作品タイトル不明
1025話 幕間・恋愛戦争の行方その1
「うーん」
自宅の自室で、腕を組んで考える。
悩んでいることは、カナデ達から受けた告白だ。
色々な問題は片付いた。
なら、そろそろ答えを出さないといけない。
「とはいえ……どうすればいいんだ?」
カナデ達は、大事な仲間だ。
それはそれとして。
とても魅力的な女性だ。
想いを寄せられているなんて、出来すぎた話というか……
まだ少し、信じられないところがある。
とはいえ、ありえない、と否定することはない。
そんなことは、彼女達の想いをばかにするようなものだ。
「魅力的……なんだよな」
ドキドキする。
なんともいえない、複雑な感情が湧いてくる。
彼女達は大事な仲間だけど……
でも、それだけじゃなくて、一人の女性としても見ていた。
ただ……
「これは、どうしたら……?」
どうにもこうにも答えを定めることができず、俺は頭を抱えた。
――――――――――
「何回目になるかわからないからもう回数を数えるのは止めたけど、これからドキ☆ レインのハートを射止めよう! の会議を始めるよ!」
カナデは、ビシッとポーズを決めつつ、そう言い放つ。
ただ、語る内容があまりにもアレなので、かっこよさなんてものは欠片もない。
そんなカナデ達は、裏庭に新築したテラスに集まっていた。
家の中だと、レインに話を聞かれるかもしれない。
ならばいっそのこと、外に出てしまえばいい。
外なら自然の音があるため、同じ場所にやってきたり、大きな声を出さない限り聞かれることはないだろう。
「ふむ……質問をいいか?」
エーデルワイスが挙手をする。
そして、ごくごく当たり前のように言う。
「なぜ、このような無用な会議を?」
「え? 無用?」
「我が主は、私と結ばれるのだからな。なればこそ、このような会議は意味がないだろう?」
「ものすごい謎の自信!?」
「ちょっと、勝手に決めつけないでくれる!?」
エーデルワイスは本気だった。
そして、悪意もない。
ただただ単純に、自分がレインと結ばれる。
そこに欠片の疑問も抱いていないだけ。
魔王さまは、わがままなのだ。
「まあ、エーデルワイスさんの戯言は放っておいて」
「戯言だと!?」
「まず最初に確認しておきたいのですが、レインさまを慕っているのはここにいる全員でよろしいのですの?」
イリスの問いかけに、皆が顔を赤くする。
「う、うん……私は、レインのことが好きだよ」
「そうね。レインをあたしのものにしたいわ」
「ソラは、レインが好きです」
「我も好きなのだ!」
「……すき」
「せやな、理想的な旦那さまやなー」
「ずっと一緒にいたいな」
「わふっ、レインと一緒!」
「わ、ワタシなんかだとは思いますが、でもでも……!」
「アニキはアニキだけじゃなくて、ドキドキするアニキっす!」
「わたくしは、主さまに全てを捧げたいと思います」
表現はそれぞれではあるが、想いは一致した。
今まで、巧妙に想いを隠してきた者もいるのだけど……
この場で隠す必要はない。
それは皆に対する裏切りのようなもの。
それと、ここで素直にならないと置いていかれる可能性がある。
故に、素直に自分の気持ちを吐露することにした。
「なるほど、わかりましたわ。まったく……レインさまは、とても罪作りな方ですわね」
「それは同意ね」
「たらし、というやつなのだ!」
「たらし……?」
「ほいほーい、教育に悪いから、そういう言葉はやめとこなー?」
「でも」
リファが、さも当然のように言う。
「たらされた、ボク達も悪いよね?」
「「「……」」」
それもまた事実だ。
レインが意図的にたらしこもうとしていたのなら、話は別なのだけど……
そういう意図はないだろう。
いつも誠実で、そしてまっすぐでいただけ。
そんな彼に、皆が心惹かれただけ。
結果……
今のような修羅場一歩手前の状況ができあがる。
「わたくしは、レインさまを譲るつもりはありませんわ」
宣戦布告をするかのように。
イリスは、誰よりも先にそう言ってみせた。