軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第327話 リムルガルド城

2032年1月26日6時

「マルスはリムルガルド城攻略後どうするんだ? ちなみに俺とビャッコ、レッカの3人はこの後バルクス国王の所にいくからな。ミックやジオルグ、バルクス王国の貴族の事も気になるしな」

「僕は学校に戻っていつもどおりの生活に戻るだけです。やりたいこともありますのでコツコツそれをこなしていくだけですかね?」

砦を出発した後にスザクが話しかけてくる。やりたい事というのは当然鎖術だ。今は鎖を動かすのが楽しくて仕方ないが、さすがに今日はMPを温存しないといけないから触るだけにしている。

「私はちょっとゆっくりしたいかなぁ。マルスほどではないけど戦ってばかりだから。できる事ならお義兄さんとお義姉さんの旅行について行きたいわ。もちろん2人の新婚旅行を邪魔するつもりは無いけれども」

アイクと眼鏡っ子先輩はリーガンに戻ってからグランザムに出発するまでの間、2人でゆっくりするために新婚旅行を計画したのだ。しかし今のクラリスの言葉にすぐ眼鏡っ子先輩が反応する。

「クラリスだけは連れて行かないわ。旅行先で男たちに言い寄られて、それをアイクが守ってくれるというのがいいんじゃない。クラリスが一緒に来たらみんなクラリスに持っていかれてしまうから駄目よ」

相変わらずの眼鏡っ子先輩だ。アイクも苦笑している。だがそれを言うとアイクも言い寄られるのではないだろうか? アイクの事だからバッサリと断るだろうが。

「あ、マルス、お願いがあるのだけれどもいいかしら? 私はこの件が片付いたら学校に戻る前にアルメリアに行きたいのだけれども……ジーク様にその旨を伝えてくれないかしら? リーガン公爵には私の方から手紙を出しておくから」

「ええ、分かりました。それでは手紙を書きます。あとサーシャ先生1人では危ないのでライナー先生とブラム先生の3人で行ってもらってもよろしいですか?」

サーシャの言葉に俺が答え、ライナーとブラムもサーシャと一緒にアルメリアに戻る事に頷いてくれた。

「私はB級冒険者だから危ないという事はそこまでないのだけれども……でも厚意に甘えるとするわ。ありがとう」

サーシャ1人でも安全かもしれないが、ミーシャが心配するからな。ミーシャもライナーとブラムの2人が一緒で安心していた。

「マルス! 俺は学校に戻ったら本格的に魔法の訓練を始めるつもりだ! だからアクアロッドが空いた時は貸してくれ! これからの獣人は魔法もある程度使えないとダメだ! ビャッコもセレアンス公爵領に戻ったら親父にそう伝えてくれ!」

俺が持つアクアロッドを見ながらブラッドが話しかけてくる。ブラッドは尊敬するビャッコから語られる獄炎狼戦がよほどショックだったようだ。

昨日は水魔法の訓練をずっとコディとしていたようだからな。当然1日2日で習得できるものではないが、最後はしっかりと土魔法を使ってMPを枯渇させていた。

「じゃあ私はカレンとハチマルとの連携強化でもしようかな。ハチマルがヘイト買ってくれる間にサクッと私が攻撃するみたいな」

カレン、ミーシャ、ハチマルの3人の連携はかなり強力そうだな。

城下町の西門をくぐっても魔物が出てくることはなく、順調にリムルガルド城へ向かう。

2032年1月26日9時

街を北東に進むと目の前にリムルガルド城の門が見える。門の隣には側塔が建てられており、城壁塔、門塔、そして一際大きい塔のような物が俺たちを見下す。

ゆっくりと禍々しいオーラを放っているリムルガルド城を見上げながら城門に向けて歩く。

あれ? あの一番大きい塔ってどこかで見たような……ひとりの少女が幽閉されていて必死に誰かの助けを待っているような絵が頭を過る……

「ちょっと不気味ね……怖くなってきちゃった……」

クラリスが俺の右手をしっかり握りながら右腕に絡みついてくる。

「く、クラリスが変な事を言うから私まで怖くなってしまったじゃない」

怖がりのカレンもクラリスの言葉を聞いて同じように左腕に絡みついてくると、ハチマルも怖がっているカレンを守ろうとしているのか、カレンから離れない。

「なんかお化け屋敷みたいな雰囲気がしない!? エリリン一緒に前に行こう!」

対照的に好奇心旺盛なミーシャがエリーを連れて先頭に出ると、それに続いてアイクも一緒に前に出る。

お化け屋敷というフレーズを聞いてますますクラリスとカレンの俺の腕を抱く力が強くなる。おかげで俺の両腕は大喜びだ。

「相変わらず嫌な雰囲気だな。去年の俺たちも今のミーシャのようにはしゃいでいたな。あの時はAランクパーティ5つだったから油断もあったかもしれないが、今年は違う。いつか絶対に俺がここを攻略しておまえの仇を取るからな……」

スザクはどこからか取り出してきた掌の中にあるバッジのようなものを見つめながら言う。もしかしたら去年ここで死んだ【朱雀】のメンバーの形見なのかもしれない。スザクがここにこだわる理由の1つなのかもしれないな。

そしてついにエリー、ミーシャ、アイクの待つ側塔に挟まれた城門に辿り着くと

「よし! これから突入するが、残った者たちはレッカとサーシャの指示に従う様に! 俺たちはしっかりとフォーメーションを組んでから突入するぞ!」

スザクの言葉に残るメンバーが俺たちに一言ずつ声をかけてくれる。

「マルス! お兄様の事も頼むわよ!」

「先輩! 無事に戻ってきたら好きなご褒美を上げます!」

「マルス! クラリス! 不必要にイチャイチャしちゃだめだよ! エリリン! 2人がイチャつき始めたら止めてね!」

カレン、アリス、そしてミーシャの3人が激励? してくれると

「マルス! あなたは私の息子になるんだから親を悲しませるようなことはしてはダメよ!」

「マルスの剣ならばきっと大丈夫だ! しっかりとやれよ!」

「仕える者がいないと私たちも死んでしまいます! どうかご無事で!」

サーシャ、ライナー、ブラムも両手を合わせながら俺たちの背中を押してくれる。ブラムは何故か敬語に戻っていた。

「姐さん! 無事に戻ってきたら好きな物を買ってやる! もちろんコディのクエスト完了の金でな! エリーもうまい肉たらふく食わせてやるからな!」

「なんで俺の金……いや、好きな物買ってやるから傷1つしちゃだめだぞ! マルス! クラリスを頼むぞ!」

ブラコの2人は相変わらずだ。クラリスが「期待しているからね!」と笑顔で答えると、2人は自分たちに向けられた笑顔に狂喜乱舞していた。あれ? これってミツグ君とメッシー君か?

「スザク様! カレン様の事とこちらの事は私に任せてください! ご武運を!」

レッカの言葉にスザクが右手を上げて答えると

「マルス! 英雄になって帰ってきてくださいね!」

クロムが俺にグータッチをしてくる。

「マルス! 同じ仲間として帰りを待っているぞ!」

「マルス君! しっかりとマルス君が喜びそうなことを考えておくからね!」

バロン、確かに俺はお前を真の仲間、親友と思っているが、あくまでもそっちの仲間だからな。同じ趣味を持つ仲間ではないからな。変な誤解はするよな。ミネルバの言葉も怖かったが頷くと

「アイク! 無理はダメよ! マルス! クラリス! エリー! アイクをよろしくね!」

眼鏡っ子先輩が珍しく真剣な表情で叫ぶと俺とアイクは両手を上げて応える。

「よし! では行くぞ! 何度も言うが今回は間引きだけだ!」

鎧戸は上がっていたのでアイクとビャッコがリムルガルド城の城門を開けるとやはりテリトリーとなっていて、この至近距離でも中の様子を窺う事は出来ない。

俺とクラリス、そしてエリーの3人は身を寄せ合うようにして、リムルガルド城の門を潜った。