軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1003話 それでもまだ

「俺が攻撃を防ぐ! その間に……」

「了解!」

最初に俺の考えを察してくれたのは、ユウキだった。

俺の後ろに続いて走る。

こちらを盾にしているのだけど、それで正解だ。

「これで、消えろ!」

「届け!」

ラインハルトの攻撃を俺が防ぐ。

そして、攻撃と攻撃のわずかな隙を狙い、ユウキが投げナイフを放つ。

ラインハルトの攻撃は恐ろしく強力だけど……

でも、エーデルワイスとの契約で得た能力を使えば、互角に持ち込むことができる。

俺が盾となり、みんなへの攻撃を防ぐ。

その間に、みんなが攻撃をしてもらう。

シンプルな作戦だけど、効果はあるはずだ。

「メガボルトの……連射!」

「ならば私は……イフリートディザスター! タイタンクラッシュ! イクシオンブラスト!」

シフォンとエーデルワイスも続く。

それぞれが持つ攻撃手段で、ラインハルトを追い込んでいく。

「跳べ」

彼は、一言、そう呟いた。

その言葉に世界が応えて、ラインハルトを瞬時に転移させる。

短距離の瞬間転移。

みんなの攻撃は全て外れてしまうが……

あのラインハルトに、攻撃ではなくて回避を選択させることができた。

言い換えれば、それだけ迫ることができた、ということだ。

なら……いける!

このままいけるはずだ。

――――――――――

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

俺は肩で息をしていた。

疲労のせいで、全身が鉛のように重い。

魔力も枯渇しかけていて、時折、意識が途切れてしまいそうになる。

疲労困憊という言葉がふさわしい。

それはみんなも同じだ。

疲労が蓄積されていて……

それだけではなくて、あちらこちらに傷を負っている。

ユウキは左手をだらりと下げていた。

たぶん、折れているのだろう。

シフォンは体を動かす度に顔をしかめている。

時折、吐血。

内臓を傷つけてしまったのかもしれない。

あのエーデルワイスも頭から血を流していた。

それは化粧のように彼女の顔を赤に染めて、そのダメージの大きさを物語る。

俺は……

自分で自分の姿は見えないし、鏡を確認する余裕なんてない。

ただ、たまに気絶してしまいそうなことを考えると、限界は近いのだろう。

そして、ラインハルトは……

「そろそろ終わりにしよう」

十全とは言わないものの、それでもまだ余力を残している様子だった。

ダメージは届いているものの、打ち倒すにはまだ遠い様子だった。

……化け物か。

魔王であるエーデルワイスが仲間にして。

ユウキとシフォンも仲間にいて。

その上で、共鳴を使い、さらに、エーデルワイスと契約したことで得た能力も使用した。

出せるものは出し尽くした。

これ以上のものはない。

それなのに……

「お前達は強い。素直に、その力を賞賛しよう。しかし……それでも俺は、負けるわけにはいかない。成すべきことを成す。そして……生まれた時から罪を抱える者、全てに償わせてやろう」

ラインハルトに届かない。

共鳴、並列覚醒。

そして、ゼロと契約した能力。

そのどれもがあまりにも強力すぎて、どうしても追いつくことができない。

一気に引き離されないように、どうにかこうにか距離を保つことだけで精一杯だ。

「くっ……」

ラインハルトにダメージは届いている。

ただ、それ以上に、俺達のダメージの方が大きい。

このままだと、先に倒れてしまうのは俺達だ。

そうなれば、世界は……

街で暮らしている人達は……

「……負けるわけには、いかない」

俺は、覚悟を決めた。

ラインハルトの共鳴や並列覚醒。

そして、ゼロと契約して得た能力は、とても大きな代償がいるはずだ。

それこそ、命を削っているのだと思う。

なら、俺も、そうするくらいの覚悟を見せなければいけない。

やるべきことを……

今できる最大限のこと……

やるだけだ。

「……力を借りるぞ……」

「っ!? ダメだ、我が主よ! それは……!? その能力は……!!!?」

酷く狼狽するエーデルワイス。

申しわけないと、彼女に笑みを見せて……

それから、俺は力を使う。

エーデルワイスと契約した力ではなくて……

魔王と契約した力を……使う。