作品タイトル不明
994話 ラストバトル・その6
「ぐっ……!?」
ラインハルトが吹き飛ばされた。
吹き飛ばされつつも、宙で体勢を立て直す。
床を殴るかのように手をついて、勢いを殺す。
「消し飛べっ、ダークアルカディア!」
エーデルワイスが見たことのない魔法を放つ。
極限まで濃縮された闇が生まれた。
それは荒ぶる獣のごとく。
尾を引くかのようにしつつ、ラインハルトに飛びかかる。
着弾。
そして、爆発。
漆黒の炎が吹き荒れて、壁や天井を打ち崩していく。
「すごい……」
「これなら……」
「いや、無理だな」
シフォンとユウキの期待を、エーデルワイス本人が否定する。
「これくらいで倒せるようなら苦労はしない。共鳴だけではなくて、私も初めて知る技術……並列覚醒。これほどの脅威は見たことがない」
エーデルワイスにそこまで言わせるなんて……
やはり、ラインハルトはすごいな。
今まさに、彼と戦っている最中なのだけど、感心すらしてしまう。
そう……だな。
俺は、どこかでラインハルトに憧れていたのかもしれない。
常識を覆すような力を持ち。
力だけではなくて心も大事にして、仲間を守り。
そして、なにがあろうと自分の信念を貫いて見せるという、心。
彼のそんな在り方に憧れるところがあった。
だからこそ。
「絶対に止めてみせる」
そのために、とある策を思いついた。
策というか……『真似』になるが。
「みんな、頼みがある。少し時間を稼いでくれないか?」
「うん、了解」
ユウキが即答した。
他のみんなも続く。
「えっと……なにをするか聞かないのか?」
「レインのことは信用しているよ」
「今更、っていう感じだよね」
「私は主のものだ。異論を挟むようなことはせぬよ」
「……ありがとう」
即席のパーティーだけど、でも、何年も組んできたかのような一体感を覚えた。
その信頼、期待に応えてみせる。
「いくよっ、雷鳴剣!」
シフォンを筆頭に、再び突撃。
ユウキとエーデルワイスも強烈な攻撃を繰り出して、ラインハルトを牽制する。
少し心配だったけど……
この調子なら、きっちり時間を稼いでくれそうだ。
なら俺は、俺のやるべきことをやる。
「……」
目を閉じて集中。
呼吸も整えて、さらに深く集中。
意識を広げて。
周囲に感覚を伸ばして。
そして、自分の中にあるであろう、とあるものを探る。
……見つけた。
温かくて、優しい感じがする魔力。
そっと触れる。
「……っ……」
瞬間、膨大な魔力が流れ込んできた。
荒れ狂う嵐の中にいるかのようで、一瞬でも気を抜けば、そのまま飛ばされてバラバラになってしまいそう。
耐える。
その上で、魔力から手を放さない。
従わせるのではなくて、共存する。
この辺りはテイムと同じ要領だ。
力を貸してほしいとお願いする。
ただ、そうそう簡単にうまくいかない。
バチンッという感覚と共に、魔力から弾かれてしまう。
失敗だ。
でも、一度失敗したくらいで諦めない。
何度でも挑んでやる。
もう一度、触れる。
触れて失敗して、触れて失敗して、触れて失敗して……
その繰り返し。
自分の中の精神的な話だから、実際はほとんど時間は経っていないだろう。
それでも疲労がすごい。
心が擦り切れて、そのまま潰れてしまいそうだ。
でも、諦めない。
俺は、何度も何度も挑戦をして……
「みんな……頼む!」
そして……『共鳴』を成功させた。