軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ゴルフならショット時は喋らない、騒がないのがマナーなのにね。

「あらあら、なんて恥さらしなのかしら。アレの知り合いなだけはあるわ」

「あの人が参加しないだけましですね。もし参加していたら、我が家も恥をかくところでした」

「ええ、それだけは運が良かったとしかいえません。一属性の人間など、この場に相応しくないのですから」

「全く、目障りだ。競技服も着ず、恥ずかしくないのか」

ここで紫前親子が更に喚く。それにあわせて大声で笑い合うクレーマー集団。

今のは私とレイちゃんに聞こえるように、わざと声を大きくしていたようだ。

こ、子供相手に大人気ないし、品が無い。最低だよ……。

そう思ったのは、他のギャラリーも同じらしい。

なんとも言えない視線を、クレーマー集団に送っている。

まあ、気にせずさっさと打ちますか。

なるほど、プレイヤーの視点はこんな感じなのか、とグラウンドに立って改めて実感。

やっぱり微妙にゴルフとは違う。ゴルフでは、ボールを地面に近い位置にセットするけど、フォーゲートは胸から腰あたりの位置だ。

武器の形状をした霊装を振り下ろして霊気を放出するから、結構高めに位置が固定されている。

セカンドショット以降も、大型のティーもどきを設置するしね。

これなら遠くに飛びそうである。

それじゃあ、派手に行きますか。

「き、君、霊装はどうしたんだい? まさか出せないわけじゃないよね」

私が拳を振りかぶったのを見て、進行役の人が慌てて止めに入る。

ああ、そういえば……。

この人たちには分からないか……。

今の私の霊装はパーティー用の手袋。

それに腹巻など、インナー仕様で全身に着用していた。

基本的に霊術師は霊装を武器の形で携帯している。

だけど、私がそれをやると目立ってしまう。

かといって指輪や腕輪だと霊装としては小さく、霊気を運搬する量が少ない。

目立たず、ある程度大きさを確保して霊気を圧縮する為には、服の形にするしかなかったのだ。

つまり、手袋型の霊装から霊気を放てるってわけ。

だから振りかぶったわけだけど……。

武器から霊気を放つという固定観念に囚われている人からすると、打撃で飛ばそうとしているように見えるよね。

「うっかり忘れていました。これで大丈夫ですよね?」

「あ、ああ」

私は指揮棒サイズの霊装を新たに作り出し、了承を得た。

「おいおい、大丈夫か? あれって習練用の霊装だぞ」

「他の子供は小さくても武器の形状をしていたのに、形を維持できないのか?」

「霊装なしで霊気を出そうとするなんて、素人じゃないか」

「これは時間が掛かりそうだ……」

またもやギャラリーが愚痴る。

もうすぐ打つから、我慢しておくれ。

「それじゃあ、行きますか」

構えた私はレイちゃんの方へ視線を送る。

レイちゃんは両手を組み合わせて、祈るような視線をこちらへ向けていた。

その隣には、昭一郎さんと黒服さんたちの姿も。どうやら無事合流できたようだ。

まあ、ここまで騒ぎになれば気づくか。

それでは、ちゃちゃっと済ませて帰りますかね。

ここはド派手な一発お見舞いして、ギャラリーの度肝を抜きたいところ。

……あれ? そういえば、私って霊気を放出したことってあったっけ?

ああ〜……、小さい頃に一度試したことがあったっけ。

でも、それ以来、やってないかも……。

どのくらい放出すれば、どの程度球が飛ぶかが全く分からない。

むぅ、どうしたものか。

「君、大丈夫かい? 一属性なんだから無理する必要は無い。棄権するかい?」

「そうだそうだ、やめちまえ!」

「ずっと待つこっちの身にもなれよな!」

進行役の人に心配され、二人組が野次を飛ばす。

私はそんな声を聞き流し、考え込んでいた。

手加減して、飛距離が出ないのはまずい。

かといって、フルパワーで放出したら、どうなるか分からない。

一発かますとはいえ、子供ができる範疇には収めたい。

今の私の霊核は、かなりの大きさに育っている。

周囲と比較したことはないけど、間違いなくデカい。

今まで、霊気をなるべく使わないようにしてきたのが、ここであだとなってしまった。

だって何の意味も無く放出するなんて、もったいないじゃん!

一滴も無駄なく圧縮したいんだよ!

こ……ここは、予想だ。予想を立てよう。最適な力加減を模索するんだ。

まず、ここはキッズコース。本来のフォーゲートのコースよりかなり狭い。

そして、参加者の平均打数は3。

十代前半の霊核の大きさで、コースの三分の一ほど飛ばすのが平均的。

霊気が多い人は2打で四分の三ほど。

私の目標は、二人組の鼻を明かすことだから、2打で四分の三は飛ばさないといけない。

つまり、1打目は加減を失敗してもOK。

2打目で調節して、帳尻を合わせればいいのだ。

よ、よーし……、慎重にいくぞ。

とにかく、一発目は限界まで弱めて撃とう。