作品タイトル不明
1037話 名前
ステラとの話を終えた後、女の子と再会した。
風呂に入れられて。
髪を整えてもらって。
綺麗な服を着せられて。
女の子は見違えるように綺麗になっていた。
どこかのお姫様なのだろうか? と本気で思ったほどだ。
そんな女の子を連れて、家に戻る。
「今日から、ここがキミの家だ」
「……」
家の中に案内するのだけど、女の子はぼーっとしたまま。
俺の後ろをついてきてくれるものの、特に反応らしい反応はない。
……大丈夫かな?
かなり酷い環境にいたみたいだから、心を病んでいるのかもしれない。
そうだとしたら、時間をかけてゆっくりと癒やしていきたいのだけど……
「……おうち……」
ふと、女の子がぽつりとつぶやいた。
「うん?」
「私の……おうち?」
「ああ、そうだ。キミの家だ」
「こんなところで……いいの?」
「もちろん」
「……」
女の子は、再び無口に戻ってしまう。
ただ、その表情は嬉しそう……に見えなくもない。
なにを考えているのか?
なにを感じているのか?
さすがに、まだわからないな。
「部屋に案内するよ」
「部屋……?」
「ああ、キミの部屋だ」
「……」
小首を傾げている。
なんで部屋をもらえるの? ……という感じかな。
「その辺りの床で……いい」
「そういうわけにもいかないさ」
「でも、私なんて……」
「大丈夫。部屋は余っているから」
「……」
戸惑い……かな?
自分なんかにはもったいない、と考えているみたいだ。
謙虚というよりは、本気で理解できない様子。
いったい、どのように育てばこんな風になるのだろう?
「とにかく、気にしないで。遠慮なく使ってほしい」
「……うん」
「部屋を案内した後は、ごはんにしようか。キミは……って、呼びにくいな、これ」
女の子の名前はわからないけど、いつまでも『キミ』というのはどうかと思う。
「……名前をつけてもいいかな?」
「名前?」
「そう、キミの名前」
「……いいよ」
よし、許可を得ることができた。
これが本当の名前になるか、それはわからないけど……
気に入ってもらえるように、がんばって考えよう。
「んー」
やっぱり、女の子だから可愛い名前がいいよな。
それでいて綺麗な響きがいい。
あと、なにかしら意味が込められていると最高だ。
……って、なんだか父親になったような気分だ。
俺もいつか、自分の子供に名前をつける時が来るんだろうか?
「……ルリ、なんてどうかな?」
宝石を元に考えた。
半分、綺麗な青の髪を持つから、似合うのではないか? と思った。
「……ルリ……」
女の子は口に出して繰り返した。
心なしか喜んでいる……?
「うん……私は、ルリ」
「よかった。じゃあ、今日からルリって呼ばせてもらうよ」
「うん、いいよ」
こうして、今日からルリが新しい家族になるのだった。