作品タイトル不明
1059話 一緒に
その後……
みんなと協力して、魔族達を捕縛。
力を使えないように魔導具の枷をつけた後、ステラ率いる騎士団に引き渡した。
寂しい話だけど、こういう事件は多い。
一年前の戦いが終息した後も、まだまだ続いている。
ただ、新しい王……
ユウキは、無意味に処断をすることはない。
拘束はするものの、命を奪うようなことはしない。
できる限りの話をして。
心を交わす努力をして。
諦めることなく、何度も声をかけていく。
それで全てが解決するわけじゃない。
考え直してくれる者なんて一部だけ。
……でも、一部はいる。
ならばいつかは……と信じて、活動を続けるだけ。
人間と魔族、両者の間に橋を渡す作業を続けるだけ。
今回、捕まえた魔族達も軟禁されるだろう。
対話をする場に送られるだろう。
それが良い方向になるか。
それとも悪い方向になるか。
わからないけど……
「簡単に諦めたくはないよな」
――――――――――
色々とあったものの、事件は解決。
もうルリが狙われる、利用されることはないと思う。
ただ……
彼女の詳しい出自はよくわからないまま。
もう戻るところはないらしいけど……
なぜ、そんなことになっているのか?
その詳細は不明だ。
わからないことはある。
でも、
「今はいいか」
俺達が傍にいればいい。
そしていつか、一緒に過ごす家族のような関係になることができれば。
そんなことを思いつつ家に帰る。
「ただい……」
「おかえり」
扉を開けると、すぐにルリがやってきた。
そのまま、ひしっと抱きついてくる。
顔は無表情のまま。
でも、行動は大胆になっているような?
「レインのことを心配していたみたい」
奥からカナデがやってきた。
その後ろに、ソラとルナもいる。
「冒険者ギルドや騎士団に報告に行っていたでしょう? ただ、ルリは詳しくないから……」
「自分をかばったせいでいじめられるかも、と心配していたみたいなのだ」
「そっか……ありがとな、心配してくれて」
「ん」
「でも、見ての通り大丈夫だ。いじわるなんてされていないし、むしろ、親切にしてもらったよ」
ステラもナタリーさんも、親身になって相談に乗ってくれた。
今後の対応もしっかりとしてくれると約束してくれた。
「よかった」
ルリがそう言う。
……小さな笑みと共に。
「「「……」」」
「どうしたの?」
「あ、いや……」
俺達は、ついつい驚いてしまう。
最初は人形のような子だったけど……
こうして、少しずつ感情を見せてくれている。
俺達が良い影響を与えているのだろうか?
だとしたら嬉しい。
これからもこの調子で……
「がんばろうな」
「? よくわからないけど……うん、がんばる」
ルリは、ぐっと小さな拳を握って見せるのだった。