作品タイトル不明
118.王都からの移籍組①
今日も昼前に起きて、依頼書眺めてダラダラ過ごそうと思い、組合に向かった。そうして組合に入ると・・・・
「お前ら!いい加減にしろよ!」
「こんな事してどうなるか分かっているの?」
「許さない!絶対に許さないからな!」
「・・・・ヒック・・・ヒック」
簀巻きにされた見た事ない4人が、天井から吊るされて周りを囲むペコー達に悪態を吐いていた。
・・・・・
・・・・
まあ、いつもの事だな。
チラリとだけ視線をおくると、俺は無視して掲示板の方に向かう。
「おいおいおい、そこのあんた!何でこの光景に何も言わねえんだよ」
「普通、『どうした?』とか聞くわよね?」
「職員も止めにこないし、この組合普通じゃねえよ」
「・・・・ヒック・・・ヒック」
掲示板に向かおうとしたら、吊るされた連中が絡んできやがった。お前ら、たまにいる元気な移籍組だろ?デカい口叩いてしょっちゅう吊るされてるの見るから、コーバスじゃ珍しくねえんだよ。
「構って欲しいなら、もうちょっと目新しい吊るされ方しとけ。今のままじゃ0点だ」
「構って欲しいんじゃなくて、助けて欲しいんだよ」
「目新しい吊るされ方ってどういう事?」
なーんかこいつら元気だな。まだ吊るされてそんなに経ってなさそうだ。もうちょっと元気がなくなってから構ってやろう。
という事で掲示板を見に来たんだが、こんな時間じゃおいしい依頼なんか残っているわけがねえ。分かっているけど、確認しちまうのが組合員の習性って奴だな。
「よお、ベイル。なんか良い依頼残っているか?」
そこに組合員の習性で掲示板を確認しに来たトレオンが声をかけてきた。この時間に来たって事は馬負けたな。
「この時間にある訳ねえだろ。おっ!トレオン、あの依頼とかお前に良さそうだぞ」
「お前、あれ誰も受けねえ『ゾンビ捕獲依頼』じゃねえか。ふざけんな!」
チッ!バレたか。たまに誰か間違えて受けてくれないかと組合で依頼書を貼る場所変えてるんだ。それで今日はたまたま場所変えたらしいから、トレオンが引っかからねえかなと思ったけど、駄目だったか。
ちなみにこの依頼、ゾンビを一匹生きた?まま捕獲するんだが、報酬は3000ジェリー。報酬安いし、ゾンビ臭いし、汚いしで誰も受けねえ。更にゾンビを手近で遭遇出来る所はみんな嫌いな『死者の丘』。当然馬鹿みたいにゾンビやスケルトンがいるから一匹だけ捕獲しようとしてもすげえ数に襲われる。かなり割に合わない依頼だから誰も受けねえ。確か年単位で放置されているはずだ。
「それじゃあ、その辺のとかはどうだ?」
「その辺も塩漬け依頼じゃねえか!俺を騙そうとするな!」
「チッ!騙されねえとつまんねえな。おーい!ペコー。暇ならジェリーしようぜ」
怒りながらもまだ掲示板を見ているトレオンは放っておいて、吊るされてる奴らを暇そうに見ているペコーをジェリーに誘う。
「ああ、暇だからいいぜ。レートは?」
「金があるから10ジェリーでいいぜ」
「お前、それ金があるって言わねえだろ。・・・まあ、そのレートなら負けても痛くねえか」
「おいおい、ペコーさんよお。余裕ぶってて平気か?俺に完封されて泣くんじゃねえぞ?」
「お前そこまで強くねえだろ。それに完封されても500ジェリーじゃねえか。そこまで惜しくも・・・・惜しくも・・・・いや、やっぱり500ジェリーは惜しいな。マジでやるか」
そう言ってペコーとジェリーの準備を始めていくと、吊るされた連中が絡んできた。
「あ、あのー。俺達の事気にならないんですか?」
「な、何でみんな気にしてないの?普通この光景おかしいでしょ!」
「職員も誰も事情を聴きにこないんだけど・・・」
「・・・うう・・・うう」
「よーし。それじゃあ、初手はベイルに譲ってやるよ」
「ペコーさんよお。いいのか?ジェリーってのは先手が絶対勝つって決まってんだぞ?」
「お前、そう言って先手打ちたがるけど、負ける事の方が多いよな?」
うるせえ!突き詰めていけば多分最終的にはそうなるんだよ!知らんけど。それに俺はまだ成長途中だからいいの!
そうしてペコーとぺちぺち打ってジェリーを進めていく。
「あ、あのー」
「何で話を聞かないのよ!」
「話聞けよ!!」
「・・・グス・・・グス」
「なあ、ペコー。そこの元気な連中は吊るされてどれぐらいだ?」
「うーん。俺が来た時に丁度吊るされる所だったから鐘1つぐらいだな」
「へえー。中々元気な連中じゃねえか」
早い奴だと鐘半分で黙り込むのに、まだ全員元気そうに見える。
「こいつら王都からきたんだってよ」
「王都?何で王都からここなんだよ。王都で大人しくしとけよ。そっちの方が安全に稼げるんだろ」
一時期は落ち着いたんだけど、ここ最近連日移籍してくる奴が多すぎるんだよ。そんで狩場を荒らして、逃げ帰るか死ぬかでまともに居付く奴なんてほとんどいねえ。迷惑な連中だ。それに王都は温いって話だからな。厳しいコーバスにわざわざ来る意味が分かんねえ。
「違う!俺達は稼ぎに来たんじゃない!強くなりに来たんだ!」
「強く?ああ、そう。興味ねえけど、それならそこから抜け出してみろ。それが出来たらちょっとは強くなるぞ・・・っと。ほらベイル、これでどうだ」
そういうペコーが神の一手を打ってきて俺がかなり劣勢になっちまった。
「おいおい、マジかよ。なんちゅう卑怯な一手を使いやがる」
「ジェリーに卑怯な一手とかねえよ。ほら!これでどうよ!」
・・・・・
・・・
負けたじゃねえか!!
「へへへ、俺の勝ち。ベイルどうする?もう一回やるか?」
「いや、今日はどうも膝の調子が悪い。この間の傷が疼きやがる」
「ジェリーに膝は関係無えよ。それにお前、膝の怪我とかしてねえだろ」
「よう!お前らまたジェリーか?暇人だなあ?」
俺がペコーから200ジェリー巻き上げられた所に、ゲレロが眠そうな顔でこっちに寄ってきた。こいつ昨日も娼館行ったみたいだ。『高級服』入荷した日からこいつ連日娼館通ってんな・・・どんだけハマってるんだよ。聞けば、『快楽亭』は連日大盛況でどの娼婦でも予約必須らしい。更に客の要望に応えて新しい衣装を順調に増やしていっているそうだ。俺はもうちょっと落ち着いて金に余裕が出来たら行くつもりだ。
「お前まーた娼館かよ。よく金もつな」
「ペコーと違って俺はこういう時の為に貯金してんだよ」
「お前どんな時を予想して貯金してんだよ。普通それ目的で貯金なんてしねえぞ」
「言ってろ!そんなんだといつか後悔するぞ!」
いやあ、それで後悔するのはゲレロだけだと思うぜ。
と思っていたけど後日、ペコー君も無事にコスプレイの良さを知ってハマったんだ。けど『貯金してねえから通えない』って組合で嘆いてうるさかったので、キレた組合長にぶん殴られたのはまた別の話。
「おい!そこのハゲのお前!俺達を助けろ!」
「ああ??俺か?」
3人でそんな事を話していると、吊るされている奴の中で一番威勢のいい奴がゲレロに絡みだしたんだけど、大丈夫か?ゲレロって実は知らねえ奴には優しくねえぞ?
「そうだ!お前だハゲ!俺達を助けろ」
俺らも礼儀を弁えてねえけど、こいつらも大概だな。王都の教育はどうなってんだ?
ほーら。ゲレロの馬鹿が見た事もないぐらい笑顔になった。
「よーし。任せろ。俺が助けてやるぞ」
「・・・・ちょ!馬鹿!そうじゃねえよ!何で逆さにするんだよ!!」
笑顔のゲレロが、縛られている縄を触ると、どうやったか分からねえけど威勢のいい奴が逆さまに吊るされた。
「よし。これでいいな」
「全然よくねえよ!はげ!てめえふざけんな」
逆さまにされたけど、威勢のいいのは相変わらずだ。けど、これって結構長い時間されると死ぬらしいんだよ。俺の故郷の貴族が、面白半分でその辺の平民捕まえて試したとか聞いた事がある。しかもその様子を見ながら酒を愉しんでいた碌でもない貴族だったそうだ・・・・貴族ってのは碌でもない奴しかいねえ。
「やあ、ゲレロ。何しているんだい?新手の拘束プレイの練習かい?・・・それにしては縛り方が全然ダメだね。こんなにぐるぐる巻きにされたら顔でしか楽しめないじゃないか」
そこにおかしな勘違いをしたモレリアが呑気に近づいてきた。こいつは娼館遊びの習慣が抜けてなくてオフの日は昼過ぎまで寝てるって言ってたから、今日は少し早起きしたみたいだ。
「馬鹿野郎。お前と一緒にすんな!これは生意気な後輩への指導だよ」
「これのどこが指導だよ!俺が手を出せねえのをいい事に適当言ってんなよ!・・・おい、そこの胸のデカいエルフの女。お前ちょっと、これどうにかしろ!」
「・・・・・」
そう言われたモレリアは表情を変えずに黙り込む。付き合いの長い俺達は直ぐに分かった。
あっ!モレリア怒ったなって。あいつすぐにキレる癖して、どこがおっとりした性格だよ。そんでペコーの飲みかけのエール奪って何するんだ?ペコーもモレリアがキレたの察してエール奪われても何も言わねえでお代わり頼んでるし。
「やあ、君は新人か移籍組・・・見た感じ移籍組みたいだね。それじゃあ移籍のお祝いにお姉さんがエールを一杯奢ってあげよう」
「いや、違え・・ゲホッ!グハッ!ブヘッ!」
モレリア容赦ねえな。逆さまにされた所にエールをかけるもんだから、王都の奴、エールが鼻に入って咽てんじゃん。
「て、てめえ!・・・ガハゥ!ブヘッ!」
王都の奴が怒って文句言おうと口を開いたら、またエールを流して咽させる。それを数回繰り返すモレリア。拷問かな?
「す、ずびばぜんでした。許じで下さい」
お代わりしたエールが無くなるぐらいまで繰り返すと、ようやく王都の奴の心が折れ、泣きながら謝ってきた所で、モレリアはようやく動きを止めた。そこにどこかに行っていたんだろう組合長が戻ってきた。
「戻ったぞ・・・・うん?・・・はあー、あんまり騒ぐなよ」
戻ってきた組合長は組合の光景を見ると、すぐに事情を把握したみたいで、呆れながら俺達に注意して部屋に向かっていく。知らねえ奴が吊るされているって光景は最近じゃ別に珍しくないからな。
「ま、待って下さい。あなたここの組合長なんでしょ!何でこの光景で普通に出来るの?」
吊るされ疲れていたと思っていた女が、普通に部屋に戻ろうとする組合長に絡みだした。
「ああ?そんなん見慣れているからだよ。そうなっているって事はお前らがここの連中に喧嘩売ったんだろ?それにお前らコーバスの組合員じゃねえから俺が助ける義理はねえ。助けて欲しけりゃ、その辺の連中に助けてもらえ」
「さっきから頼んでいるけど、誰も助けてくれねえんだ!無茶言わないでくれ」
・・・・・
ほう、あれで頼んでいるつもりだったのか?王都ってのは俺らと常識が違うみたいだな。
「それくらいの事も教えて貰ってねえのか?お前らどこから来た?」
「王都です!俺らは王都のアーリットさんの紹介でこの街に来たんです」
「・・・・アーリットは何で教えてねえんだ?」
組合長が首を傾げているけど、アーリットって名前は知っているみたいだ。けど俺は知らねえ、誰だ?
「おい、ゲレロ、ペコー。アーリットって誰だ?」
「・・・ああ、うん・・・多分あいつだ。俺がこの間踏み殺した奴」
「違えよ。多分結構前にいたあいつだ。飛竜に運悪く殺されたパーティにいた奴だ」
「違えよ!アーリットさんは死んでねえよ!あんたら本当にここの組合員かよ」
俺らが『アーリット』って誰だ?って話していると威勢のいい奴が復活したみたいで、俺達に元気にツッコミ入れてきた。
聞けばアーリットってのはどうやらここの組合員だったらしい。けど俺ら誰も覚えてねえ。首を捻って思い出そうとするけど、さっぱりだ。
「王都であれだけ凄い事やっているのに、何で知らねえんだよ!この街出身なら噂ぐらい流れてくるだろ!」
「凄い事?王都で?王様でも殺したか?」
「違えよ!あんた不敬すぎるだろ!冗談でもそんな事言うなよ。アーリットさんが無実の罪で捕まっちまう!」
それぐらいしねえと俺らの耳に入ってこねえんだよ。でも違うのか。それならあんまり大した事してねえ・・・・多分二日連続で財布拾ったとかだな。
「王都の娼館完全制覇したとかだろ?」
「王都に娼館どれだけあるか知ってる?毎日通っても多分1年じゃ終わらねえぞ。そもそも凄い金が必要だし、アーリットさんは可愛い彼女が二人いるから娼館必要ねえんだよ」
ゲレロの予想も違うらしい。やったら凄いとは思うが、ただ、それもゲレロや娼館のババア達なら聞こえてくるだろうけど、俺みたいな真面目な一般組合員にまで噂が流れてくる程じゃねえ。
「あんたら本当に知らねえのか?アーリットさんのパーティは王都に移籍して来て、すぐに有名な賞金首の魔物狩ったんだ。そこからも他の賞金首の魔物や野盗をいくつも狩った凄い人なんだ。そして最近は他のパーティと組んで飛竜討伐まで成功させたんだ。今やあの人が次の5級に一番近い位置にいるって言われているんだぜ。しかも俺達みたいな級が下の連中の訓練にも付き合ってくれて、凄い優しいんだ。顔も格好いいし、いい匂いするし、物腰もすごい柔らかい、汚い言葉なんて使わねえ。凄く尊敬できる人だ。俺達はあの人が5級になったら立ち上げるクランに絶対入るつもりなんだ」
「・・・・・お、おう」
「・・・・・が、頑張れ」
「・・・・・・そ、そうか」
目をキラキラして一気に捲し立てる王都の奴。
・・・・俺達は悟った。
・・・こいつ多分ホモだ。アーリットって奴の尻狙ってやがる。
別にそういう性癖を否定するつもりはねえよ。個人の自由だ。組合はそれを認めているし、だからこそ組合員も自由にやっている。ただ、まあ、何かの拍子で惚れられでもしたら怖いじゃん。
・・・・特にお尻が。
「けどなあ、俺達の実力じゃクランに入ってもアーリットさんの足を引っ張るだけだ。だからどうしたら強くなれるか聞いたんだよ・・・・そしたらこの街でしばらく組合員やれば強くなるって言われたんだ。だから移籍してきたっていうのに、そのアーリットさんを知らねえってどういう事だよ!」
「・・・・・お、おう」
「・・・・・が、頑張れ」
「・・・・・・そ、そうか」
威勢のいい奴がまだアーリットについて語っているが、俺達は怖くて適当な返事を返しながら、テーブルの上を片付けて帰り支度を始める。まだ昼過ぎだけど今日は解散だ。
俺達以外の誰かが犠牲になってくれることを願って、俺達は組合を後にしようとする。その俺らの背中に未だアーリットの素晴らしさを語っている王都の奴。
なんかもうアーリットがどれだけ凄いかってより、こいつがどれだけアーリットを好きかにしか聞こえなくて怖いんだけど・・・。
「・・・だから俺達は強くなりたんだ。特にティッチさん、ゲレロさん、モレリアさん、トレオンさん、ベイルさんからはしっかり技術を教えて貰えって言われてるんだよ!」
名指し!!??アーリットって俺の事知ってんの?ホモに俺の名前教えんなよ!個人情報の管理どうなってんだよ!
「けど、組合で聞いたら『碌な連中じゃねえから絡むな』としか教えてくれないのよ!!」
「そうなんです。『それなら自分達で探す』って言ったら、『頼むからあいつらに絡んで怒らせるんじゃねえ』って言われて、それでも探すって言ったら、周りの組合員から縄で吊るされたんです」
「・・・・うう・・・こ、怖いよお」
他の2人も少し元気になったのか会話に混ざってきた。一人はずっと泣いてるけど・・・。
それよりもだ、あいつら俺達を『碌な連中じゃねえ』ってどういう意味だ?誰が言ったかは知らねえけど、後で特定してぶん殴ってやる。
「何だよ。そんな理由で吊るされてたのかよ。てっきり喧嘩売ったからだと思ったぜ」
「ならもう下してもいいだろ。こいつ以外」
そう言ってペコーとゲレロが縄を切ってホモ以外を床に落としていく。もうちょい優しく下してやれよ。
「いてて・・・この組合おかしいですよ。何であの光景にみんな普通にしているんですか?職員も助けてくれないし」
「人が吊るされているのなんて珍しくねえからだ。それと職員は基本組合員同士のトラブルには介入してこないんだけど、王都じゃ違うのか?」
「違えよ!王都じゃ小さいトラブルでもクラン同士のデカい抗争に繋がるから、職員がすぐに止めにはいるんだよ」
敬語の使える奴に聞いてるのに、威勢のいいのが俺の質問に答えてきやがった。こいつは俺達が帰るまでこのままにしておこう。
「クラン同士の抗争?何でそうなるんだ?組合の中のトラブルは個人の問題でパーティやクランは関係ないだろ?」
「ペコーもコーバス出身だから知らないだろうけど、王都じゃそうならないんだ。クラン同士仲が悪いから放っておけばどんどん大事になるんだよ。本当に面倒くさい所だったよ」
王都にいた事があるモレリアが心底面倒くさそうな顔で、教えてくれる。街の外なら殺し合いだからパーティ同士の争いになるのは分かるが、組合の中ならただの個人の殴り合いだろ?パーティ関係ねえじゃん。
「コーバスなら、例えばペコーとゲレロが組合で喧嘩したとしても、2人のパーティメンバーは加わってこないだろ」
「トレオン達がどっちが勝つか賭けを始めて、それに参加して楽しんでんな」
「そう、ベイルが言ったようにコーバスならそれで終わり。どっちが勝っても遺恨なし。なんなら喧嘩の後にクワロがペコーと楽しそうにお酒飲んだりもあるからね」
うーん。それがどうした?別に珍しい事じゃねえよな。
「まだ、ベイル達がピンと来てないみたいだからもう少し分かりやすく言うと、組合も街の外と同じルールってのが王都なんだ」
おお!それなら分かる。それならペコーとゲレロの喧嘩じゃねえ。『腹いっぱい』と『守り抜く』の殺し合いになるな。
「・・・ん?組合で殺し合いしていいのか?」
「殺しはナシ。でもルールは街の外が適用されているのが王都の組合かな。噂じゃ大きな街はそんな所が多いらしいけど」
「うわあ、殺伐してんなあ。そんな所で楽しく酒なんて飲めねえだろ?」
俺ならそんな所じゃタダ酒じゃねえと飲まねえぞ。
「そうよ!組合はお酒を楽しむ場所じゃない。他のクランやパーティの情報を少しでも集める所よ。だからみんな情報集める為に耳を澄ましているから、ここみたいに騒がしくないわ」
「おいおい、王都の組合クソつまんねえじゃねえか。ベイルとか騒いでねえと死ぬ病気だからすぐ死ぬぞ」
「ペコー!てめえ人を変な病気扱いすんじゃねえよ!俺はいつでも静かに冷静に飲んでるだろうが!」
・・・・・
「「「「「「あれで????」」」」」」
「おいおい、何で盗み聞きしてた連中まで驚いてんだよ。俺はコーバスで一番大人な酒の飲み方出来る組合員だぜ」
「気に入らない事言われたら、ジョッキ投げつけてくるのが大人の飲み方?」
「この間飲み過ぎて、ゲボッってリリーさんにこっぴどく怒られてた・・アレが?」
「煽られてエールを樽から直飲みするのが?」
・・・・・・まあ、アレだ。そういう過去もあった。でも今日はクールに大人しく飲んでるじゃねえか!