作品タイトル不明
1066話 勇者パーティー再び
話がまとまったところで、カナデと別れて、俺とシフォンは再び冒険者ギルドへ。
これから先、どれくらいになるかわからないけど、シフォンと一緒に行動をすることになる。
そのことを冒険者ギルドに報告する必要があるため、再び訪れた、というわけだ。
「……はい、こちらで手続き完了です。レインさんと勇者様は、一時的にパーティーを結成されました。この間は同じ依頼を請けることができますし、物資のやりとりや資金の提供などなど、色々なことを行えますよ」
「ありがとう。急な話なのに、すぐに対応してもらって」
「いえいえ。他ならぬレインさんのお願いですから」
一時的なパーティー結成。
本来は審査などが入り、もう少し時間がかかるのだけど……
ナタリーさんはこちらの事情をある程度察したらしく、すぐに手続きをしてくれた。
感謝だ。
「ふふ♪ これで、レイン君も勇者パーティーの一員だね」
「そうですね。とても素晴らしいことかと♪」
「えっと……そうなるのか?」
勇者パーティーを追放されて。
でも、再び勇者パーティーの一員になって。
妙な因果だな、とついつい苦笑してしまう。
以前とは違う。
リーダーは、アリオスじゃなくてシフォンだ。
仲間は、ショコラとミルフィーユ。
きっと、とてもやりがいがあるだろう。
がんばらないとな。
「それじゃあ、パーティー結成のついでに聞きたいことがあるんだけど……」
「はい。……邪教徒の件ですね?」
ナタリーさんは声を潜めて言う。
この件については、まだ不確定な情報が多い。
故に、公に話すことは難しいのだろう。
「こちらに資料をまとめています」
「うん、ありがとう」
「まだ調査中でして、その資料は第一弾、という感じで……なにかしら新しい情報を得たら、その時は、また勇者様にご連絡いたしますね」
「期待しているね、って言いたいところだけど……相手の正体や目的はよくわかっていないし、たぶん、危険な相手だと思う。あまり無理はしないでね?」
「はい。ご心配いただき、ありがとうございます」
シフォンと一緒に冒険者ギルドを後にした。
それから、俺の家に向かう。
密談……というわけではないけど。
秘密の資料を見るなら、我が家が一番だろうという判断だ。
「ただいま」
「おかえりなさい」
家に帰ると、ソラが出迎えてくれた。
「他のみんなは?」
「ルリが掃除をしてて、カナデとルナはその手伝いです」
「そっか」
掃除をがんばるルリの姿が思い浮かぶ。
ちょっと微笑ましく、笑みがこぼれた。
「それと……珍しい、というか、ずいぶんと久しぶりのお客さんですね」
「こんにちは、ソラさん。ひさしぶりだね」
「はい、シフォン。元気そうでなによりです。今日は……」
「ちょっとシフォンと話したいことがあって。詳細は後でみんなにも説明するけど、カナデから連絡がいっていることだよ」
「ああ、あの……わかりました。では、客間を使ってください」
「ありがとう」
ソラと別れて、シフォンを客間に案内した。
そこそこの広さと、綺麗なソファーとテーブル。
他に人はいない。
それと、実のところ、ここの客間は盗聴などの対策の魔道具を設置している。
我が家にやってくる人は、色々と事情がある人も多く……
そのために、改築の際に設置しておいたのだ。
「それじゃあ、資料を見てみるか」
「うん。しっかりと確認しておかないとね」
ギルドでもらった資料をテーブルの上に広げて、シフォンと二人で確認する。
「ふむ」
現状、資料に書かれていることはナタリーさんから聞いたこととほぼ同じだ。
邪神を崇める者がいる。
その連中は、邪神のための生贄を捧げるため、人々を誘拐しているらしい。
他にも、多数の犯罪。
彼らの出自は不明。
ただ、遥か昔から存在していたわけではなくて、戦争が終結した後……
この一年の間に生まれたらしい。
急速に信者を増やして。
急速に力をつけて。
そして、『害悪』として認定された。
「まだ詳しい情報はない……か」
「新しい組織……組織って言えばいいのかな? とにかく、そんな存在だから、情報が集まりきっていないみたい」
「厄介だな」
これから戦う相手の情報がない。
それほど恐ろしく、心もとないことはない。
テイマーも同じだ。
テイムする時は、相手のことをしっかりと調べて、たくさんの情報を持つ。
そうでないと成功しない。
その情報がないとなると……
思っていた以上に苦戦しそうだ。
「やっぱり、まずは情報収集だよね」
「ああ、俺もそう思う」
「冒険者ギルドに頼るだけじゃなくて、私達も、独自に動くべきだと思うんだ」
「それはそうだけど……」
シフォンは、情報を得る先に心当たりがあるのだろうか?
怪訝そうな顔をすると、シフォンはドヤ顔を披露する。
「ふっふっふ。レイン君に、勇者パーティーの情報収集術を教えてあげる♪」