軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第220話 秘策

ミーシャとバロンの戦いは1年生たちの度肝を抜いた。

「アイスランス!ウィンドカッター!」

ミーシャの風魔法と水魔法を

「 土壁(アースウォール) !」

バロンが土魔法でガードする。ミーシャの方が魔力は圧倒的に高いが、バロンには 土精霊(ノーム) 装備があるのでなんとか守り切れる。

「す、凄い……こんな威力の魔法初めて見た……2人とも魔法使いではないのに師匠よりも魔力が高いのか……」

クロムが2人の魔法戦を、目を丸くしながら見ている。

「マルス先輩、私からも聞いていいですか? ミーシャ先輩は本当に前衛なのですか? 魔法の威力が前衛とは思えないのですが……?」

「うーん……ミーシャは良く分からないんだ……【黎明】でミーシャはずっと前衛をやっているだろ? だからステータスも前衛のように力と敏捷が上がると思っていたんだけど……もしかしたら陰で頑張って魔法の訓練をしているのかもしれない。1つ言えることはミーシャも普通の物差しでは測れないという事かな」

アリスの質問に俺も首をかしげながら答える。

ミーシャとバロンの魔法戦は10分近くにも及んだ。そして最初にMPが尽きたのはバロンの方だった。若干バロンの方が最大のMP値は高いのだが、やはり魔力の差があるからミーシャが2回魔法を唱えるとそれを防ぐためには3回は土魔法を唱えないと守り切れない。

まだMPに余裕のあるミーシャを見ると、バロンが

「参った。まさか魔法戦でもここまで差があるとは思わなかった。俺も死の森でかなり魔法を使って自信はあったんだけど……」

少しだけ悔しさをにじませながら降参した。かなり降参するのが早い気がしたが、少しホッとしたところもある。

もしかしたらバロンの戦い方がプロレススタイル? のように全ての相手の攻撃を体で受け止めるスタイルに変化していないか不安だったのだ。

「うん。バロン楽しかったよ。きっと私とバロンの差はレベルなんじゃない? 同じレベルになればバロンの方が強くなるよ」

ミーシャがバロンの下に行き健闘をたたえた。

「おいおい、ミーシャとバロンにまだあれだけの差があるのかよ……この学校は本当にどうなっていやがる……」

ブラッドが2人の戦いを見てボソッと呟く。戦い終わった2人が俺たちの所に来て2人でお互いの長所、短所を話し合いながら反省会をしている。

そしてその反省会をクロムがずっと聞き入っているが1年生はこれから座学の授業が始まるという事で教室に戻っていった。

「さて、お前たちにはリーガン公爵から武神祭に専念するように言われている。だからこのままここで訓練するように。ライナー先生、ブラム先生、サーシャ先生ももうそろそろここに来る頃だと思う。それまでは各自ここで自習をしていなさい。今の結果をリーガン公爵に伝えてくる」

ローレンツが闘技場から出て行くとクラリスが

「ねぇ、私と一緒に訓練してもらえないかな? 武神祭のエキシビジョンマッチの為に……」

「いいよ。じゃあ魔法戦かな?」

クラリスが頷き早速俺とクラリスの魔法での訓練が始まった。俺とクラリスの訓練を他のメンバーが見ている。

クラリスは 魔法の弓矢(マジックアロー) を交えながら攻撃をしてくる。時折 魔法の弓矢(マジックアロー) を食らうとどれだけ痛いんだろうか? という興味が少しだけ、本当に少しだけだよ?湧いてきたが自重した。

普段クラリスとは剣術の練習しかしていないから俺にとっても新鮮だったし、他のメンバーからしても珍しいと思ったらしく見入っていた。

俺のウィンドカッターにクラリスが正確に 魔法の弓矢(マジックアロー) を2射する。1射では相殺できないから2射するのだが本当に正確な狙いだった。

「なんかマルスとクラリスは別次元だよな……この2人が勝てない相手なんていないんじゃないか?」

バロンが俺とクラリスの訓練を見ながら言うと

「……それでも……オーガ……危ない……油断すると死ぬ……」

エリーの一言でバロンの顔が引き締まった。他のメンバーも訓練を開始するとライナー、ブラム、サーシャの3人が【紅蓮】全員を連れて闘技場にやってきた。俺たちは一旦訓練を中断して先生たちの所に行く。

「今日から【紅蓮】も一緒に訓練をすることになった。どうしてもアイクが【黎明】と一緒に訓練したいと言ってな。リーガン公爵の許可も取ってある。いいな?」

「もちろんです。よろしくお願いします」

ライナーの言葉に俺は弾むような声で返事した。アイクと一緒にいるだけでもいい刺激になるからな。このままみんなで昼まで訓練をした。

昼まで訓練をすると先生たちも含めて3階の学食に昼ご飯を食べに行った。

「どうだ? 武神祭でどこか不安な事はないか?」

アイクが俺に聞いてくる。

「僕は女性と戦うのが嫌ですね。取り敢えずエリーに言われたように風魔法で包んで優しく場外にと思っているのですが……」

「おいおい、それはやめた方がいいぞ? というか闘技場をよく使っているマルスなら分かっていると思うが場外ってないぞ?」

え……? 普通場外ってあるよな……でも考えてみれば今使っている闘技場には場外はない……

「……闘技場の外まで飛ばす……間違いなく場外……」

エリーが胸を張って答えた。確かに、それだったら間違いなく俺の勝利と認められると思う。

「……スカート履いている女の子をみんなが見ている前でそこまで空高く飛ばすのか? 間違いなく何かしらの問題にはなると思うぞ。責任を取って6人目にしろとか……」

「絶対にダメ! エリーも嫌でしょ!?」

アイクの言葉にクラリスが猛反発する。エリーもクラリスの言葉に頷き

「……絶対ダメ!……間違ってた……」

確かにそう言われてしまうと風魔法で場外はダメだな。だけどそれが出来ないのであればどうすればいいのだろうか?

「アイク兄はどうやって女性と戦うのですか?」

「ん? 俺か? 俺は男子と女子は区別することなく普通に戦うが?」

俺もそれが出来るのであれば苦労はしない……

「もしも攻撃できないのであれば殺気を出せば……」

アイクがそこまで言うとクラリスが

「お義兄様! それはダメなのです! マルスの殺気はキラキラボンバーなのです! それを食らった女の子は絶対に落ちてしまいます!」

キラキラボンバー? なんだそれは? アイクも良く分かっていないようだったが

「そ、そうか……じゃあそれは無しだな……しかし困ったな……このままだとマルスは勝ちあがれないのか……今年の優勝決勝戦はリスター帝国学校初の兄弟対決だと思ったのだが……」

全員困ってしまった。俺が女性を傷つけることが出来ればいいのだが、どうしてもそれだけは出来ない。

「もっと早くそれを言ってくれれば、私がリーガン公爵に言ってトーナメント表をいじれたかもしれないのに……マルス、変な所で負けないでよね? 武神祭のベスト8からはかなりのお偉いさんたちが見に来るんだから絶対に残りなさい。リーガン公爵もマルスの事を売り込んでいるから、リーガン公爵の顔に泥を塗ってはダメよ?」

サーシャが平気で不正を仄めかす。まぁリーガン公爵の顔に泥を塗るくらいだったら当然なのかもな。

「ちなみに僕の対戦相手はどんな感じなのですか?」

「マルスは第1シードだからトーナメントの一番左上ね。後で見てみるけど確か左上のブロックにはSクラスは誰もいなかったと思うのだけれども……でも女子生徒が多かった気もするのよね……」

あ、これもう終わったかもしれない……

「じゃあさ、マルス……とっておきを使うしかないわよ……これを使えば絶対に女子生徒に勝てると思う。だけどその後のマルスの評判は地に落ちるかもしれないから覚悟はしてね……」

ミーシャの考えた秘策とは……