作品タイトル不明
1044話 狙われた少女
「先のごろつき連中は、ルリを狙っていたのだ」
二人の話を聞くと……
ごろつき連中の記憶を覗いたところ、その目的はルリをさらうこと。
その背後に、貴族らしき男がいること。
そのニ点の記憶が見えたという。
「ルリの誘拐……か。間違いないんだよな?」
「はい、間違いありません」
「なんか偉そうな男が、あの子をさらうように命令しているところが見えたのだ」
「あの男は、たぶんですが、貴族ではないかと」
「我らは貴族に良い思い出はないから、逆にしっかりと覚えていたのだ」
そういえば、ソラとルナは、ろくでもない貴族に絡まれたことがあったっけ。
「ただ、なぜさらおうとしたのか、そこは不明です」
「傷つけぬように命令していたから、身代金かもしれぬが……」
「どうなんだろうな? ルリは……家族のこととかよくわからない。そんな相手を誘拐しても、身代金は難しいだろう」
「むぅ……」
「狙われる理由があるとしたら、彼女がハーフであることが関係していると思うけど……とはいえ、なんとも言えないな」
奴隷商人に捕まっていたこともある。
ルリが狙われているのは間違いないだろう。
ただ、その理由は?
犯人の姿と、その目的は?
現時点では情報が足りず、ざっくりと推測することもできない。
「明日、情報収集をしてみるか」
「うむ、我らも手伝うぞ」
「ソラ達の力はレインのために」
「うん、ありがとう。二人がいると心強いよ」
「うへへ、そんな本当のことを」
「レインのためにがんばりますね」
ソラとルナは、少し照れた様子で頬を染めるのだった。
――――――――――
「……失敗したようだな」
「も、申しわけありません……! ただちに、次の者を……」
「いらぬ」
「は?」
「いらぬ、と言った」
「し、しかし、あの子供がいなければ、我らの大義は……」
「もちろん、子供は必要だ。儂がいらぬと言ったのは……」
「ひっ」
「お前だよ」
――――――――――
「まったく……使えないものが多い。己の役割をしっかりと自覚して。そして、命に替えても果たそうという気概を持つ者が少ない」
「ただ使えないだけなら、まだ他の使い道はあるが……あれはダメだな。あの程度でうろたえているようでは、いずれ、儂らを裏切っていただろう。保身のために敵に情報を売り渡していたかもしれぬ」
「そういう意味では、そうなる前に潰すことができてよかった、というべきか」
「本当の意味で、儂らの大義を理解してもらわねば困る……が、そのような者は少ない。まやかしに騙されている……」
「なればこそ、儂が立ち上がらねばならぬ。同胞の目を覚ますために。世界をあるべき正しい姿に戻すために」
「そのためならば、大義を成すためならば……儂は、悪鬼羅刹にでもなろう」
――――――――――
「わからない?」
ソラとルナにお願いして、ルリにメモリーサーチを使ってもらった。
しかし、返ってきた答えは「わからない」というもの。
「うまく記憶が読み取れないのだ……すまぬ」
「ハーフだからなのか、他の要因があるのか、それはわかりませんが……」
「そっか」
二人の魔法なら、と期待したのだけど、そうそううまくはいかないみたいだ。
でも、「魔法ではルリの過去がわからない」というのも一つの手がかりだ。
小さな一歩かもしれないけど、少しずつ、着実に前に進んでいこうと思う。