作品タイトル不明
匂いをたどって
「おい、こちらで間違い無いのか?」
「ええ、オボロ様。僅かだけど、クロ様と、とても良く似た匂いが、こちらより漏れ出ているわ」
ドーバーナとメラニーはクロの説明を受けて、快く協力を申し出てくれた。
しかし、オボロはそんな格下の二人に対して、少々態度が悪い。加藤はそんなオボロをみて、こっそりとため息をつくのだった。
「あの……一つ、質問しても良いかな?」
荒れ果て、モンスターが散見される虹の地平の大地を女性陣三人と、ホロを消したクロのワケミタマドローンがサクサクと進んでいくのを、何とか追っている加藤。
その加藤からオボロに質問がされる。
「なんだ、加藤?」
「どうして今になるまで、虹の地平でクロコの匂いに混沌たちは気がつかなったんだろう?」
「──」
「加藤さん。よろしければ、それは私から説明するわ」
「あ、すいません。ありがとうございます」
ドーバーナが、答える気の無さそうなオボロの代わりに名乗り出る。
「半分は推測になのでご了承を。クロ様よりお伺いした経緯と合わせると、目黒詠唱はユウト様にお会いになるための、超小型ドローンを送り出して、そのあとは回収してるのよね。で、漂う匂いの濃さが二種類あるから、それぞれの時に、隠れている場所から外に漏れ出た匂いだと思うわ。ちなみにその前だと、クロ様が居らしたので。その時の残り香が強くて、混じってしまっていて、誰も気づかなかったのね」
鼻をクンクンとさせながら、親切に答えるドーバーナ。
その視線が、加藤の持つ七武器の一である短槍にちらりと向けられる。
「な、なるほど? ありがとう、ドーバーナさん」
「いえいえ」
コボルドの匂いに関する感性について疎い加藤からすると、ドーバーナの説明はいまいち理解しきれなかった。しかし、それでもドーバーナが種族の違う自分相手に、出来るだけ分かりやすく説明しようとしてくれたことは伝わってくる。
その親切に感謝を伝える加藤。
そこに、ずっと黙っていたメラニーが声をあげる。
「静かに。ついた」
「ふ、ここか。面白いところに隠れたものだ」
皮肉そうに唇を歪めるオボロ。
「ここは、大穴ダンジョンの跡地か?」
「そう。こんなに近く。不覚」
周囲を見回す加藤と、顔をしかめるメラニー。遠くには、ダークコボルド達の新たな拠点が視認できる。
ユウトのスキル『 全力新聞紙振り(そは かみを ほふる) 』により、崩れて埋まったはずの大穴ダンジョン。その崩落した大小の岩の隙間へと、クロコの匂いの残滓は続いていた。