軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1026話 幕間・恋愛戦争の行方その2

「わたくしは、レインさまを譲るつもりはありませんわ」

「それは……」

イリスの大胆な宣言に、カナデは、ややたじろいだ。

しかし、すぐに復活。

キリッとした表情で前に出る。

「私だって、レインのことを諦めたりしないよ!」

「我もなのだ!」

「わたし……も」

「自分もっす!」

次々と意思が表明されていく。

やがて、それは皆の決意表明となり、絶対にレインは諦めない、という答えに繋がっていく。

「「「むむむ」」」

皆の視線が激突した。

ばちばちと火花が散るかのようだ。

日頃、穏やかなニーナも。

のほほんとしたライハも。

こればかりは譲れないと、強い目をしている。

それぞれ闘気が高ぶる。

ちりちりと場の空気がピリついていく。

一人の男を賭けての恋愛戦争。

今ここに、複数の最強種による大乱闘が……

「……にゃーん」

……勃発することはない。

最初にカナデが肩の力を抜いて、皆がそれに続いて、吐息と共に力を抜いた。

確かに、レインのことは好きだ。

彼と結ばれたい。

恋人になりたい。

心の底からそう思う。

ただ、皆を蹴り落としてまで、そんなことはしたくない。

レインのことは好きだけど……

しかし、同じように皆も好きなのだ。

仲間の涙を見てまで、とは思わない。

とはいえ、そうそう簡単に諦められるものでも。

譲ることもできないわけで……

「「「うーん」」」

どうすればいいのだろう?

皆が唸る。

考える時間。

しばらくして、なにか閃いた様子でリファが言う。

「提案」

「ん? なんや?」

「自分だけのものにしなければいい」

――――――――――

「にゃー。と、いうわけで……」

「あたし達、全員を恋人にしてくれる?」

「えぇ……!?」

大事な話があると、みんなに呼び出された。

告白の件だろう。

俺は、考えに考え抜いた結論を手に、彼女達のところに顔を出したのだけど……

予想の斜め上を行く話をされてしまう。

「いや、えっと……ちょっとまってくれないか? ……みんなを?」

「うむ、そうなのだ」

「ソラ達、全員、レインのことが、その……好きなんです」

「だから、自分達、全員をアニキの恋人にしてほしいっす!」

「えぇ……」

なぜ、そんな結論に……?

あまりに極端すぎないか……?

「……だめ?」

「だめというかなんというか……ごめん。あまりに予想外すぎて、頭が追いついていない」

俺なりに結論を出したのだけど……

それを、まるっとなかったことにしてしまう、逆転の発想だ。

……逆転すぎるだろう。

「レインさま、気にされる必要はありませんわ。重婚が罪とされることはありませんから」

「いや、まあ……それはそうだけど」

貴族など、血を重視するところは多い。

勇者の血を引く一族も同じだ。

もしも当主になにかあれば?

そういった時に備えて、複数の妻。

あるいは、複数の夫を持つ者は、実のところ、それなりに多い。

ありえないことではないのだけど……

父さんと母さん、故郷の皆はそういうことをしていなかったため、俺の中に常識として定着していない。

「にゃー、レインは……嫌?」

「嫌というか、しっくりこないというか……想像できないんだよな、そういうところが」

「そっか。レインは真面目だもんね」

「でも、これ、適当に考えた答えじゃないの。それは理解してほしいわ」

「わたくし達は、皆、主さまのことを慕っています。しかし、同時に、みなさまのことも好いているのです」

「故に、私が独り占めするのではなくて、皆で分かち合おう、という結論になった」

「……ちょっと待ってくださいな。その結論はいいとして、勝負をすればエーデルワイスさんが確勝するような言い方は、気になりますわ」

「事実だからな」

「へぇ……」

エーデルワイスとイリスの間で闘気が高まっていく。

やめてくれ。

二人に暴れられたら、家が……というか、街が吹き飛んでしまう。

「レインの旦那は、ちと、考えてくれへん?」

「考える?」

「うちらの提案を、や」

「ソラ達が無茶を言っているのもわかるので、押しつけようとは思いません」

「レインが嫌なら、ぼくたち、納得する。一人でいい」

「で、ででで、でも、できれば、その、えっと……みんながいいな、と思いましゅ……」

「よろしくね?」

平和な世界が訪れた。

でも、今までにないほどのとても大きな宿題が新たにできてしまった。

みんなを受け入れるか。

それとも、一人だけを選ぶか。

なんて贅沢な悩み。

でも、考えてほしい。

実際にこのような立場になれば、なんていうか、もう……

「……はは」

乾いた笑いしかこぼれない。

……試練は続くなぁ。