作品タイトル不明
第七話 数の重み
王宮の春の夜会は、慣例どおりに、過ぎた。
ライラ夫人が整えてくださった席に、私は、静かに、着いた。
席の番号は、たしかに、上がっていた。
上がった席に、私が着くのを、出席の貴族方が、目で、確かめていた。
何人かの方が、扇を、わずかに、動かした。
動かした扇の影で、別の誰かと、目を交わした。
それだけの夜会だった。
クラーケンハイト侯爵家からは、ご当主夫妻のみの出席。
アルヴィス様は、出席なさらなかった。
ノエルは、家門の格として、出席の席は、用意されていた。
ただし、その夜のノエルは、気分が優れない、ということで、屋敷に、残っていた。
お父様も、それを、無理に勧められなかった。
気分が優れないのは、本当だったのか、と、私は、馬車で帰る道々、考えた。
考えて、半分は、本当だろう、と思った。
ノエルは、賢くはなくとも、席の番号というものが、その夜、どう動くか、なんとなく、感じる勘は、持っていた。
その勘が、今夜だけは、屋敷に残りなさい、と、ノエルに告げたのだろう。
その夜の馬車のなかで、私は、リーゼに、ひとつだけ尋ねた。
「リーゼ。あなた、何年、私の侍女?」
「奥様にお仕えして、七年でございます」
「七年。お詫び状の話を、私が、いちばんよくしたのは、いつ?」
「四つ目と、十六番目でございました」
「即答ね」
「ええ。あの二通だけ、お屋敷の中で、お声に出して、奥様が、お読みになりました」
「あら、声に出していた?」
「お読みになるおつもり、ではなかったと思いますわ。ただ、書斎で、お一人で、お声が出てしまった、というふうでございました」
「……あなた、聞いていたの」
「壁越しでございましたから、文面までは、伺いきりませんで」
「……」
「ただ、奥様、四つ目のときは、お声に、力がございました。十六番目のときは、お声に、力が、ございませんでした。それで、私、覚えてしまったのです」
私は、馬車の窓のほうに、目を逸らした。
そういうことを、リーゼは、ずっと、覚えていたのだ。
私が数えるしかなかった、というよりも、私の代わりに、リーゼが、数えていてくれた。私の声に、力があったかどうかまで、ふくめて。
そういう数え方を、私はずっと、自分一人だけで、しているつもりでいた。
「リーゼ」
「はい」
「ありがとう」
「もったいないお言葉でございます」
リーゼは、それだけ、応えた。
応えてから、しばらく、馬車の窓のほうへ、目を移した。
リーゼも、私も、窓越しに、王宮のあかりが、遠ざかっていくのを、しばらく、黙って、見ていた。
夜会の翌週、ヴェロニカ伯爵夫人からの、招きの便が、届いた。
差し出されたのは、夫人ご自身のお筆。
便箋は、王宮便箋に近い、ご年配の家ならではの、格の高い品。
封蝋は、深い、葡萄色。
押し方の角度は、ぴたりと、慣例どおり。
文面に、私個人への配慮が、言葉の隅々まで、しみていた。
日取りは、初夏の入り口の、晴れた午後。
出席は、ご年配の奥様方が中心、と書かれていた。
ご令嬢方の席は、特に、設けない、とも。
そして、一文だけ、末尾に、付け加えてあった。
『ヴァランシュタイン家のお当主にも、お声がけしてございます。お席が、ご一緒のお部屋になりますこと、お知らせ申し上げますね』
夫人は、わざわざ、知らせてくださっていた。
知らせてくださった、というのは、私の側に、嫌な思いをさせないように、という配慮だった。
私を、不意打ちのように、侯爵閣下と同席させる、ということを、夫人は、なさらない方だった。
それを読んで、私は、返事を、すぐに書いた。
便箋は、家紋透かしの、正規のもの。
封蝋は、家紋を、深い赤で。
言葉は、丁重に、お礼の二行と、席に参じる旨の一行。
私の側にも、なんの、ためらいもなかった。
ヴェロニカ夫人の屋敷は、王都の北のはじにあって、庭が、王宮の庭よりも、ずっと、深く、暗かった。
深い、というのは、庭の奥行きが、長い、という意味でもあるし、木立が、古い、という意味でもあった。
玄関ホールから、部屋に通されるあいだ、廊下に、ご年配の油絵が、いくつか、かかっていた。
描かれているのは、いずれも、女性の肖像。
夫人の親類、縁戚、お母様、お祖母様、と、続いていた。
通された部屋は、温室ではなかった。
屋敷の二階の、奥まった一室。
小さな、けれど、よく明かりの入る、部屋。
円卓ひとつ、席は、六つだった。
夫人。
ご年配の奥様方、お三方。
ヴァランシュタイン侯爵閣下。
私。
侯爵閣下の席は、円卓の、私の対角線ではなく、私のひとつ隣でもなく、ちょうど、夫人の向かいだった。
そこが、夫人がいちばん、話をなさりたい方の席。
本日の主賓は、ヴァランシュタイン家のお当主、ということに、なっていた。
そして、私の席は、夫人のすぐ、隣だった。
夫人は、何かの拍子に、わたしの肘の近くまで、軽く、手を寄せられることがあった。
本日も、何度か、軽く、寄せられた。
それは、夫人の癖だった。
癖だ、と、思っていた。
ただ、本日、寄せられた回数が、いつもより、少し、多かった気がした。
お茶は、まず、ふつうの話で、始まった。
「リンドレイ嬢、お母様のご加減は」
「お陰様で、元気にしております」
「元気にしている、というのは、よろしくしている、よりも、もう一段、上の言葉ね」
「ええ。本当に」
「お母様のお好きなお花は、たしか、白い薔薇」
「ええ」
「庭の白も、もう、満開でしょう」
「母が、毎朝、見送りに、立ってくれます」
ご年配の奥様方が、それぞれ、お母様の話に、少しずつ、加わってくださった。
家門の名前を、夫人が紹介してくださって、私もそれぞれ、挨拶を、改めて返した。
話は、お子様方の話、庭の話、最近のお薬師の話、と、自然に、流れていった。
侯爵閣下は、最初から、ほとんど、話をなさらなかった。
紅茶を、ゆっくり、飲んでいらした。
時折、夫人が、話の中で、ふと、振られると、短く、答えられた。
答えは、いつも、簡潔で、礼法どおりだった。
私のほうへ、視線を向けることは、なかった。
向けないように、気をつかってくださっている、というよりは、こちらの円卓全体の、空気を、整えることに、専念なさっている、というふうだった。
話が、しばらく、続いたあと、ふっと、夫人が、紅茶のカップを、置かれた。
「リンドレイ嬢」
「はい、お夫人」
「ふと、気になったのだけれど」
「なあに、でしょうか」
「お詫び状は、いくつ、お持ちでいらっしゃるの」
円卓に、紅茶の湯気だけが、しばらく、立っていた。
立っていたあいだに、円卓の奥様方は、それぞれ、自分のカップに、目を、落とされた。
夫人は、目を、私のほうに、向けてくださった。
視線は、急いてはいなかった。
ただ、答えを、待っていた。
私は、答えを、口にする前に、いったん、紅茶を、ひと口、いただいた。
いただいたのは、心を、落ち着けるためではなかった。
心は、落ち着いていた。
ただ、夫人の質問の、深さを、紅茶の湯気越しに、もう一度、確かめたかった。
夫人は、責めるために質問なさったのではなかった。
責めるのなら、質問の前置きを、もっと、短くなさる。
責めない方が、こうして質問なさるのは、円卓のすべての方に、その数を、聞き届けていただきたい、ということだった。
それは、私一人の話を、ご年配の屋敷の中で、社交界全体に、開いてくださる、という決断にほかならなかった。
「二十四通でございます」
私は、答えを、それだけ、返した。
声に、特別な、力は、込めなかった。
込めなくとも、それは、円卓のうち、一人の方の手元で、紅茶のカップが、皿に当たる音を、軽く、響かせた。
「お観劇のお延期は」
「四度でございます」
「ご同伴のお交代は」
「七度でございます」
「ご同伴のお拒否は」
「十一度でございます」
私は、それぞれ、答えだけを、返した。
夫人は、数のあいだに、答えを、催促なさらなかった。
催促なさらない作法が、質問の重みを、より、しっかりと、円卓に、置いてくださった。
急かない、というのは、ご年配の方の、おもいやりの、いちばん深い形だった。
円卓の三人目の奥様が、手元で、扇を、畳まれた。
畳む動きが、いつもより、遅かった。
遅かったのは、畳む手が、わずかに、止まりかけたからだ。
四つ目の質問のあと、私は、ふと、答えを、続けようとして、声を、切らせてしまった。
「あと、ご招待状の」
そこで、声が、続かなくなった。
招待状の、その後を、何と、続ければいいのかが、急に、わからなくなった。
招待状を、いただいたまま、先方の事情で、延期になり、延期のままに、流れた会。
そういう会の数を、私は、はっきり、覚えていた。
覚えていたのに、声が、続かなかった。
円卓に、わずかな、沈黙が、落ちた。
私の、隣ではなく、対角線の、向こうで、紅茶のカップが、わずかに、持ち上げられた。
侯爵閣下が、自分の紅茶を、ゆっくりと、口元へ、運ぼうとなさっていた。
ただ、口元まで、運ばれず、途中で、ふと、止められた。
止めて、また、皿に、戻された。
カップの底が、皿に、当たった。
その音が、円卓のすべての席に、届いた。
質問の答えを、続けなさい、と、催促するための音ではなかった。
むしろ、逆だった。
続けなくても、よろしいのですよ、と、円卓の、すべての方に、示した音だった。
円卓の、夫人も、ご年配の奥様方も、その意味を、すぐ、汲み取られた。
「ご招待状の、お数は、また別の話に、いたしましょうか」
夫人は、優しく、続けてくださった。
「ええ……、お夫人。先に、続いてしまえば、よろしいのですけれど」
「いいえ。今日、それまで、続けないで、よろしいの」
「……」
「四度、七度、十一度、二十四通。今日の話で、もう、十分でございますわ」
「……」
「六年、ですものね」
夫人は、それから、自分の紅茶のカップを、ゆっくりと、持ち上げられた。
持ち上げて、口に運ばれた。
運ばれたあと、しばらく、紅茶の湯気を、見つめていらした。
見つめるあいだ、円卓の、すべての方が、自分の紅茶の湯気を、見ていた。
湯気は、それぞれ、すこしずつ、違っていた。
紅茶の茶葉は、一人一人、違うものを、選んでくださっていたからだった。
私の前は、ベルガモットだった。
ベルガモットの香りは、夫人の屋敷の、深い、奥まった部屋のなかでも、はっきり、感じられた。
感じる、ということが、本日、私は、はじめて、ちゃんと、できた気がした。
湯気を、見ていたあいだに、円卓の三人目の奥様が、ふっと、自分の紅茶のカップを、持ち上げて、こう、言われた。
「お夫人、私、本日、リンドレイ嬢のお話を、伺えて、よろしうございました」
「ええ。私も」
「年寄りどもが、お茶の席で、数の話を伺っただけ、と、おっしゃる方も、おいでかもしれませんけれど」
「ええ」
「数というのは、一つ一つに、重みが、おありなのね」
ご年配の奥様方は、それぞれ、深く、頷かれた。
侯爵閣下も、一拍、間を、置いてから、ごく、わずかに、頷かれた。
わずかに、というのは、本当に、わずかだった。
ただ、円卓の全員が、その頷きを、見ていた。
見ていたから、それは、響きを持っていた。
お茶会は、それから、庭の話に、戻った。
戻された話の中で、私は、ようやく、ご年配の奥様方の、お母様の話を、ゆっくり、伺うことができた。
夫人の屋敷の薔薇は、白ではなく、淡い橙色だった。
その色の薔薇は、夫人のお祖母様の代から、庭で続いている、と伺った。
お祖母様は、白を、好まれなかった、と。
白は、ご年配になられてからの、夫人ご自身の好み、と言われた。
「リンドレイ嬢のお母様にも、一鉢、お分けしてもよろしいかしら」
「母が、たいそう、喜びます」
「グリーディ夫人の屋敷から、白の苗が、もう、お届きでしたわね」
「あら、お夫人」
「あら?」
「グリーディ夫人のお話を、お夫人がご存じだなんて、私、気がつきませんで」
「ご夫人方は、お話しになりますもの」
「……」
ご夫人方は、お話しになりますもの。
夫人は、それだけ、笑いを、口元に、乗せられた。
ご夫人方は、話をする。
それは、グリーディ夫人と、ヴェロニカ夫人と、そして、王宮社交統括夫人ライラ様と、おそらく、皆様で、私の話を、すでに、持っていらっしゃる、ということだった。
ご夫人方の連携は、ご年配でないと、本当の意味では、動かない。
ご年配でない私には、まだ、見えない動きが、庭の薔薇の話の下を、ゆっくり、流れていた。
お茶会のお開きの時刻、私は、ご年配の奥様方、一人一人に、丁寧に、お辞儀をした。
ご年配の方への、深いお辞儀は、私の側からは、まだ、ぎこちなかった。
ぎこちなかったのは、私の中で、こういう深いお辞儀をする機会が、長く、なかったからだった。
夫人方は、それぞれ、笑いを、口元に乗せて、受けてくださった。
玄関ホールに降りる、階段の途中で、私のすこし前を、ヴァランシュタイン侯爵閣下が、先に、降りていらした。
階段を、降りきる前に、閣下は、ふと、足を、止められた。
ふっと、振り返って、私が降りるのを、待ってくださった。
「リンドレイ嬢」
「侯爵閣下」
「一言、よろしいでしょうか」
「ええ。どうぞ」
階段の途中だった。
階段の上にも、下にも、すぐには、人が、いなかった。
それは、たぶん、夫人の、屋敷の、最後の、おもいやりだった。
「数えることは、屈辱では、ございません」
低く、お声が、階段の壁に、染みた。
「……」
「それを、覚えていらしたことを、ご立派と、存じます」
「……ありがとう、存じます」
私は、それしか、答えられなかった。
答えられなかったのは、言葉が、わからなかったからではなかった。
言葉の意味は、はっきり、わかった。
わかったが、それを、ふつうに受け取る練習を、私は、まだ、しきれていなかった。
数えることが、屈辱ではない、と、生まれて、はじめて、別の人の口から、伺った。
これまで、私のなかで、数を覚えている自分は、すこし、惨めだった。
惨めな自分を、人に、見せたくはなかった。
だから、ご年配の奥様方の前で、声を、切らせてしまったとき、ほんの一拍、私は、その数を、覚えている自分を、恥ずかしく思った。
その恥ずかしさを、覚えていらしたこと、ご立派と存じます、と、言葉で、はっきり、否定してくださった。
私は、それに、ふつうに、ありがとう、と、返事できた、というだけで、本日、もう、十分だった。
階段を、降りきって、玄関ホールで、リーゼと合流した。
リーゼは、私の顔の、ほんの何かの違いに、すぐ、気づいた。
気づいて、何も、尋ねなかった。
尋ねないで、私のストールを、整えだけしてくれた。
その夜、寝室に上がる前に、私は、書斎に立ち寄った。
長持の、いちばん下から、木箱を出した。
出したのは、自分で、出した。
リーゼに頼まずに。
机のうえで、いちばん下にしまわれていた、一通目のお詫び状を、取り出した。
封筒の角は、もう、ずいぶん、ふやけていた。
何度か、私が、自分で、開けたから。
便箋を出して、机のうえに、広げた。
『観劇の御約束を違えましたこと、心よりお詫び申し上げます。妹君に急なお熱があり、放っておくこともできず、また私の判断が遅れたことが第一の咎にございます。改めてお詫びの機会を頂きとう存じます。次の観劇には、必ずや埋め合わせを――』
筆は、たしかに、誠実だった。
文字の、ひとつひとつに、力が、入っていた。
力が、入っていた、ということは、書くあいだ、頭のなかで、言葉を、選んでいた、ということだった。
言葉を選ぶ、というのは、相手のことを、ちゃんと、思っていた、ということだった。
あの頃のアルヴィス様は、嘘を、ついていたわけではなかった。
あの頃のアルヴィス様は、本気で、お詫びを、書いていた。
ただ、誠意の、貯金を、毎年、すこしずつ、使い切ってきた、だけのことだった。
封蝋というのは、一度溶かして固めると、二度と同じ形には戻らない。
温め直しても、縁が欠けたり、紋章が浅くなったりする。
最初の頃の誠意も、それと似ていた。
一通目の便箋には、まだ、深い紋がくっきり残っていた。
何通かのあいだ、それを使って、書いていた。
途中で、家令に任せることが増えて、書く回数が、減って、使う便箋の格が、下がった。
筆が、代筆になり、封蝋が、軽くなった。
最後のひとつには、もう、貯金は、残らなかった。
残らなかったから、便箋の上半分に、短い、ひと文だけを、書く、というところに、行き着いた。
私は、それを、ぜんぶ、受けてきた。
受けてきたあいだ、私は、最初の頃の誠意の貯金を、ずっと、信じていた。
信じていた、というよりも、それを、変わらないものだと、信じこむ、ということを、私は、自分の側で、自分で、決めていた。
決めていた自分のことを、いま、ようやく、認められた。
責めるのではない。
ただ、認める。
それで、よかった、と、思った。
便箋を、もう一度、丁寧に、畳んで、封筒に、戻した。
そして、木箱に、返した。
木箱の蓋を、閉めた。
閉めるとき、その蓋の音は、いつもより、すこしだけ、深かった。
「奥様」
リーゼが、扉のところに、立っていた。
「あ、リーゼ」
「お眠りになる前に、一つだけ、お知らせを」
「なあに」
「本日、ヴェロニカ夫人が、本日のうちに、王宮へ、お便りを、お出しになったご様子です」
「お便り」
「便箋は、ご自宅のものでなく、当家の家令の、いちばん上の便箋」
「……」
「差し先は、お知らせするまでもないかと存じます」
私は、それに、軽く、頷いた。
「本日のうちに、便りを、出す」というのは、王宮社交統括夫人ライラ様への、内々の報せだ、ということだった。
ヴェロニカ夫人は、本日のお茶会の話を、本日のうちに、ライラ夫人と、共有なさった。
ご夫人方は、お話しになりますもの、という言葉が、もう一度、頭のなかに、返ってきた。
「お休みなさいませ、奥様」
「ええ、お休みなさい」
リーゼが、扉を、閉めた。
私は、机の上に、何も置かないで、しばらく、両手を、膝に、置いた。
置いた両手の、指先が、もう、冷たく、なかった。
冷たくなかったのは、屋敷が温まっているからだろう、と、思った。
たぶん、それだけ、ではなかった。
明日からも、また、何かが、続く。
続いたものの、数も、これからは、また、増えていく。
数えていく、ということを、本日、私は、もう、屈辱、と、思わなくなった。
それを、自分の側で、決めたまま、灯火を、落とした。