないな」

「その嬢ちゃんから話は聞けないのか?」

アクスは、俺の隣で寝ているライハを見た。

ライハはすぅすぅと寝ている。

穏やかな吐息だ。

見た感じ、異常はなさそうだけど、いつ目が覚めるかわからない。

それと、実はまだ操られていて……という可能性も捨てきれない。

「ライハについては、様子を見るしかないな」

「そっか。まあ、無理はできねえからな。安全第一で行くか」

「うん、それがいいと思うな」

「賛成ですー」

「で……これからどうするんだ? 手がかり、なくなったぞ」

ショコラの問いかけに、ついつい頭を抱えたくなってしまう。

地図に書かれていた教会。

そこで得られる情報は、あれで全てだったのか?

もしかして、他にも情報が残されていたのではないか?

考えたらキリがないのだけど、それでも、不安は消えてくれない。

「……餌を撒いてみるか」