軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第326話 アクアロッド

2032年1月25日6時

「アズライグは本当に凄いですね。槍を剣で受けるだけでもかなりの衝撃ですが、火を纏われると受ける時に熱さが槍から剣に伝わってきて、何度か受けると剣が握れなくなるほど熱くなります。アイク兄は熱くないんですか?」

「ああ、不思議と熱くないんだ。マルスの言う様にこれは凄いな」

火を纏わせた状態のアズライグはまさに雷鳴剣の火バージョンだな。まぁ雷鳴剣よりかは対策しやすいかもしれないが、1発勝負にはもってこいだな。

そして俺はアイクと訓練をしている時からずっと 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン) に火魔法をエンチャントし、地面に這わせ、先端を腹筋運動させている。今の俺にとってこれが一番の訓練だと思う。鎖術に火魔法の両方を訓練できるからな。

「待てぇー! ハチマル!」

一方のもう1つの新武器、アクアロッドは完全にミーシャのおもちゃになっていた。

アクアロッドの先端から出る水はまるで水鉄砲のようだ。ただ射程はエグい。恐らく使用者の魔力値が射程だ。俺が使うと射程が130m以上の水鉄砲、これに暴走エルフが食いつかないわけが無い。

今はビショビショになりながらハチマルを元気に追いかけまわしている。ハチマルも嬉しそうに走り回っているからハチマルの運動にもいいのかもしれない。

「きゃぁっ! ミーシャ! よくもやったわね!」

ハチマルに照準を合わせた水鉄砲が誤ってアリスに水魔法を教えていたクラリスに直撃してしまい、今度はクラリスが水魔法のウォーターでミーシャに反撃をしている。一見遊んでいる……実際遊んでいるのだがしっかりと水魔法の訓練にはなっているし、2人とも楽しそうで何よりだ。

まぁこの水合戦はクラリスに圧倒的に分がある。獄炎狼戦を終え、レベルは上がらなかったが、クラリスの水魔法のレベルが8に上がり才能もBに上がっているからな。

【名前】クラリス・ランパード

【称号】弓王・聖女

【身分】人族・ランパード子爵家長女

【状態】良好

【年齢】12歳

【レベル】50

【HP】112/112

【MP】1945/1945

【筋力】78

【敏捷】80

【魔力】102(+1)

【器用】97(+1)

【耐久】75

【運】20

【固有能力】結界魔法(Lv4/A)

【特殊能力】剣術(Lv7/C)

【特殊能力】弓術(Lv8/B)

【特殊能力】水魔法(Lv8/B)(7→8)(C→B)

【特殊能力】風魔法(Lv4/F)

【特殊能力】神聖魔法(Lv9/A)

【装備】ディフェンダー

【装備】 魔法の弓(マジックアロー)

【装備】 聖女の法衣(セイントローブ)

【装備】 神秘の足輪(ミステリアスアンクレット)

【装備】偽装の腕輪

エリーはいつも一緒に訓練しているミーシャがアクアロッドに夢中の為、カレンに鞭を振ってもらい、それを紙一重で躱している。眼鏡っ子先輩は 土砦(アースフォートレス) で水合戦の水を浴びないようにし俺とアイクの訓練を見守っている。

「マルス、スザク様から事情を聞いた。どちらの剣にするか?」

アイクと訓練をしているとライナー、ブラム、クロム、サーシャの4人が砦から出てきてライナーがソニックブームと氷の刃の両方を提示してくれる。

「ありがとうございます! それでは氷の刃でお願いします! 大事に使いますので!」

「ああ……こんなこと俺が言えたことではないが、元の持ち主のキュルスのためにも頼む」

なるべく場の空気を重くしないようにするためか、力強い声でライナーが俺に氷の刃を渡すと、4人は少し離れて訓練を始める。

そして俺たちが訓練をしていると一組のカップルが現れる。

「あれ!? マルス君! 何その鎖!」

ミネルバがすぐに 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン) に気づき話しかけてくるとバロンも

「もしかしたらマルス! お前も本格的に始めるのか!?」

正直何を始めるんだ? とは怖くて聞けなかった。2人のテンションがあまりにも高かったので少し怖かったが

「ああ。バロン、ミネルバ。これは 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン) だ。読んで字のごとく火属性の鎖だな。これから俺も本格的に鎖術を学ぼうと思う。分からないことだらけだから教えてくれ」

俺が2人に言うとさらに2人のテンションは上がり

「当然だよ! あとで私たちの部屋においで! 本も貸してあげるし縛り方もしっかりと教えてあげるよ!」

「ああ! ぜひ来てくれ! 雷鳴剣に 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン) とは……夢のフルコースだな!」

バロンの頭の中はフルコースというものでいっぱいらしい。

婚約者たちは俺たち3人の会話が気になるらしく、クラリスとミーシャも水合戦をやめて近くまで来て耳を澄ましている。ハチマルもどこか心配そうに俺を見つめているような気がする。

「あ、そうだマルス君。スザク様がミーティングをするから戻ってきてくれって……ついつい 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン) を見て要件を忘れちゃってた。みんなも戻ってくるようにだって」

ミネルバの言葉に従い、砦に戻っている最中に

「マルス、本当に2人の部屋に行くの?」

水合戦でびしょびしょになったクラリスが心配そうな表情で聞いてくると、他の4人も不安そうに俺の言葉を待つ。

「うーん……伸び悩んだら相談しに行くかもしれないかな。今すぐに行こうとは思わないから安心してくれ」

みんな俺の言葉に胸をなでおろしていた。

砦に戻り、ミーティングの前に風呂に入らせてもらってから参加する。

「早速これからの事を話す。何日かかけてリムルガルド城下町の安全を再確認する。とにかくみんなで歩き回って残りの魔物退治だ。迷宮化は解かれているので、湧いてくることはほぼないだろう。それに何か掘り出し物があるかもしれないからしっかり周辺を確認してくれ」

「今度はどうやって班を分けるのですか?」

アイクがスザクに質問すると

「そうだな……今回はパーティ別で分けるか。【黎明】で1パーティ。【紅蓮】、【創成】で1パーティ。そして残りの俺、ビャッコ、レッカ、【剛毅】で1パーティだ」

このパーティ分けに俺を含めた【黎明】全員が喜び、クラリスと一緒になれなかったブラッドとコディの2人が下を向く。

「ようやく先輩と一緒のパーティになれました!」

特にアリスが喜びを爆発させる。確かにアリスだけはずっと別行動だったからな。それにこうも素直に言われると俺も嬉しくなる。

「ああ、俺も一緒で嬉しいよ。水魔法俺も一緒に手伝うからリムルガルド城下町探索中にも頑張ろうな!」

「じゃあさ、 私(・) の(・) アクアロッドを貸してあげるよ! アリスがアクアロッドを構えてマルスが後ろからラブエールを唱えるように、後ろからアリスを包み込むようにして水魔法を一緒に唱えてあげればもしかしたらすぐに覚えられるかもしれないよ?」

ミーシャにしてはなかなかまともな意見だな。いつの間にかアクアロッドがミーシャの物になっていたこと以外は……アリスはそれを手を叩いて喜び

「ミーシャ先輩大好き! 今日も神聖魔法でマッサージいっぱいしますね!」

この言葉を受けミーシャもある場所を手で押さえて喜んでいた。

2032年1月25日17時

ミーティング後全員でリムルガルド城下町に向かったが、結局火喰い狼は10匹もおらず、明日に備えて早く帰ってきた。俺とアリスは街の中心部でひたすらアクアロッドを持ち水魔法の訓練をしただけだった。

アリスは何かを掴めそうと言っていたのでもしかしたら近いうちに水魔法を習得できるのかもしれない。ずっと俺の顔を見ていただけだったような気もしたのだが、それはただの自意識過剰かもしれない。

「先ほど突入班で話したのだが、明日リムルガルド城に突入しようと思う! リムルガルド城下町にもう脅威は残っていないと判断した! 突入班はしっかりと休養を取るように! 出発は全員明日の6時だ!」

今スザクが言ったようについに明日リムルガルド城に突入することになった。メンバーは当初の予定通り、俺、クラリス、エリー、アイク、スザク、ビャッコの6人だ。

明日のためにも早く休養をと思い本日3度目の風呂に入り寝室へ向かおうとするとブラッドが俺に頭を下げて頼みごとをしてきた。

「マルス! 頼む! アクアロッドを今日の夜だけでも貸してくれ!」

俺はすぐに今日の昼の俺とアリスの訓練をクラリスとやろうとしているのでは? と思ったのだが、もうクラリスも風呂から上がれば寝ると言っていた。それに俺が寝るのに合わせて【黎明】の女性陣はおろかサーシャも寝ると言っている。

当然眼鏡っ子先輩、ミネルバもそれぞれアイクとバロンと一緒に過ごすだろう。

「ああ、とりあえずミーシャにも聞いてみる。だがどうしてだ?」

するとブラッドが照れ臭そうに

「もう力だけではどうにもならないというのが、火喰い狼を相手にして身に染みて分かった。それにあんなに強いビャッコが昨日全く役に立たなかったって。獣人であっても魔法は絶対に使えないとダメだとビャッコに言われてな……姐さんに協力をしてもらうつもりはない。コディにもう頼んでいるしな。だから頼む!」

再度ブラッドが頭を下げる。

当然俺の答えはYesだ。しかし俺が答える前にこれから風呂に入ろうとしていたクラリスが

「ブラ、私からミーシャに言っておくから、しっかりと水魔法を覚えなさい。私はマルス以外の人を好きになったり、肌を重ねることは絶対にないけど、頼りにすることはあるわ。だから頑張って」

「ああ、いつかきっと姐さんよりも強くなって見返してやるから待ってろ!」

ブラッドはそう言うと俺から奪う様にアクアロッドを取り上げて砦の外に出て行った。