軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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◆九白真緒

――入学式を迎えてから数日後。

私はベッドに横になり、考えをまとめていた。

なんとマンガのワンシーンが、全く知らない人物によって再現されていたのだ。

マンガでは、ヒロインがナナちゃんで、ヒーローがアキラ君だった。

だけど実際には、日高さんと綾小路君という初対面の人物によって再現されていた。

更には、悪役令嬢のシーンも別の人物によって再現されていた。

名前は、瀬荷城宝子。後で聞き込みを行って知ることができた。

そして、悪役令嬢ポジションの生徒とも、これが初対面だった。

この状況が継続されるのか、入学式だけなのか分からない。

しかし、あれから継続して動向を調べてみた感じだと、このままの状態が維持されそうな気配がある。

瀬荷城宝子は相当難のある性格の持ち主であり、日高さんへの当たりが非常に強かった。

マンガの悪役令嬢をしていると言えば、それっぽく聞こえるが、普通に非常識な行いをしているだけだ。

そうなると、この先脱獄犯に銃で撃たれるのは、瀬荷城宝子になるのだろうか。

それともレイちゃんなのだろうか。

そもそも、脱獄犯は現れるのだろうか。

脱獄犯が現れるのは、ストーリーの終盤。

情報収集は定期的に行っているが、今のところ不穏な気配はない。

この辺りは未だ不明な部分が多いため要観察だ。

次に気になるのは、イベント進行についてだ。

ここまでの感じを見ると、レイちゃんとナナちゃんは、ストーリーの主要人物から外されたと見ることもできる。

現状では、日高さんと綾小路君がヒロインとヒーローのポジションとなっている。

その状態が続くようであれば、日高さんの身に起きることは、ある程度スルーしていくしかない。

そうしないと、今後の展開が変化してしまう。

マンガでは物語が進むにつれ、障害の度合いが高まる。

それを乗り越えていくことによって、ヒロインとヒーローの仲が深まっていく。

私が障害を取り除いて日高さんを助けた場合、二人の関係値が高まらないままにストーリーが進行してしまうことになってしまう。

それはまずい。

顔見知り程度の関係性では、今後の予測が立たなくなってしまう。

だからと言って、好きでもない二人を無理やりくっつけるつもりはない。

ただ、二人の様子を見た感じだと、両者ともに相手に対して好意を抱き始めている気配がある。

そういうことなら、こちらが無理やりくっつけるわけでもないし、このままドンドン仲良くなってもらいたい。

となるとやっぱり、ある程度の危険はスルーしていくしかないのである。

心が痛むが、メンタルケアは綾小路君に頑張ってもらおう。

そんな感じで色々考えていくうちに、今後の方針が固まる。

「まあ、結局はこのまま様子見を続けるということが決まっただけだけど……」

と、呟きながら起き上がり、窓から外を見る。

本来であれば視界に映るのは、どこまでも平らで田舎な風景。

が、今は一変していた。

私とレイちゃんが出した霊装により、駅前のビル街のようになっている。

家の周囲は影が出来てしまうので控えめだが、離れたところは遠慮なしだ。

そのため、タワーマンションを思わせる黒い高層物が規則正しく並び、どこまでも続いている。

周囲の土地を雲上院家が買い足したせいで、修業に使用できるエリアが拡大したためだ。

周囲に何もない場所は霊装を遠慮なく上方向に伸ばした結果、よく分からないことになってしまった。

何も知らない人に、この風景を見せればディストピアと勘違いすること請け合いだ。

学校生活も気になるけど、修業の手を抜くわけにはいかない。

この調子でどんどん霊核を育てていくとしよう。

◆暮舞不破子

私、暮舞不破子は十五歳となり、煌爛学園中等部から高等部へ進学。

四月から、高校生活が始まった。

幸い、新しいクラスではサロンで仲良くしていた子たちと一緒になった。

そのため、序盤にありがちな人間関係の構築に苦労することもなかった。

お陰で、友人たちと毎日楽しい学校生活を送れている。

しかし、高等部での学校生活開始早々、悔やまれることもある。

それはレイカ様と同じクラスになれなかったことだ。

派閥のメンバーの何人かが同じクラスになったと聞き、軽く嫉妬を覚えるほどである。

残念だが、ここは切り替えていくしかない。

私のクラスにいる雲上院派の人数は、女子が八人、男子が五人。

女子については全員、人となりを把握しているが、男子は顔と名前を知る程度。

今日まで、ほぼ面識がなかった。

今や雲上院派は大派閥。

顔や名前だけ知っていて、話したことがないというパターンも発生する。

そんな初対面に近い男子サイドからの提案により、一度クラス内の雲上院派全員で顔合わせを行うこととなった。

初めこそ、ぎこちない雰囲気があったが、レイカ様という共通の話題があるので、すぐに打ち解けることができた。

ある程度お互いの事が知れた段階で、話題はクラス内の事へと移った。

――このクラスには、注視すべき人物が三人いる。

入試での成績順位二位で有名な家の出である綾小路光毅。

かなり大きい家の出である瀬荷城宝子。

入試での成績順位一位で特待生の日高千夏。

――以上の三名だ。

まず、綾小路光毅。

彼に関しては特に問題ないという見解で全員が一致した。

人柄も良く、サロンに参加していないのは東京に住んでいなかったからだ、という認識だ。

愛知から引っ越してきたばかりで、大変だろうからフォローしようという指針も決まる。

次に、瀬荷城宝子。

彼女のことは何名かが知っていた。

その内容を聞き、驚く。

あまりの素行の悪さから、懇親会などの招待客から除外されたり、出入り禁止になっていたりするというのだ。

私は彼女を初めて見たため、その辺りのことについては詳しくなかった。

ただ、入学式時やその後のクラス内での行動を見て、納得する。あれは駄目だと。

折を見て、彼女の振る舞いについて注意するべきだろう。

最後に、日高千夏。

このクラスで唯一の特待生だ。

性格に問題はなく、成績は優秀。非常に好感の持てる生徒だ。

慣れない環境で苦戦しているだろうと、こちらから何度か声をかけてみた。

しかし、向こうが遠慮して中々距離が縮まらない。

クラスにいる特待生が彼女一人のため、どう振る舞うべきか迷っているようだ。

様子を見ていると、気後れして出遅れ、孤立するといった展開に陥り易い。

一応、集団での行動時は一人にならないように誘いはしているが、仲良くなれているという実感はない。

やはり私たちでは、レイカ様や九白さんのようにはいかない。

彼女たちならすぐに打ち解け、友人関係となっているだろう。

だが、私たちには私たちなりのやり方があるはず。

親密に慣れなくても、彼女がより良い学校生活を送れるようサポートすることはできるはず。

私たちは、レイカ様や九白さんたちの行動から、たくさんの事を学ばせてもらった。

それらをここで活かすとき。

そう皆で納得し合う。

このクラスがより良いものになるよう、各々で行動していく。

そういう指針が固まった。

そして皆で円陣を組み、手を合わせる。

「すべてはレイカ様のために」

「「「レイカ様のために!」」」

私たちは気合いを入れ、レイカ様の派閥の一員として恥ずかしくない学校生活を送る決心を固めた。

他のクラスメイトには奇異の目で見られたが、これだけは仕方ない。

私たちのポリシーなのだから。