軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1016話 戦後処理

戦いは終わった。

ラストレムナントは完全破壊。

ただ、主犯であるラインハルトと、彼と契約を結ぶ最強種はいつの間にか姿を消していた。

……というと白々しいかもしれない。

なにせ、俺達が逃がしたのだから。

カナデ達と合流した後、ラインハルトのことを説明して……

そして、アリエイル達も彼のところに、と提案……

提案しようと思ったら、むしろ、カナデ達の方から先に提案された。

一緒にいさせてあげてほしい、と。

戦うことになったものの、各々、いつの間にか仲良くなっていたみたいだ。

もちろん、異論はなし。

それぞれ軽く話をして、それから解放した。

アリエイル達は戸惑っていたけど、暴れることはなくて、素直にラインハルトの元に帰っていった。

これでさようなら、というのは少し寂しいかもしれない。

次に会う時は戦場ではなくて……

一緒にごはんを食べながら、というのが理想的だけど、果たしてどうなるか。

――――――――――

その後、王のところへ。

作戦の成果を報告する。

成果といっても、ラインハルトを逃がしているため、むしろ罰を与えられるかもしれない。

意図的に逃がした、ということはユウキも黙ってくれていたのだけど……

それでも、逃げられたというのは大失態だ。

軍に所属しているわけではないが、冒険者は、その延長線上のようなもの。

厳しい罰は免れないと思っていたのだけど……

「そうか」

怒るわけではなくて、焦るわけでもなくて。

アルガス王は、一言、そうつぶやいただけだ。

それから、

「……ありがとう」

なぜか、感謝されてしまう。

もしかして……

王は、全て気づいているのではないか?

ラインハルト達を逃がしたことも、全て理解しているのではないか?

そう思った理由は、

「これで、過ちを繰り返さずに済んだ」

そうつぶやいたのが聞こえたからだ。

これ以上の戦いは誰も望んでいないのだろう。

罰することも憎むことも、求めていないのだろう。

王は、そのことをきちんと理解している様子だった。

「後のことは任せてほしい。それこそ、上に立つ者がやるべきことだ。なかなか信じてもらうのは難しいかもしれぬが、決して悪いようにはしない」

「はい……お願いします」

今度は大丈夫だろう。

そう信じて、後のことは王に任せることにした。

――――――――――

「おっ、帰ってきたな」

最後に、アルさんと合流した。

カナデが不思議そうに小首を傾げる。

「あれ? お母さんとお父さんは?」

「母さんがいないのは不気味ね……ここぞとばかりに突撃してくると思っていたんだけど」

「皆は、撤収準備の最中なのじゃ」

「撤収?」

「今回は人間に協力したが、完全に心を許したわけではないからのう。やるべきことをやったのなら、すぐに己の居場所へ戻る。それだけのことじゃ」

「そう……ですか」

少し寂しい話だった。

仕方ないといえば仕方ないのだけど……

一緒に勝利を喜ぶくらいはしてほしかった。

そんなことを考えていると、アルさんがニヤリと笑う。

「まあ、その前に、たらふく酒を飲むつもりじゃがな」

「アルさん、それじゃあ……」

「とはいえ、やるべきことをやってからになるがのう。これからが大変じゃな」

「……大丈夫」

なんとかなる。

適当な言葉に聞こえるかもしれないけど、でも、そう思うことができた。

だって、人間はそこまでバカじゃないから。

どうしようもない人間もいる。

でも、それは一部で……

愚かなことをするから目立っているだけで……

大半の人間は臆病で……でも、優しくて、大事な人のことをきちんと考えることができるはずだ。

これからは、良い隣人になると思う。

「ま、後処理は妾達に任せておくといい。お主らは、しっかりと体を休めよ」

「ありがとうございます」

「それと……」

アルさんは、初めて見るような優しい笑顔で、そっと手を伸ばしてきた。

そのまま、親が子にするように、俺の頭を撫でる。

「よくやったな。誇らしいぞ」

「……ありがとうございます」