作品タイトル不明
127.王都と野盗からの招待
「よっしゃあ!俺の勝ち!」
「あーあ。負けたよ。・・・50ジェリーか」
「だからあそこでモレリアの負けって言ったじゃねえか」
「ゲレロは黙ってろ。ベイル、次は俺が相手だ」
俺達は真昼間から酒飲んでダラダラとジェリー勝負をしている、いつものありふれた光景だ。そんな日常は王都からの移籍組『華開く』によって壊される。
「すみません。少しいいですか?」
リーダーのルストが申し訳なさそうに話しかけてくるが、俺はトレオンと死闘の最中だっての!
「ああ?今は忙しいから後にしろ」
「そ、それが王都のアーリットさん達から連絡が来まして・・・・」
あれ?俺後にしろって言ったよな?コーバスの連中って話聞かねえ奴多すぎない?取り合えずクタイッシュをぶん殴っておく。
それでも『華開く』は離れようとしねえ。
仕方ねえな。
「アーリットって誰だよ?」
「・・・えっと『ナンバー3』の方が分かり易いですか?」
「おお!あいつか!」
思い出した。コーバスで3番目にブツがでかい男だ。・・・・そう言えばこの前も名前聞いたな。
「アーリットだよ?覚え方おかしくない?」
「モレリア、ついてねえお前には分からねえよ」
「俺もアーリットって名前よりもナンバー3の方が顔が浮かぶわ」
ほら見ろ、ゲレロも俺と同じじゃねえか。呆れた顔してんじゃねえよ、モレリア。
「それで?アーリット達から何だって?」
おいおい、トレオン、今死闘の最中だってのに、集中してなくて大丈夫か?俺のこの一手に気付かねえと一気に勝負が決まるぞ。
「もうすぐ5級になれそうだから、俺らももうすぐ戻ってこいって」
「えええええ???エルたち5級になるの?早くない?」
「まーた馬鹿みたいに休みなしで依頼受けてんだろ」
「それでも凄いぞ。・・・って事はあいつら主導で竜討伐したって事か?」
トレオンは何で勝負に集中しねえで、どうでもいい事話してんだよ。さっきの一手は読まれたが、この一手はどうよ?
「何で知らないんですか?アーリットさん達クランに所属していない4級や3級と赤竜討伐したって一時期コーバスでも持ち切りだったじゃないですか!」
「ああ、あったねえ。あれってエル達だったんだ。王都で竜討伐なんて珍しくないから興味なかったよ」
「あったかそんな話?」
「お前ら誰一人興味持ってなかったけど、あったんだよ、若手が騒いでただろうが。アーリットが頭だってのは俺も初耳だけどな」
おおーい!トレオンの奴、話しながら中々卑怯な手を打ってきやがった。人が嫌がる事を平気でしやがる、ゴミカス野郎だ。
「それで?5級になるから戻ってこいってのと俺らに何の関係があるんだ?」
「ゲレロさんにはカルガーさんから、モレリアさんにはエルメトラさんから、トレオンさんにはザリアさんから、ベイルさんにはエフィルさんから、それぞれ手紙を渡すように頼まれました」
ふーん。手紙ねえ。初めてもらったけど相手があの卑怯馬鹿じゃ読む気にもならねえ。それよりも今はジェリーなんだよ。トレオンからの嫌がらせの一手は無視して俺は果敢に攻めるぜ!トレオンも手紙なんて読んでねえで、勝負に集中しろ!
「えーっと、『拝啓ゲレロ様。コーバスから私が去って幾何の月日が流れたでしょうか。今も目を閉じるとコーバスの皆と街の喧騒が思い浮かびます・・・』・・・・おーい、もう読む気起きねえぞ。カルガーの奴、何でこんな訳分かんねえ事書いてんだ?」
「それはねえ、貴族特有の言い回しだね。いきなり本題は失礼になるから、当たり障りのない事を書いて、そこから本題に入るのが普通なんだ。ゲレロは何で知らないの?貴族依頼受けているでしょ」
「そう言うのはクワロ達に任せてんだよ。・・・・はあ、カルガーって貴族だった時の癖が抜けてねえのかよ!しかも前置き長えし、カルガーがパーティ加入した時の話とか訓練の話とかいらねえだろ!本題どこだよ・・・・・この辺からか?・・・・・・??んあ?な、何書いてるんだこれ?遠まわし過ぎて何言いたいのかさっぱりだ。5級にあがるから不安なの?不安じゃねえの?俺らに会いたいとか書いている割にはこれからも王都で頑張るってどういう事?」
ゲレロが手紙を読んで1人頭を抱え込んで騒いで、うるさい。集中出来ないからどっか行ってくれねえかな
「良ければ僕が読んでみようか?」
「ああ、頼む」
「えーと。前置きは飛ばすね。・・・・・・要約すると『5級に上がる前に一度王都に来て稽古つけてくれないか?』って事だね」
「その内容なら手紙3枚もいらねえだろ!一枚で余裕で書ききれるじゃねえか!」
「うるせええ!てめえら俺はジェリーに集中してんだ!話ならどっか他所でやれ!」
「いや、ゲレロ、モレリア別にいいぞ、もう終わった」
「ああ?まだ終わってねえだろ!結構いい勝負じゃねえか」
・・・・・
「負けた・・・・俺の330ジェリー」
トレオンのいう通りだった。気付いたらガンガンひっくり返されて気付いたらボロ負けだった。最近俺負けてばっかりじゃね?
「俺の方もゲレロと似たような内容だ」
「僕もエルから鍛えてくれって」
負けてへこんでいる俺が存在しないかの如く、トレオンとモレリアが手紙の内容を話し合っている。何?こいつらジェリー勝負興味ねえの?手紙の方が大事?俺負けたんだけど?
「ベイルの方は何て?」
「知らねえ、読む気もねえ。どうせエフィルから碌でもねえ内容なんだろ。このまま燃やすわ」
「お前・・・・そ、それは・・・」
「人としてどうなんだ?」
「う・・・うーん。流石に読まずに燃やすのは・・・・」
ええ?駄目?どうせこういう卑怯技考えました!とか下らねえ内容だろ?読む価値ねえだろ。
・・・・・・・・
・・・・・
ああああ!分かったからそんな非難するような目でみんな見てくるんじゃねえ!
ナイーブな俺は周りの連中の冷たい視線に耐えられず、面倒くさいけど手紙を確認する。
・・・・
やっぱり読まなきゃ良かった。
・・・・・
俺は上弦の鬼じゃねえぞ!!
手紙を読み終わった俺は、興味津々で見ていたモレリアに手紙を投げる。
「うん?『逃げるな!!卑怯者!!!』・・・・これだけ?」
「暗号か?」
「見た感じ手紙の裏とかにも何も書いてねえな・・・・ベイル、どういう意味だ?」
俺が聞きてえよ!
「知らねえよ!誰かトートーに聞いてこい!」
「・・・・・まあ、他の手紙から推測すると、ベイルも王都に来て訓練お願いしますって事じゃねえか?」
「どう読み取ったらそう読めるんだ?トレオンの頭はお花畑か?お前いきなりこんな手紙が知り合い程度の奴に送られてきたらどうする?」
「・・・・・気にはなるが・・・・捨てるな。そんで殴りにいくかな」
なら何で訓練お願いしますって解釈になった?
「そもそもこの書き方もおかしいな。何で四角書いてその四角の線の外側に沿って文字書いてんだ?これ暗号?」
「書いたのはエフィルだぜ。ゲレロは考え過ぎだ。こうやって敵を攪乱させて『これが卑怯技です』とか言ってそうなやつだぞ?」
あの卑怯馬鹿ならそっちの方が可能性が高い。だからその手には乗らねえ・・・。
「『敵って』・・・お前ら別に敵同士じゃねえだろ。でもまあ、これって明らかにベイル挑発してるよな?」
「うーん、逃げたら・・・エフィルなら『先生は逃げました!私の勝ちです!』とか言いそうだねえ」
・・・・・・
・・・・
おいおい、俺が何もしてねえのに負けっておかしいだろ!俺は真っ向勝負で負けたなら素直に負けを認めるぜ。ジェリー勝負なんか良い例だ。負けたらちゃんと金払うし、途中で投げ出したりしねえよ。ただ、俺が勝負と思ってねえのに、一方的に勝負して勝ち宣言・・・・これはちょっといただけねえな。
コーバスなら速攻そいつの場所行って、ぶん殴って終わらせるんだけど・・・・流石に王都はなあ・・・。
「楽しんでる所悪いな。ちょっとベイルに話がある」
俺がどうしようか葛藤しているとペコーが声をかけてきた。何かいつもと違い結構真面目な顔してんな。厄介事か?
「ベイル。てめえにも指名が来てる、俺らと一緒に行くか?」
「・・・・・はあ?指名依頼?3級の俺に来るわけねえだろ・・・・もしかしてペコー、俺を依頼に誘ってる?お前からの誘いとか珍しいな」
「違えよ。依頼じゃねえ。野盗が俺らを名指しで指名してんだよ」
「・・・・・・・ああ!そういう事か。もちろん受けるぜ」
言っている事を理解した俺は、多分すげえ悪い顔で笑っているんだろう。その俺の前には返事を聞いて、これまた悪そうな顔で笑うペコー。これだけで牢屋にぶち込まれるかもしれねえ。
「俺とペコーって何の依頼の時だ?」
「ミミズの時だ。俺が首踏みつけて殺した奴のパーティが野盗落ちしたんだよ」
ああ、あいつらか思った通り野盗になったか。で、あの時の俺とペコー達に報復するって事か。別に悪い事してねえのに何で逆恨みするかね。まあ、そういう連中を叩き潰すのは楽しすぎるから、悩む事なく参加だ。
「『蜂蟻撤退』も標的にされているみたいだから誘っておいたぞ」
一緒に依頼受けていただけだから『蜂蟻撤退』は関係ねえと思うんだが、野盗の考えはよく分からん。・・・・場所は・・・えー、通行止めになっている街道方向かよ。
「うーん。場所が悪いなあ。そっち行けば貴族がウヨウヨいるんだろ」
「いねえよ!街道にウヨウヨいたら逆に怖えよ!ベイルが貴族嫌いなのは分かるけど、流石にビビりすぎだろ。そもそも何で封鎖された街道に貴族がいるんだよ!よく考えろ!」
・・・・・あれ?言われて見れば確かにそうだ。何で通行できない街道に貴族がいるなんて思い込んでるんだ?・・・・・リリーだ!あいつに何かそんな事言われた気がする。
「そもそも俺らの目標は野盗だから貴族関係ねえだろ。道中出会う連中無視して野盗をバシッっと倒してパッっと戻ってくれば問題ねえ。まあ、それでもベイルが嫌だって言うなら置いていくけどな。野盗にはビビッて逃げたって言っておくぜ」
・・・・・
「おいおい、ペコーさんよお!俺は煽られたまんまってのは好きじゃねえんだ。煽られたら真っ向からぶっ飛ばす!それが俺の生き様よ!」
「その割にはジェリーで煽られて返り討ちされているじゃねえか?」
「バーカ、俺はまだ負けてねえ。負けているのは俺が勝つまでの道の途中だ。ペコー!てめえもいずれ俺から巻き上げた金を倍以上にして返してもらうからな!」
「はいはい、言ってろ。で?参加するのか?しねえのか?」
「あ、はい、参加させて頂きます」
ってな訳で明日朝から出発する事になった。野盗なんて組合員として食っていけない半端者達だからな。特に準備しなくても楽勝だ。敢えて言えば、巣に貯め込んでいる金目の物を運ぶ荷車は必要だけど、そいつはペコー達か『蜂蟻撤退』に任せればいい。
「お?何だ楽しそうだな。俺も混ぜてくれよ」
「俺の助けがいるか?」
「乞食鳥は呼んでねえよ」
「消えろ」
たまにゲレロやトレオンみたいな、暇なハイエナどもが隙あらば参加しようとしてくるが、分け前が減るから明確に断っておく。俺ははっきりノーと言える組合員だ。
え?言い方きつい?
組合員は頭悪いから、これぐらい言っとかねえと分かってくれねえんだ。
「チッ!冷たい連中だ。野盗にやられちまえ」
「てめえらが野盗にやられるのを心の底から願っているぜ」
ひっでえ捨て台詞を吐いて2人は席を立って、組合の外に出て行った。出て行く時に周りへの威嚇も忘れねえ、その姿は正にゴロツキ。
まあ、こういう連中だ。しっかり断られねえと、いつの間にか参加してたりするからな。
「それで?王都はどうするんだい?」
残ったモレリアが暇そうに欠伸を噛み殺して聞いてくる。そしてその様子を見守る『華開く』の連中。・・・・・お前らまだいたの?
「・・・あんな貴族の巣に行く訳ねえだろ。逆にエフィルをこっちに呼びつけて、どっちが上かしっかり分からせてやるよ!」
そうだよ、俺が何でわざわざ行かなきゃならねえんだよ。エフィルがこっち来ればいい話じゃねえか。『来なければエフィルの負け』とかそんな内容の手紙でも送っておけばいいな、うん。
「・・・・貴族の巣って」
「ベイルさん、いつか不敬罪で捕まるわよ」
「貴族なんて上級街からほとんど出てきませんよ?出てきたとしても中級街まで、それも街の外に行くために、ただ通過するぐらいです」
おう?何だ?その上級街とか中級街とか?
「上級街ってのはコーバスで言う貴族街の事さ。コーバスだと次は僕らが暮らす平民街だけど、王都では下級街って呼ばれているね。で、王都だとその間に中級街ってのがあるんだ。ここは大店の商人とか爵位を継げなくて平民になった元貴族が暮らしているよ。分かり易く言うと金持ちの平民が暮らしている所さ」
へえー。王都ってそんな風に街が別れているんだな。知らなかったぜ。モレリアは王都にいただけあって詳しいな。けど知った所で行く気はねえけどな。
取り合えず卑怯馬鹿には煽る手紙を送ってから、俺は明日に備えて宿に戻った。
■
しばらく後、王都
「コーバスから手紙が来たわよ」
組合の受付で貰った手紙をヒラヒラ振りながら、仲間の待つテーブルに戻ってきたエルメトラは宛名を確認しながら、それぞれに渡していく。その仲間の周りにはアーリット達を慕う王都で出来た仲間で囲まれている。
「おお!それがコーバスにいるって言うアーリット達の師匠からの返事か?」
「そうよ。手紙がちゃんと返ってきたから一応、まだみんないるみたい」
王都で出来た仲間に、手紙を開けながらエルメトラが答える。
みんなどこか移籍していてもおかしくない人達ばっかりだからなあ。特に師匠はふらふらしてるから、いてくれてよかったわ。
そうして各自手紙を読む面々だったが、すぐにクイトが残念そうに顔をあげる。
「あー、駄目だぜ。ティッチさんは来れないみたいだぜ」
「えー。その人アーリットとクイトの剣の先生なんだろ。何で駄目なんだ?」
「妊娠したって書いてあるから仕方ないね」
アーリットの言葉にティッチを知るメンバーが驚きの声をあげる。
「「「「ええーーーー」」」」
「ちょっと待つっす!アーリット、今何て言ったっすか?」
「ティッチさんが妊娠?あ、あ、相手は?」
「相手は書いて無いんだぜ。ただ、子供が生まれた後もしばらくは行けそうにないって書いてあるぜ」
「まあ、仕方ないわね。でも、相手は誰かしら?すっごい気になる」
「トレオンさんは来てくれるって」
「ゲレロさんも大丈夫っす」
「師匠も来てくれるみたい」
残りは・・・・全員の視線が未だ手紙を開封せず差出人を見つめているエフィルに集まる。
「エフィル?開けないのかい?」
「いえ、開けますけど・・・先生って結構キレイな字を書くなと思っただけです」
「ホントだぜ、言っちゃ悪いけど、ベイルさんは、汚い字の方が似合うぜ」
「もう、クイト。流石にそれはベイルに失礼でしょ」
「・・・・これはキレイって言うより、書き慣れた感じがするっす」
「じゃあ開けますね・・・・・イタッ!!」
封を開ける途中、エフィルが急に叫びをあげて手を引っ込める。
「どうしたの?」
「エフィル?・・・え?あなた手が切れてるじゃない!」
慌ててエルメトラが確認すると、エフィルの指先が少し切れて血が滲み出ていた。
「手紙に何か入っていたっすか?」
「僕が調べるよ。・・・・・・・・・・こ、これだね、多分」
そう言って手紙を調べたアーリットが手にしていたのは、薄い鉄の板。その両端は鋭利な形状になっていて、恐らくこれでエフィルが手を切ったと推測される。そしてこんなものを手紙に入れていた人物は一人しかいない。
「ベイルさん何考えてるっすか!信じられないっす!」
「信じられない!ベイルは一体何考えてるの!」
「・・・・・やっぱりあの人怖いよおお」
「エフィルさんの先生って、噂に聞く以上にやばくないか?」
「何で弟子への手紙にこんなもん仕込んでんだ?」
手紙に入っていた鉄の板を見て、全員がドン引きしている中、当人だけが静かに笑っていた。
「こ、これは・・・・フフフ・・・まさかこういう卑怯技とは・・・流石先生」
「ええ・・・・」
「笑えるの?これ?」
「わからん、多分2人にしか分かんねえ世界だ」
楽しそうに笑うエフィルを見て、みんな更にドン引きし、エフィルの卑怯技の先生の危険度を一段高くあげる。別にベイルは卑怯技のつもりで入れた訳ではなく、ただの嫌がらせだったのだが、エフィルの言動でまたベイルが勘違いされる事になるのであった。
「手紙も入ってますね。・・・・・うーん。こう来ますか」
一緒に入っていた手紙をエフィルは一読すると、カルガーに手紙を渡し、1人腕を組んで考え始める。
「えーっと、『稽古つけてほしけりゃ、てめえが来い!来なけりゃてめえの負けー!』・・・・子供っすか?」
「ベイルらしいけど、もうちょっと書き方ないのかしら?」
「何で勝負になってるんだぜ?」
「僕もあの人・・・・じゃなくてあの街のベテランの人達の考えは全く分からないからなあ。特にベイルさんは本当に読めないよね。ハハハ」
「・・・・笑いごとじゃないよ。本当にあの人怖いよおお」
「仕方ありません。こうなれば弟子として情けないですが、正攻法で行きます。カルガー、タロウ関係でベイルさん宛に手紙を書いてもらえますか?エル、あなたはそこに一文『おいで』と書いて下さい。アーリット、この間報酬でもらったあの酒精の強いお酒を貰ってもいいですか?」
しばらく考え込んだ後、少し悔しそうな顔で周りに指示を出し始めるエフィル。
「正攻法が情けないってどういう意味なんだろう?」
「『おいで』って犬じゃないんだから」
「ええ、あの『ウイスキー』とか言うメッチャ高い酒贈るの?」
「なんか全然『先生』がどういう人なのか想像出来ないんだけど・・・」
「噂だけなら、とんでもなくハチャメチャな人なんだよなあ」
「そもそも王都に『強い魔物倒した』以外で噂が届く人だ。絶対普通じゃねえよ」
話を聞いていた仲間がヒソヒソと話をして、ベイルを知っているアーリット達は当然聞こえていたはずだが、否定も肯定もせず、ただ乾いた笑いを浮かべるだけだった。