軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11

「もう少し何とかならないかな……」

思考の海に埋没していた私は、無意識に悩みを口に出していた。

目下の悩み、それは霊気圧縮の効率が悪くなって来たことである。

ここ最近は日課となった霊気圧縮の成果で、霊核も十分に大きくなった。

それに連動させて、霊装も大きくし続けた。

結果、以前とは比べ物にならない量の霊気を体内に送れるようになってきたのだ。

そうなると今度は、霊装のサイズと自分の体の大きさで、問題が生じてしまった。

まずは霊装。霊装は大きければ大きいほど、霊核から霊気を持ってこれる量が増える。

以前は、霊装を大きくしすぎると霊核が小さくなりすぎて、結局霊気を運ぶ量が少なくなってしまっていた。

だけど今は真逆。霊核が霊気を生み出す量に対して、霊装が小さくなってしまったのだ。

そのせいで最大量を運搬できず、毎回余りが生じている状態だ。

それが非常にもったいない。

初めの頃は少しでも霊装を大きくしようとして、手甲やレッグガードを作って服の下に装備していた。

それでも、運搬最大量には全然届かない。

どうしたものかと悩みながら、霊核をこねくり回しているうちに、薄く伸ばすと弾性のある布のような性質になることに気付く。

そこからは路線を変更して、手袋やインナーとして着用し始めた。

鎧系のゴツイ装備にすると霊気を運べる量は上がるけど、普段使いが出来ない。

そういう意味で、服の下に着用できるインナータイプは非常に重宝している。

服のようにして着用する事で、目立たずにかなりの大きさの霊装を作り出すことには成功した。

だけど、それでも余りが出ている状態なんだよね。

余りを少しでも失くすため、自室にいる時は限界まで厚着している。

そのせいで、球状のシルエットになってしまったけど……。

動き辛いし、何とか改善したいところ。

次に体。霊核から運んだ霊気を溜め込むのは自身の体になる。

つまり、容量が決まっている。最大容量を大きくすることができないのだ。

今の霊気運搬量だと、体が小さいせいで、すぐに満杯になってしまう。

これがかなりのネックになっている。

大量の霊気を送れるようになったため、作業がせわしなくて仕方がない。

子供の体では、器として小さすぎるのだ。

結果、溜めて圧縮するというサイクルを頻繁にこなす必要が出てしまう。

すると、どうしても取りこぼしが発生してしまうのだ。

寝ているときなんか、すぐに一杯になるのに何も出来ないまま数時間経過しちゃうし……。

非常にもったいないよ。

問題点をまとめると、インナーにして霊気の運搬量は格段に上がったが、それでも全部運びきれていない。

体が小さいから、溜めて圧縮する作業を何度もしなければならないために、無駄が生じてしまう。

という、二点だ。

霊核が大きくなったのは喜ばしいんだけど、そのお陰で贅沢な悩みが出てしまったというわけ。

う〜ん……、体は大きく出来ないし、霊気の方を何とかするしかないか……。

解決策として考えているのは、霊気をどうにかすることだ。

今直面している問題は、別の視点から見れば、発生する霊気の濃度が薄いからすぐに器が満杯になってしまうともいえる。

もし、初めから圧縮された状態で霊気が体に流れ込んで来れば、すぐに一杯にはならない。

多少、無駄をなくせるはず。ロスを減らせるはずなのだ。

むぅ、発生段階から濃度が高い状態にできる方法はないものか。

そうすれば、体が小さいままでも器として問題はなくなる。

とはいっても、霊核の中で霊気を圧縮することはできない。

やってみたけど、無理だったんだよね。

圧縮しようとすると霊気発生を阻害しちゃう感じだ。

待って……、霊気ではなく、霊核そのものを圧縮できないだろうか。

そうすれば、発せられる霊気の濃度も濃くなるのでは……。

霊核自体は硬そうに見えて、変幻自在。案外いけそうな気がする。

「試してみますか」

というわけで一旦、全ての霊装を霊核に戻す。そして私の宇宙にアクセス。

それから霊核に触れ、圧縮を試みる。

四方八方からグイグイと力を加え、縮めるイメージでトライ。

しばらく格闘していると、あっさりワンサイズ小さくなった。

「お、行けちゃったよ」

心無し、霊核の色が濃くなった気がする。

霊装は小さい方が携帯しやすいから、行ける所までやってみよう。

調子に乗った私は、ガンガンに力を込めて霊核を圧縮。

結果、随分とコンパクトになった。

以前は透き通った宝石のような見た目だったのに、今は透明度が完全に無くなって純金の塊のように変わってしまった。

早速、霊気の濃度に変化があるか確かめる為、霊装の指輪を作ってみる。

「なんか、火口に捨てに行かなきゃいけない見た目になっちゃったな」

どこぞの凄いパワーを秘めた指輪のようである。

まあ、見た目はどうでもいい。それより、霊気の濃度だ。

「おお、これは!」

予想通り、霊核から発せられる霊気の濃度が濃くなっていた。

例えるなら、固まった雪が溶けて水を含んだ状態に近いかも。

水っぽいざらめ雪のような質感だ。

水に当たる部分も、ハチミツのような濃さを持っている。

そんな質感の霊気が霊装を伝って、体へ流れ込んでくる。

これは滅茶苦茶濃度が高いのでは……。

今までは水から圧縮していたが、これならかなり手間を省ける。

しかも、霊装の機能もアップしている。

以前なら手甲くらいの大きさが必要だった運搬量を、指輪で再現できている。

霊気を圧縮した状態で発生させることに成功した上に、運搬量も向上できてしまった。

って、これじゃあ結局せわしないままなんじゃあ……。

まあ、効率が大幅アップしたのは間違いない。

「これはいいものだ……」

指輪を見てうっとり。

まあ、指輪で霊気を運ぶのは、これっきりだけど……。