作品タイトル不明
1060話 充実した日々
「……よし、こんな感じかな?」
リビングの中央に立ち、周囲を見る。
綺麗に磨かれた床。
同じく綺麗に磨かれたテーブル。
先ほどまで散らかっていたクッションなどは、ソファーの上にまとめておいた。
埃なども綺麗に取り除いている。
「掃除って、一度、本気で手をつけるとなかなか止まらないよな」
ここ最近、色々とあったため、ちゃんとした掃除ができておらず……
今日はしっかりと家を綺麗にしよう! と、久しぶりに気合を入れた。
結果、ピカピカのリビングが。
ちなみに、カナデは庭の掃除だ。
陽の光を浴びて、気持ちよく掃除をしたいとのこと。
ソラとルナは洗濯だ。
二人には、いつも洗濯を任せているのだけど……
男の俺が洗濯をすると、ちょっとした問題が出てしまうので、これは仕方ない。
そして……
「レイン」
呼ばれて振り返ると、ルリの姿が。
右手にほうき。
左手にちりとり。
そしてマスクと完全装備だ。
「部屋の掃除、終わった」
「ありがとな、ルリ」
「平気。私の仕事」
自分だけのんびりするわけにはいかないと、ルリも掃除をお願いしていた。
今、留守にしているみんなの部屋の掃除だ。
大きく汚れてはいないものの、どうしても埃は溜まる。
それらを綺麗にしてもらった、というわけだ。
「次はどこを綺麗にすればいい?」
「ん? そうだな……」
正直なところ、掃除はだいたい終わった。
外にいるカナデも、洗濯をしているソラとルナも、そろそろ戻ってくるだろう。
ただ、ルリはやる気になっているみたいだから……
「掃除は終わりだけど、昼食を作ろうか。手伝ってくれないか?」
「うん、やる」
「よし、がんばろう」
そんなわけで。
こんなこともあろうかと、あらかじめ買っておいた子供用のエプロンをルリに。
それと、台を用意して、共にキッチンに立つ。
台は、たまに料理を手伝うニーナが使っていたものだ。
ニーナやノキアさん。
それと、一緒についていったクウとコウは元気にしているだろうか?
そろそろ会いたいな。
「レイン?」
「あぁ……いや、なんでもない。それじゃあ、始めようか」
「うん」
二人で一緒に昼食を作る。
といっても、それほど大したものを作ることはできない。
そこまで料理スキルは高くない。
それと、ルリが一緒だから、あまり手の込んだものに挑戦して、それで逆に怪我を招いてしまうこともある。
今日はシンプルにサンドイッチでいこう。
「ルリは、野菜を綺麗に洗ってくれないか? それと、レタスなどを手でちぎって細かくしてほしい」
「うん」
ルリは言われた通り、作業を進めていく。
ゆっくりと、丁寧に。
彼女の性格が現れているかのようだ。
うん。
一見すると、彼女は感情の起伏が少ないように思えるけど……
やっぱり、色々なことを考えているのだと思う。
今もたぶん、美味しいものを作ろうと、喜んでほしいと、俺達のためにがんばってくれているはず。
見ていると、それがよくわかる。
「どうしたの?」
「いや」
この調子で、いつか。
いつか、ルリが心から笑える日が来たらいいな。
いや。
いいな、じゃない。
来させてみせる。
そのために、がんばろう。
そう決意をして、俺は、ルリと一緒に昼食を作っていくのだった。
――――――――――
……ちなみに。
二人で作った昼食のサンドイッチは好評で。
それに触発されたソラが、夕食は自分が作ると言いだして、色々と大変だった。