作品タイトル不明
1015話 その決断を尊重する
「ふぅ……」
これで終わり。
色々なことが全部、片付いた。
そう思うと、体の力が吐息と一緒に抜けてしまう。
とはいえ、まだまだやることは残っている。
差し当たっては……
「みんな、ごめん」
エーデルワイスとユウキとシフォンに頭を下げた。
俺の独断でラインハルトを逃がした。
それが認められない場合は、きちんと罰を受けるつもりだ。
でも……
「なんのことだ、我が主よ? そもそも、私は主のものだ。主の決定に口を挟むようなことはしない」
「僕は、レインの判断を尊重するよ。本当はまずいのかもしれないけど……でも、このまま彼を捕まえても、単純に、『悪』を裁いた、っていう話で終わりそうだからね。今はまだ、そんな体制だから……ラインハルトよりも、そっちを直さないとね」
「私も気にしていないよ。勇者として、やるべきことをやる。そのやるべきことは、大衆に左右されるんじゃなくて、私が決めることだから」
みんな、俺の決断を受け入れてくれた。
たぶん、ここにいないカナデ達も受け入れてくれるだろう。
感謝しかない。
とはいえ、他の人も受け入れてくれるとは限らない。
責められることもあるだろう。
まあ……その時はその時だ。
自分の決断にしっかりと責任を持って、全ての言葉を受け止めていこう。
それだけの覚悟はあるつもりだ。
「レイン」
そっと、ユウキが手を差し出してきた。
「帰ろう?」
「……ああ」
しっかりとその手を握る。
――――――――――
「ふむ?」
ゴーレムと戦うアルだけど、ふと、相手の動きが止まる。
目の前の一体だけではなくて、見える範囲、全てのゴーレムが稼働停止した。
ニヤリ、とアルは不敵に笑う。
「どうやら、うまくやったようじゃな」
「さすがレインくんだねー! タニアちゃんが選んだ子だけはあるね」
「とはいえ……どのような結末を迎えたのか、そこは気になりますね」
スズは、やや憂いを帯びた表情でそう言う。
ラストレムナントが落ちただけではなくて、ゴーレムも停止したということは、敵の力が完全に削がれたということだ。
おそらく、レイン達がラインハルトに勝ったのだろう。
ただ、どのような形で勝利を収めたのか?
ラインハルトを説得したのか?
あるいは……殺したのか?
「なに、心配はいらぬじゃろう」
スズの懸念を吹き飛ばすかのように、アルは笑いながら言う。
「あのレインじゃぞ?」
「それは……」
「話ができる相手を、意味もなく殺すことはしないじゃろう。むしろ、その逆をするじゃろうな」
「……ふふ、そうですね」
その場面をハッキリと想像できたらしく、スズが笑う。
ミルアも笑顔になる。
遅れてやってきた、レゾナやエルフィン。シグレ達も、話を聞いて笑う。
「問題ねえだろうな、っていうのは同意見だ」
「もっとも、殺して解決、などという方法を選んだのならば、私の可愛いフィーニアを預けることはできませんが」
「そのようなことが起きるわけないと、誰よりも考えているくせにのう」
さらに笑顔が重なる。
皆、レインのことを信じていた。
倒して終わり。
そんな適当な結末ではなくて、それ以外の道を選んでいるはず……と。
「さて……妾達は、妾達のやるべきことをやるか」
「ええ」
スズが頷いて、続いて、他の皆も頷いた。
その表情は明るいものの、どこか、決意のようなものがあった。