作品タイトル不明
1043話 ついつい、なんとなく
「ソラ、ルナ……!?」
精霊族の里に帰っているはずのソラとルナがいた。
どどーん、という感じでルナはポーズを決めて。
その隣で、やや呆れた様子でソラがため息をこぼしていた。
「まったく。ルナは、短慮であると言わざるをえません。今の人間達がただの一般市民だったら、どうするのですか?」
「ただの一般市民は、こんな大勢で、しかも武装して人を尾行したりしないのだ」
「それは、まあ……」
「あと……ついつい、なんとなくでやってしまったのだ!」
「威張ることではありません!」
「ふぎゃん!?」
ルナが暴走して、ソラが諌める。
まったく変わっていない光景に、なんだか安心してしまう。
しばらくの間、離れていたけど……
二人はいつも通りだった。
「レイン、久しぶりです」
「元気にしていたか? 我は元気だぞ! ふはっはっは!」
「なぜ、そこで威張る必要があるんですか……まったく」
何年も離れていたわけじゃない。
でも、二人のやりとりを見ると、すごくほっとして……
うん。
やっぱり、二人がいると楽しくて、嬉しい。
「よかった、ソラとルナが元気そうで」
「我は、それだけが取り柄だからな!」
「それ、自分で言ってしまうんですか……?」
「にゃー、いつも通りだね」
「……」
カナデがやってきて……
その後ろにルリが隠れていた。
ちょこっと顔を出して。
でも、ソラとルナと目が合うと、すぐに隠れてしまう。
「む? なんだ、その娘は?」
「見たことのない顔ですが……」
「ふふんっ、なにを隠そう、この子は私とレインの愛の結晶なんだよ!」
「「それはない」」
「秒で看破された!?」
カナデはショックを受けた様子で、尻尾をピーンと立たせた。
それを見て、ルリがびくっと驚いていた。
「ソラ達は同盟を結んだ身。そのような抜け駆けをしてはいけません」
「なによりも、カナデにそこまでの度胸があるとは思えないのだ。行動力があるように見えて、肝心なところで怯む、恋愛ヘタレなのだ」
「にゃぐぐぐ……」
言われたい放題だった。
微妙な冗談を口にしたから、仕方ないのかもしれない。
「ひとまず、後始末を騎士団に任せよう」
「その前に……」
ルナが気絶したままの不審者の顔を覗き込む。
「メモリーサーチ」
対象の記憶を読み取る魔法だ。
全てではないし、任意に選ぶこともできない。
それでも、問答無用で相手の考えていることなどを理解できるため、状況把握にかなり適した魔法だ。
ソラも同じように、他の不審者達に魔法を使っていた。
「ふむ……さすが、レインだな」
「え?」
「なにやら、面倒なことに巻き込まれているみたいではないか」
「いつものことですが、ここまでいつも通りだと、トラブルの才能ですね」
「妙な感心をしないでくれ……」
そんな才能はいらない。
――――――――――
不審者を騎士団に引き渡して。
それから家に戻り、積もる話をすることに。
「……と、いうわけで、我らは精霊族の里の仕事を終えて、レインのところに帰ってきたのだ」
「家に帰る前に、ルナがサプライズが欲しいと言い出しまして……」
「街で料理とお酒を買っていこうとしたのだ」
「本当なら、ソラが料理をしてもよかったんですけど……」
「やめてくださいしんでしまいます」
「……このように、なぜかルナが反対するので。それで街を見て回っていたのですが、妙な気配を感じて」
「助けに来てくれた、っていうわけか」
とても良いタイミングだ。
よくわからないごろつきに負けるつもりはないが……
ルリがいる以上、万が一の失敗も許されない。
「二人が来てくれて、本当に助かったよ。ありがとう」
「はぅ」
「ふぁ」
反射的に……というか、いつもの癖でソラとルナの頭を撫でた。
二人は猫がするように気持ちよさそうにする。
「二人の事情はわかったよ。改めて、ありがとう」
「いえ、レインの役に立てたのなら、なによりです」
「ところで、我らの方からも聞きたいのだが……」
「ルリのことだよな?」
今、この場にルリはいない。
遅い時間なので、おやすみの時間だ。
念の為、カナデに傍についてもらっている。
怪我などはないけど……
戦闘を間近で見たから、もしかしたらショックを受けているかもしれない。
「実は……」
ルリについての説明をした。
「ふむ……人間と魔族のハーフか」
「驚きですね。そのような存在がいるなんて。でも……納得ですね。あの子から感じる妙な気配は、ハーフだからだったんですね」
「我も初めて耳にするが……むーん。こういうことなら、母に聞いておけばよかったな」
「まあ、いざっていう時はアルさんの知恵を借りるよ」
とはいえ、何度も何度も甘えてばかりはいられない。
まずは、自分達でできることを考えよう。
「彼女がハーフだから、という点が絡んでいるのか、それはわかりませんが……一つ、気になることがあります」
「うむ。それは……先のごろつき連中は、ルリを狙っていたのだ」