軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第13話 裁きの代行

「見つけたのですわ」

町の教会に戻って、またパンとスープのみの夕食を食べるために食堂に向かうと、戻ってきていた聖女たちが楽しそうに話をしていました。

「でも、来年結婚すると言って断られましたの」

「そうよね。結婚したいものね」

「私もどこかにいい人いないかなぁ」

ああ、加護を与えられる前の聖女候補を見つけたのですか。

私の場合は特殊でしたが、女神の加護は教会で承るのです。

なので、聖女候補を見つけることも、私たちの務めの中に入っているのです。

楽しそうに話している彼女たちも、そのうち教会を去っていくのでしょうね。

「何事もなく終わったのね」

そんな聖女たちの声をかけて近づきます。

「フィエーラ様! 聞いてくださいよ! 途中で脱輪して、一時間ぐらい動けなかったのですよ!」

「脱輪なんてまだいいじゃない。こっちはブラックウルフの集団に襲われたのよ」

そうですか。聖騎士が頑張ったという話しですわね。

「フィエーラ様はどうでした?」

「そうね。ビックボアに襲撃されたのだけど、途中で動かなくなって倒れたのよね。不思議ね」

「それ不思議で済むことなのですの?」

「無事だからいいと思うわ」

たぶんラフェシエンが何かをしたと思うのだけど、馬車の中からどうやって攻撃したのかわからないのよね。

だから不思議でいいと思うわ。

そう言えばもう一人の聖女の子が戻ってきていないわね。やはり雨だと馬車でも進むのは困難よね。

まぁもう一日あるからゆっくりしているかもしれないわ。

翌朝は昨日の雨が嘘のようにあがり晴天です。

散歩日和です。

王都では自由が制限されているので、こういうときこそ、出かけるのです!

朝食はいらないと教会側に言っているので外套をはおり、いざまいらん!

……なぜラフェシエンが、扉をノックしようとしている形でいるのですか?

「このような時間にどちらに行かれるのですか?」

「散歩です」

なんだか記憶にあります。このやりとり。

「はぁ、護衛である私に黙って出かけようとしないでください」

「言えばついて来ますよね」

「当たり前です。何のための護衛ですか?」

「絶対に目立つではないですか!」

「それは仕方がありません」

くっ! 何ですか!

聖騎士が側にいれば、私が聖女ということがバレバレではないですか!

今までなら他の部隊の女性騎士でしたので、要人の護衛ぐらいですんでいたのです。

聖騎士と他の部隊の騎士には大きな隔たりがあるのです。

何のために私が女性騎士がいいとわがままを言い続けてきたのか、それはこういう時のためです。

「フィエーラ様はどのような格好をされても目立ちますからね」

「私は平々凡々です」

だからなぜに私が目立つという話になるのですか!

あと、私は平々凡々です。それは誰の目からもそう見えるでしょう。

「はぁ、少しお待ちください。着替えてまいります」

そのため息は何なのですか!

そして数分後、私の目の前に白い隊服を身に着けたラフェシエンがいます。

「まいりましょうか」

これで目立っていないとか言いませんよね。

そして、ラフェシエンを出し抜こうとした私は木箱に詰められていました。

おかしいですわね。途中まではよかったのです。

朝食を朝早くから開いている町の食堂でとり、散歩をしながらいろんな商品を見ていき、昼食を露店で食べたいとわがままを言って買いに行かせ、私は転移でその場を去る。

完璧でした。

そして、目的の場所に行こうとしたところで、上から麻袋が降ってきて、箱に詰められているという状態です。

これがこの辺りに出没しているという噂の人さらいというやつですか。

なにやらガタガタと床が揺れているので、荷馬車っぽいものに乗せられているようです。

あ、止まりました。どこかに到着したようです。

『なに! 聖女をもう一人攫ってきただと! でかした!』

ん? もう一人?

そう言えば、昨日結局最後の一人が帰って来ませんでしたよね。

それでは、遠慮はいらないですね。

「主よ。罪深き者に、我に裁きの代行を」

神に祈り、木箱の中で私は手を伸ばし、箱を消滅させます。

そして、手を下に当てて運んできた荷馬車も消しました。

「あ! てめぇ! どうやって出てきた……って、荷馬車がねぇ!」

「罪深み者たちよ。後悔しながら消えてください」

私はフードを上げてニコリと笑みを浮かべます。

どうやら、何処かの森にある洞窟をアジトにしているのですか。

「お前! なに『みなごろし聖女』を攫ってきているだ!」

失礼ですわね。

私をみなごろし聖女とか言った者に手を向けます。すると元からそこにいなかったように姿が消えました。

「ボス! てめぇ! ボスに何をしやがった!」

剣を抜こうとした者の右手に手を向けます。

すると肩の付け根から腕が消え去りました。

「いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

うるさいです。

「なんだ?」

「あ? 何をやっているんだ?」

「待て待て! そこにいるのは、あのみなごろし聖女じゃないか!」

洞窟からわらわらと、むさ苦しいおっさんたちが出てきました。

失礼です。

私を変な風に呼んだ者を消滅させます。

あ、そう言えば、囚われた子がどこにいるか聞きませんと。

「あの? 昨日から帰ってきていない子がいるのですけど? どこにいるのかしら?」

「うるせー !やっちまえ!」

はぁ。言葉に通じないのでしょうか?

私はカツンとかかとを鳴らします。

すると、私を敵視していた方々が消えました。

「ひぃぃぃぃぃ!」

あ、右手をなくした人が一人だけ残っているではありませんか。

「あの? 他の攫ってきた子はどこです?」

「ああああああああ」

どうしましょう? 人の言葉を忘れてしまったようです。

しかし洞窟のほうに視線を向けているので、中にいるようですね。

私が洞窟のほうに進もうと踏み出すと、背後からガシリと捕獲されてしまいました。