軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

124.オーガ討伐依頼③

・・・・!!???

そんな事をしていると、ピりつくような気配を感じた。

すぐに全員武器を構えてゆっくりと巣穴から距離をとる。即座に全員警戒態勢に入るのは流石だ・・・・いや、ユルビルとロッシュは木の上から動く気配がない。こいつら働く気がねえな。あとで組合に言いつけて報酬無しにしてやろう。

「おいおい、来るぞ」

「分かってるっての」

「遅れてくるとか英雄気取りか?」

「おう、少なくともベイルよりは英雄だろうな」

「アウグ!喧嘩売ってんのか」

「静かに!来ますよ!!」

シリトラのその警告と共に巣穴から姿を現すオーガ。普通の奴よりちょっとデカいか?そんで体の色も普通のオーガより更に濃い緑色だ。ちょっと毛色が違うからこいつが上位種でこの巣穴のボスかな?

「何だこいつ?変な色してんな」

「こいつがボスか?」

「普通のオーガと何で色が違うんだ?強いのか?」

「『二刀』は見た目普通のオーガだったけど強かったよな?色は関係ないんじゃねえか?」

「どうでもいいよ?どうせみんな気になるのは、お金になるかどうかだけでしょ??」

「ガハハハッ!モレリアの言う通り、気になるのはこいつが金になるかならねえか。後はこいつがどれぐらい強いかだな。俺が確認するからお前ら手を出すなよ!」

楽しそうに笑いながらゲレロが盾を構えてボスに向かっていく。ある程度近づいた所で、ボス?オーガが手に持つデカい剣を振り回してくるが、ゲレロが危なげなく盾で受け止めて、反対向きに持った槍の石突きでカウンターを当てる。

「・・・ああ、まあ、力は普通のオーガよりかなり強いが、それぐらいだな」

「ゲレロ、変わってくれ。俺も確認したい」

何が気になるのか、今度はクワロが前に出てオーガの攻撃を受けて、手に持つ槍の石突きでカウンターを当てていく。

「・・・うーん。まあ、ゲレロの言う通りだな」

「次、私」

今度はイーパかよ。お前ら何がそんなに気になるの?

その後も次から次に盾持ちがボスオーガの強さをみんな確認しているんだけど、そんなに気になる?

「おーい。もう誰も相手する奴いないか?こいつ殺すぞ?」

盾持ち達は全員満足したらしく、今はゲレロとイーパがボスオーガの攻撃を受けている。そんな中、クワロが俺達に最終確認をしてくるが、誰も手を挙げない。だって、もう俺達後片付け始めてるし、武器とか血を洗い流してきれいにしたから、今更だ。

「クワロ、ちょっと待って下さい。ベイル。あなたがあのボスオーガを倒して下さい」

「はあ?シリトラ、意味分かんねえ、俺のノルマは終わっただろ。それにゲレロとイーパならすぐに殺せるだろ?何で俺なんだよ?」

「・・・・お、お、お前の実力を見せて見ろ・・・・」

「・・・・誰の真似?しかも顔真っ赤にして恥ずかしいならやるなよ。見ているこっちが恥ずかしいわ!」

なんか今日のシリトラ変じゃねえ?道端に落ちているキノコでも拾い食いしたか?

「今度お酒奢りますから・・・」

「よし!仕方ねえ!そうまで言われちゃあ、やってやるか!おい!ゲレロ、イーパ!ちんたらやってんじゃねえ!そこどけ!俺が華麗に倒してやるからよ!」

「ああ?喧嘩売ってんのか?」

「こいつ殴っていい?」

「ゲレロもイーパも今度お酒奢るので・・・」

「・・・・チッ!そうまで言われちゃ引いてやるよ」

「わーい」

よーし、シリトラナイスだ。しかし酒如きで簡単に釣られやがって単純な連中だ。

気を取り直して、ボスオーガと対峙するが、間近で見ると更に変な色している事が分かる。普通のオーガが健康体だとしたら、こいつは何か皮膚病にかかってるような、そんな見た目だ。まあ、さっきから元気に剣を振り回していたから病気ではないんだろうけど、一応聞いておこう。

「お前病気とか持ってねえよな?」

「グアアアアアア!!!」

確認しただけなのに怒り狂って襲い掛かってきやがった。言葉が分かってる訳じゃねえよな?

怒り狂ったオーガが距離を詰めて振り下ろしてくる剣をこん棒で受ける・・・・受ける?

「あっぶねえええ!!!こん棒じゃ受けれねえ!こん棒ごと体真っ二つじゃねえか!死ぬ所だった」

慌てて剣を躱す俺。俺を慌てさせるなんてこのオーガ強いぞ。

「おい!クソオーガ!てめえ剣なんて使いやがって卑怯だろうが!」

「・・・・あの人オーガに何言ってるの?」

「・・・・ベイルさん、無茶苦茶言ってるよ」

いつの間にか見学組も奥で隠れていた茂みから出てきて、俺の戦いを見学している。こうなりゃ、ひよっこどもに恰好良い所の一つや二つは見せてやらねえとな。

「クソオーガ!てめえは卑怯者だが、俺は正々堂々真っ向から勝負して力でねじ伏せてやるからな!」

こん棒でオーガを指し、格好よく宣言する俺。どう?決まってる?

「嘘つけ!」

「お前は正々堂々から一番遠い所にいるだろうが!」

チッ!ヤジがうるせえ!黙ってみてろ!

「おらあ!!!」

武器を大鉈に持ち替えて飛び込みながらオーガに振り下ろすが、簡単に剣で止められる。そして止められた勢いに逆らわず、後ろに大きく下がりながら絶無名を投げる。飛んできた絶無名に気付いたオーガはチラリとだけ視線を向けると、片手で絶無名を弾き飛ばす。

その手には傷一つついていない。オーガの皮は相変わらず固いな。ナイフじゃダメージが入んねえ。入んねえけど、気にはするみたいだ。

「言ったそばから貧乏ナイフ使ったぞ」

「どこが正々堂々だ」

「誰かあいつに正々堂々の意味を教えてこい」

ギャラリーがうるせえけど、こいつら人の戦いにいちゃもんつけるだけのbotだから気にしても仕方ねえ。今度は距離を詰めて横薙ぎに胴体を狙うが、こいつも剣に阻まれたので、またまた後ろに下がりながら絶無名を投げるが、さっきと同じでチラリと見ると、素手で弾き飛ばされる。よーし、これで種は蒔いたぞ。次が本命だ。それにしてもこいつさっきから全然仕掛けてこねえな?ゲレロ達と遊んで疲れたのか?

そして再度、オーガに斬りかかるが、当たり前のように弾かれるので、再びオーガに向かって投げつける。投げられた物をまた絶無名だと思ったのか、チラリとだけ視線を送ったオーガだったが、さっきと全く形が違う事に気付いて、驚いて二度見する。その次の瞬間、俺の投げた閃光玉が光り輝き辺り一面を明るく照らす。

「ぎゃあああああ!!」

「目があああ!」

「ああああああああ!」

「くそが!閃光玉使うなら言えよ!!」

文句しか言えねえbotがうるせえな。

「悪い、光るぞ」

「遅えよ!」

「先に言え!」

「マジでこいつ信じられねえ」

「姑息な手しか使ってねえぞ、この馬鹿」

言われたから素直に教えたのに、何故かボロクソ言われる俺。信じられねえ。文句言う馬鹿どもに刺激粉を投げつけて、目を押さえているオーガに距離を詰める。

・・・・・剣をむやみやたらに振り回して危ねえなあ。こういう時はっと。

かつての相棒のこん棒をオーガに向かって投げつけると、狙い通り顔面直撃して怒り出すオーガ。次にオーガを超えるように、新たな相棒のこん棒を投げる。当然地面に落ちて音が鳴るので、オーガは釣られてそちらに体を向け、俺に無防備な背中を晒してくれる。

「はい、終わり!」

その隙だらけのオーガの首に大鉈を叩き込んで終わりだ。ゆっくりと崩れ落ちるオーガの首に残った大鉈を引き抜く・・・・首を斬り飛ばそうとしたんだが、真ん中辺りで大鉈が止まっちまった。切れ味大分落ちてんな。戻ったら研ぎに出さねえと駄目だ。投げつけた新旧相棒を拾ってシリトラの所に戻る。

「おーい、終わったぞシリトラ。これでいいのか?」

「え、ええ、ありがとうございます。何かいつも通りですね」

「??え?何かダメだった?笑いが欲しかったら前もって言ってくれねえと」

「い、いえ、笑いを求めている訳じゃないので・・・と、とにかくありがとうございました」

そう言ってシリトラは見学組の所に行って指示を出し始めた・・・・あいつマジで今日変じゃねえ?もしかして俺に惚れた?その辺は後でモレリアに聞いてみるか。その前に俺の戦い方に感動して涙を流している連中だ。

「俺の戦い方にそんなに感動したのか?泣く程とかちょっと照れるな」

「ふざけんな!てめえのせいで何も見えてねえよ!」

「ベイル!てめえ何かおかしなもん投げつけただろ!目が痛くて開かねえ」

「お前マジで殺すぞ!俺達に何の恨みがあるんだよ!」

何故かアウグやペコーがブチギレてるんだけど?何で?小魚でも食ってカルシウム補充しとけ!

「こいつら何でキレてんの?ボスオーガ苦労して倒した俺に酷くない?」

「お前さっき何したのかもう忘れたのか?」

「俺らは閃光玉目を閉じて躱したから全部見てたぞ」

「苦労?してないよね?遊んでたよね、ベイル」

おっと、こいつらにはバッチシ見られてたみたいだ。まあこいつらは何度も俺の閃光玉に巻き込まれたから、使うかもと予想してたんだろう。

「そこ!話してないで、剥ぎ取りを手伝って下さい!」

話していると、シリトラからまーた怒られちまった。

「へいへい」

「剥ぎ取りは血で汚れるからすきじゃねえんだよなあ」

「じゃあ、トレオンは素材売ったお金は無しだね」

「やらねえとは言ってねえだろ」

ぶつくさ文句言いながらも仕事だから重い腰をあげて働く。剥ぎ取りって言うかモツを捨てて軽くする作業だな。後は解体屋に任せた方が早い。全員で取り掛かれば2人で一匹ぐらいだから直ぐに剥ぎ取りは完了した。

「全部で何匹だ?」

「24かな。数匹以外は綺麗な状態だから高値で売れると思うよ」

あー。俺が燃やした奴は皮がダメになっているな。もうちょっと別の手で倒せば良かった。後はショータンが相手したオーガも無駄に傷つけられて皮は売り物にならねえだろうな。

「すみません。もうちょっときれいに倒せれば良かったです」

「なーに、ショータン達はオーガ初めてなんだ。むしろ誰もデカい怪我せず倒して偉いって褒められる所だ」

落ち込んでいるショータン達にアウグやペコーが肩を叩いて慰めている。実際、ショータン達、初見でほぼ無傷でオーガ倒すとかかなり優秀だ。聞いた限りだと想像以上のオーガのパワーに圧倒されて、初めては仲間が死んだり、重症負う事が多いらしいからな。

確かアウグは初見で仲間が一人やられたとか聞いた。ペコーは重症になりながらも辛くも勝ったとか聞いたな。それに比べたらショータン達は優秀、優秀。

「それに比べて・・・・」

「こいつらは・・・・」

呆れる俺らの目の前には、猿轡で口を塞がれて正座させられているポカした見学組の3人。これから何をされるかわからず青ざめた顔で震えている。

まあ、ポカやらかしたんだ。これぐらいは怯えてもらわねえとな。

「すみませんでした!!」

「ごめんなさい!」

「・・・・・・」

ゲレロの指示で猿轡を外された2人は即座に頭を地面にこすりつけて謝る。自分達が何をやらかしたか十分理解しているみたいで良かったぜ。

で、問題はふてくされた態度のクタイッシュだ。こいつは駄目だな。仲間も気楽にさっきの戦いについて話しているから重大さに気付いてねえ。『蜂蟻撤退』と『転がった剣』の面子は離れた所から怯えた目でこちらを眺めているってのにな。

「お前ら自分達が何したか分かってるのか?」

「別にそこまで怒る事じゃねえだろ!全滅させたんだからいいじゃねえか」

マジで何も分かってねえクタイッシュの顔面に、アウグのつま先が突き刺さる。

「ああああああああ!鼻があああ!!」

痛みで転げ回るクタイッシュの頭を俺は容赦なく踏みつけて動きを止める。そこにペコーがしゃがみ込んで話しかける。

「お前、それ結果論だろ?今回はたまたま上手くいったが、もし駄目だったらどう責任とるつもりだ?言われた事はちゃんと守れ。じゃねえと仲間や他のパーティに迷惑かける。それが出来ねえなら・・・・殺すか」

そういうペコーの手にはいつの間にかナイフが握られている。さーてここからどうなるかはクタイッシュ次第だ。ここで意地張っても仕方ねえぞ。素直に謝ればまだ俺らも許してやるぐらいは優しいぞ。

「す、すびばぜん。許じでくだざい」

よーし、流石にそこまで馬鹿じゃなかった。組合員になるような連中は変に意地張るからな。別にここで殺しても誰からも文句は出ねえから、もしここでクタイッシュがふざけた態度とったならペコーは容赦なく殺したはずだ。・・・・・こうやって何人死んだ事か。

「そうだ。分かればいい。てめえらもだ。言われた事はしっかり守れ。特に今回は『黙って邪魔にならねえ場所で見てろ』って全然難しくねえ指示だ。それすら守れねえ奴は、今後も仲間や他のパーティの足を引っ張るから、殺しておいた方がマシだ。実際俺らはそうやって何人か殺してきているからな。クタイッシュも謝ってなければ死んでたぜ。次から気を付けろ」

ペコーの言葉に全員ガクガク首を振って頷く。

「分かったならいい。ただしてめえら3人はコーバス戻ったら、酒奢れよ!それから組合長のゲンコツも覚悟しておけ」

ペコーがそう言った所で、俺も足をあげてクタイッシュを解放してやると、それぞれの仲間が駆け寄って慰めあったり、怒られたりそれぞれだ。

「それじゃあ、回収も終わったので、巣穴を調べているメンバーが戻ってきたら街に帰ります。出発の準備を」

話が付いた所でシリトラから全員に指示が出され、いつでも出発出来る状態で巣穴を調べに行ったトレオン達を待つ。

「おーい。シリトラ。見学組だけでも大八車引かせて先に行かせるぞ」

「そうですね。ショータンの所も一緒に・・・・」

指示を出したシリトラの耳が何か捉えたのかピクリと動き、慌てて巣穴を振り返る。

「モレリア!!」

「うん、僕も聞こえたよ」

「全員!警戒!戦闘準備!見学組は下がりなさい!!」

ここで『どうした?』なんて聞く奴は長生きしない。今でもしぶとく生き残っているベテラン連中は、シリトラの指示を聞くと背負っていた荷物を放り投げて武器を構える。更に誰も指示していないのに、自然と盾持ちが前に出て、弓使いや魔法使いは後ろに下がる。

そうして陣形が整うと同時ぐらいに巣穴から3人が飛び出してきて叫ぶ。

「全員!警戒!奥にやべえのがいた!恐らくボスだ!」

「凄いデカいオーガが一匹。強さが半端ねえ!」

「トレオンが足止めしているが、すぐに出てくるぞ!」

巣穴を調査していたのはトレオン含むベテランの斥候達だ。それなのにこいつらがこんなに慌てるって事は、そのオーガ相当強いな。今回は少し歯ごたえ無かったから、楽しくなってきたぜ。