軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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――というわけで翌日。

早朝に軽めの朝食を済ませて、いざ出発。

今日も快晴で、依頼という名のサイクリングキャンプは順調だ。

唯一の不安材料は、ナナちゃんの不調であったが、それも快方に向かっている。

快方といっても、違和感はずっと続いているそうだ。

ただ、その感覚にだんだんと慣れて来て、強く意識しなくてもよくなったらしい。

「それにしても意外だったな」

「何がですの?」

レイちゃんが私の独り言を聞き、尋ねてくる。

「いやあ、普段のナナちゃんとギャップがあったからさ」

「ああ、そのことでしたか。確かに普段の印象ではイメージできませんね。ですが、かわいくてよろしいかと思いますわ」

私の答えを聞き、レイちゃんが納得して頷く。

「何?」

私たちの会話を聞き、ナナちゃんがギロリと睨んでくる。

「いや、ぬいぐるみをそばに置いておかないと眠れないなんて、かわいい一面があるんだなと思ってね」

枕元にピンクのウサギのぬいぐるみを置く姿と、普段のスカジャン姿がミスマッチだったせいで、妙に記憶に残ってしまっていたのだ。

「わたくしも一時期、枕元に洋扇を置いていましたの。こうやって一緒に寝泊まりしたお陰で、ナナちゃんと似た部分を見つけられて嬉しいですわ」

と、ニッコリ笑顔のレイちゃん。

以前、レイちゃんに洋扇をプレゼントしたけど、色々あってその日のうちに壊れてしまった。

改めてプレゼントしなおしたら、結局寝室に飾られることになっちゃったんだよね。

「いや、扇とぬいぐるみは違うでしょ」

だけど、ナナちゃんが真顔で否定する。

「そ、そんなことはありません! 似ているじゃないですか!」

「似ていないから。それに、私からすればレイちゃんの方が驚いたけど」

「わたくしですか?」

ナナちゃんの言葉に思い当たることがなかったのか、疑問顔になるレイちゃん。

「そうそう。寝起きはあんな爆発頭になるなんて反則だよ」

「そ、それは仕方ありませんの!」

ニヤニヤと指摘するナナちゃんに、レイちゃんが動揺しながら返す。

そう、レイちゃんは寝起き時、髪型がモコモコ羊ヘアーになってしまうのだ。

アフロとまではいかないが、爆発頭という表現が当てはまるほどには、ボリューミーなモコモコ具合になってしまうのである。

私も初めて見たときは驚いたものである。

同居している今では、後藤さんと一緒に縦巻き髪にセットするのが、朝のルーティーンとなっている。

そういった日々の研鑽の結果、こういったキャンプ時でも私一人で完璧なセットが可能となっているのである。

あの髪型はあの髪型で凄くかわいいんだけど、雲上院礼香というブランドとしては受け入れられないんだよねぇ。

「むぅ! マオちゃん、ナナちゃんが意地悪なのです」

ナナちゃんにからかわれて、レイちゃんが頬を膨らます。

といった会話を挟めるほど、今日も快適な進行を維持できている。

私たちはスピードを上げ、事前に立てた予測日程を更新していく。

そして昼になったので、一旦休憩を取る。

お昼は手早く済ませるためにカップ麺となった。

「レイちゃんにカップ麺を食べさせるのは少し抵抗があるな」

簡単に食べられる代わりに、あんまり体に良くないイメージがある。

「これがカップ麺ですか。本当にお湯を入れるだけで食べられるのですの? マオちゃん、わたくしに嘘をついて、からかっていませんか」

と、疑心暗鬼となったレイちゃんが、じっと私を見つめてくる。

レイちゃんに対して、そういった系統の冗談をしたことはないんだけど、疑われてしまった。

それもこれも、カップ麺が便利すぎるせいだ。

「本当だよ。そういえば、アキラも初めてカップ麺を食べた時はそんな顔してたな」

私が嘘じゃないことをどう説明しようか考えていると、ナナちゃんが代わりに答えてくれた。

どうやら、鷹羽アキラも同じ反応だったらしい。

彼が分かりやすい性格なせいか、その時の反応が何となく想像できてしまう。

「アキラ様もカップ麺を食したことがございますの? それなら、わたくしも是非味わってみたいですわ!」

妙なところで対抗意識を燃やすレイちゃん。

鷹羽アキラのエピソードのせいで、カップ麺に対する興味が倍化した気がする。

とりあえず、グイグイくるレイちゃんをけん制しながら、お湯の準備をしていく。

「はいはい。今、お湯を注いでいるから、ちょっと待ってね」

「三分。三分でしたわね!」

お湯を注いで蓋を閉じたカップ麺を熱のこもった瞳で凝視するレイちゃん。

そんな姿を見ていると、ほっこりしてしまう。

「そういえばアキラ様、一緒に来るって言いだしそうなのに、来なかったね」

私は、並べたカップ麺に順にお湯を注ぎながら、気になったことを尋ねた。

あの鷹羽アキラが、ナナちゃんのトラブルを黙って見ているとは思えなかったからだ。

「そんな風に見える?」

「まあ、誕生日会とか釣り大会の感じを見ているとね」

大きなイベントなのに、ナナちゃん以外眼中になく、そのことでレイちゃんに相談が来るほどだ。

そんな人物が、何もしないで黙っているなんて、ありえるだろうか。

「実は一緒に来るって言って結構揉めたんだよね」

「あ、そうなんだ」

「うん。でも、一緒に来ると私の実力じゃなくて、アキラの実力と評価されるから駄目だって説明したら聞き入れてくれたの」

「そっか、アキラ様も五属性だもんね」

だから、北海道行きを我慢したってわけね。

納得の理由である。

と、ここでレイちゃんが声を上げた。

「三分経ちましたわ!」

「お、出来上がったみたいだね。で、レイちゃんはどの味にする?」

「味?」

不思議そうに、こてんと首を傾げるレイちゃん。

用意した三つのカップ麺は、全て味が違うものにしたのだ。

「ベーシックとシーフードとカレーの三種類だよ。レイちゃんは初めてだから、好きなのを選んでいいよ」

「なん……、ですって……」

レイちゃんは、口元を片手で覆い、驚愕の表情となって固まってしまう。

しばらくして硬直が解けた後、悩みに悩んだ末、ベーシックを選択。

ナナちゃんがカレー、私はシーフードとなった。

私は皆と一緒にカップ麺をすすりながら、現在のキャンプライフについて考えていた。

私個人がやる分にはこれで十分というか、贅沢ですらある。

訓練時は、ナイフすら持たされずに身一つで放り出されていたものだ。

全て現地調達が基本だった。

その時と比較すれば、今はとても快適で贅沢なものだといえる。

だがしかし、そこにレイちゃんが参加しているとなると話は別だ。

レイちゃんに生活してもらうには、少し質素、いや貧相だ。

というかゴージャスさに欠ける。

普通のグレードのキャンプグッズで寝泊まりし、カップ麺をすするレイちゃんなんて解釈違いも甚だしい。

この場に、ゴージャスで煌びやかな雰囲気が不足していると言わざるを得ない。

いや、初めてテントで就寝し、カップ麺に感動し好奇心全開で美味しそうに食べるレイちゃんは非常に眼福ではあったが……。

でもやっぱり彼女に相応しいレベルまで生活グレードを上げたい。

簡単に改善できそうなのは食事だろうか。

宿泊日数にもよるが、ある程度は解決できそうな気がする。

もっと器材と食材の持ち込みを充実させ、私の料理のレベルを上げればなんとかなるはずだ。

今の私の腕は家庭料理レベルだし、要練習だな。