軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第313話 テイム2

2032年1月21日17時

「まさか魔物をカレンが魅了するとは……いやカレンであれば可能かもしれないが」

少し早めに西門担当の俺、クラリス、エリー、カレン、ミーシャ、そしてハチマルが砦に戻り、ハチマルの事を説明するとスザクはみんなと同じ反応をし驚くが、レッカだけはさも当然といった雰囲気でカレンの話を聞いていた。対照的にビャッコとミックはまだ少し疑っているようだ。まぁ付き合いが短いから仕方ないのかもしれないが。

「西門の方はどういたしましょうか? また穴をあけますか?」

「いや、西門はそのまま塞いだままにする。まさかそこまでになっているとは思いもよらなかった。今日と明日で様子を見て、予定を変更して明後日1月23日の朝に突入しようと思う。先ほどのマルスの報告からすると1パーティだけでは厳しいかもしれないから、2パーティでの突入を考えている。カレンとミーシャも恐らくメンバー入りすると思うからそのつもりでいてくれ」

スザクの言葉にカレンとミーシャが頷くとスザクが続ける。

「サーシャも恐らく突入メンバー入りすると思う。アイクを考えていたのだが、思った以上にアイクのカリスマ性が残ったメンバーには必要そうだからな。しかしリムルガルド城に突入する時は絶対にアイクを連れて行く。じゃあ俺たちは少し早いが西門と南門を見てくる」

そう言い残し、スザクはビャッコ、レッカ、ミックの4人で砦の外に出て行った。

「じゃあお風呂に入りましょう! カレン、私も一緒にお風呂でハチマルを洗っていい? 大分汚れていると思うの」

クラリスが腕をまくりながらカレンに言うと

「助かるわ。私1人じゃ大変かなと思っていたのよ」

カレンが素直にクラリスの好意に甘える。

「……私も……洗う……」

「じゃあ私も洗うからみんなで一緒に洗おうよ!」

ハチマル、俺に感謝しろよ? 名前がハチアイクだったらこんな美女4人と風呂に入れなかったぞ? まぁハチアイクという名前だったら、この夢のようなご褒美もご褒美と思わないかもしれないが……

2032年1月21日19時

「明日から本格的にハチマルを育てないとな。ハチマル優先で火喰い狼と戦ってもらうがみんなもいいか?」

南門のメンバーも戻ってきて、風呂に入り、今は6時~18時に外に出ていたメンバーで一緒にご飯を食べながら明日以降の事を話している。

「マルスの言う通りだな。クロムも強くなったし大丈夫だろう」

俺の言葉にアイクが答えるとクロムが

「はい。分かりました。明日は久しぶりにみんなと模擬戦をしたいです。この数日でかなり強くなったと思うので、力を試したくて。ブラッドやアリスもそうですが、どこまでバロンに近づけたかも知りたくて」

少し自信をのぞかせながら言う。確かにクロムは強くなっているから色々試したいことがあるのだろう。

【名前】クロム・バルクス

【称号】-

【身分】人族・バルクス王国第2王子

【状態】良好

【年齢】12歳

【レベル】30(+2)

【HP】75/75

【MP】98/98

【筋力】47(+9)

【敏捷】43(+5)

【魔力】34(+4)

【器用】40(+6)

【耐久】46(+6)

【運】10

【特殊能力】剣術(Lv6/C)

【特殊能力】火魔法(Lv4/C)

【特殊能力】風魔法(Lv5/C)(4→5)

【特殊能力】睡眠魔法(Lv1/G)

【装備】王者の剣

【装備】王者の鎧

クロムを鑑定したのがだいぶ前の事だったから以前と比べて大幅に強くなっている。

アリスやブラッドは強くなってしまっているのでまた悔しい思いをするかもしれないが、それでもこのままいけば追い付ける可能性もある。まぁ対ブラッド戦に関しては睡眠魔法がある限り負けないとは思う。

だがそれ以上にクロムの言葉に引っ掛かる言葉があった。

どこまでバロンに近づけたかだと? もしかしたらクロムも……まぁ深く考えることはやめておこう。人の趣味をどうこう言えないからな。

食事を終え寝室に戻り、2つのベッドの間に更に2人用のベッドを作った。

カレンとハチマル用のベッドだ。本当はハチマルを外で寝かせて番犬のような扱いをしたかったのだが、ハチマルはまだ弱いから、もしも火喰い狼に囲まれたら、やられてしまう可能性がある。1対1であれば勝てるかもしれないが、複数相手は無理だろう。大狼がいないから火喰い狼に襲われることはないが。

火喰い狼が来たら俺たちに知らせてもらうだけでも良いのだが、別に今はハチマルが周囲を警戒しなくても誰かがこの砦の周辺を警戒してくれているから、無理に役目を振らなくてもいいと判断したのだ。まぁテイマーであるカレンとの絆をもっと深めて欲しいというのもあるのだが。それにしても白いモフモフを抱いているカレンはとても気持ちよさそうだ。

だけどハチマルと一緒に寝るのもいいかもしれないが、やはり俺はこの2人と一緒に寝るのが一番だ。寝ているクラリスとエリーをいつも以上に近くに抱き寄せ、柔らかい感触に包まれながら目を閉じた。

2032年1月22日7時

「ハチマル! その名前に恥じぬように頑張りなさい!」

今南門でハチマルと火喰い狼を1対1で戦わせている。ここに居るのはライナー、ブラム、ブラッド、コディ、クロム、そして砦を守っているサーシャを除く全員だ。クロムは今日から南門の夜に配置転換となった。

西門を俺が塞いでしまったため、スザクたちも昨日の夜は早く戻ってきて俺たちと一緒に南門までついてきたのだ。

ステータス面ではハチマルが圧倒的に劣っている。筋力値と耐久値が圧倒的に低いからな。それでもハチマルは火喰い狼に対して有利な戦い方を展開している。

基本的にハチマルは火喰い狼から逃げ回る。捕まってしまったら絶対にハチマルが負けるからな。そして逃げ回りながら何をするのかと言うと火を吐くのだ。

ハチマルの火は火喰い狼たちが吐く火と少し違った。火の玉は火喰い狼が吐く火よりも小さいのだが、色が違った。白いのだ。

ハチマルの吐く白い火は小さくとも火喰い狼の吐く火の玉よりは高温なのか分からないが、火耐性をもつ火喰い狼にも少しだがダメージを与えることが出来る。

しかし火喰い狼の吐く火の玉はハチマルに対して全くダメージを与えることは出来なかった。

これはある程度予想は出来ていた。なぜかというと西門で火喰い狼と戦っていた時、火喰い狼の火の玉を躱して、その火の玉が他の火喰い狼に直撃しても全くダメージは無かったからだ。さすがに大狼の火の玉を受けるとダメージを食らっていたようだが。

そして一番驚いたのがハチマルの吐く白い火を火喰い狼が食べると火喰い狼が苦しそうにのたうち回るのだ。これを見て俺はあとである事をしようと画策していた。

「ハチマルはまるで人間のようだな。自分の長所を最大限に生かし、苦手な部分では一切戦わない」

スザクがハチマルを見ながら感心しているとハチマルが火喰い狼に止めを刺し、カレンの所に戻ってくる。カレンはご褒美とばかりにファイアボールを浮かべるとハチマルは嬉しそうにファイアボールを食べる。今カレンが浮かべているファイアボールはこの前のように白くはなく、赤い。

「スザク様、少し試したいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

俺の言葉にスザクが笑いながら

「もしかしたら火喰い狼に火魔法を食わせようとしているのか?」

俺の心を見透かしているかのように聞いてくる。

「はい。ハチマルの戦いを見て気になったので……」

「俺もちょうどやってみたいと思った所だ。協力しよう」

俺たちの他に疑問に思ったものは沢山いたので、火喰い狼の火の玉を受けて喜んでいる勇者様一行を除いて実験をしてみた。

「ではやりますよ、ファイア」

みんなの代表としてアイクがファイアを火喰い狼の口元を目掛けて放つと、火喰い狼は満足そうにファイアを食べた。ステータスに変化はなかったが、体が少し大きくなったように感じた。

ハチマルの白い火は食べられなくてアイクのファイアは食べられるのか。そしてファイアを5発食べた時だった。火喰い狼が大狼に進化したのだ。

アイクは嬉しそうに目を輝かせ今もその大狼と戦っている。

今度は別の火喰い狼で実験することにした。

最初からフレアを食べさせるとどうなるか。スザクがフレアを火喰い狼に放つと1号の時のように爆散とまではいかなかったが、フレアを食べきれなくて破裂した。

さすがに【火王】魔力130越えのフレアは無理なようだ。カレンのフレアも試そうかという話にもなったのだが、俺を含めた【黎明】全員が乗り気ではなかったので、その実験だけは行わなかった。

なんでかって? カレンの火魔法を食べていいのはハチマルだけな気がするんだ。それに火魔法を使えるのは沢山いるからな。

17時まで南門で戦っているとライナーたち5人が予定よりも早く南門に来たので、俺たちは明日へ向けて早めに砦に戻る事にした。