軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

24.出発の準備

お使いクエストを終えるまでは学園都市には行かないぞ、と思っていたので、ずいぶん時間がかかってしまった。まあ、のんびり行ければいいやとも思ってたんだけども。

今回も荷車移動しようかな、と地図を開いてみるとなかなか遠い。最短で行こうとすると、砂漠を突っ切るルートが発生する。

砂漠、砂漠かぁ。

砂漠といえば、サンドワーム。

サンドワームといえば金策、とは掲示板でもおすすめされている魔物だ。しかし社畜にしかおすすめしないとか、精神が試されるとかいわれている狩場でもある。殺伐なんだろうか? サンドワーム自体の強さはそれほどでもないらしいんだけども。

懐のちょっとさみしくなった猫には、金策はとても気になる。気になるけど、殺伐は嫌だな。

この砂漠の近くには、トラ模様の風猫族マティさんから教わった、風車の街ウォーデンヒルがある。近くというか、砂漠が広いからちょっと接しているだけなんだけど。

ここはフーテンさんが通い詰めている街でもあり、猫もいずれは行かねばならないところだ。でも学園都市が先かな。

となると砂漠は避けて通ろうか。荷車で通るの大変そうだし、ルイは砂漠が得意じゃないかもしれない。

それならこっちの迂回ルート。

草原というか、荒野? だだっ広い平原が広がっていて、主に狼系の魔物が出る。オオカミは足が速いから苦手なんだけど、猫もLVが上がってきたし、従魔も育ってきているので適正範囲内。囲まれないようにだけ気を付ければ、なんとかなるはずだ。

まあ、街道を行くつもりなので、戦闘は避けるんだけどね。今回も荷運びする予定なので、まったり読書旅だ。

そうと決まれば、荷車の整理といこう。

早速マイルームへ飛び込んで、まずは庭の手入れ。

ちょっとしたハーブ農園……のつもりだったんだけど、鬱蒼と繁っている。

理由?

主に花夢蝶のレモのせい――いや、おかげである。さすが農業特化の従魔だけある。

畑にも花夢蝶のラモとトレントのモリーを放ってるから結構育ってるんだけど、庭の繁茂はまたわけが違う。たぶん香草類は適正LVが低いから、というのもあるんじゃなかろうかと。

葉を採るタイプの草って、強いんだよね。

レモが交配頑張ってくれたのもあって、種が弾けとんだのかあっちこっちがハーブ天国になっている。ちょっとサボると、収穫してもしても終わらないのだ。

『キキ草』『レモベナ草』『マリッソ』『ラヴツレ草』、だいたいこの辺を自分で使うために植えてたけど、久々に出荷しようかな? ちょっと多すぎる。

庭もなにか、もうちょっと有効利用したいんだよねえ。ハーブ農園は楽しいけど、採れたものの利用先が限られている。

うーん、何を作ろうかな。

自由都市では農業ギルドでも新しい種、なかったんだよね。学園都市で見てみようかな。香草も農業ギルドで売ってもいいしな。ヤマビコさんにいるか聞いてみてからにしよ。彼も今となっては立派な農家料理人なので、自前で作ってるかもしれないけど。

かごを咥えてついてくるフルクのリカを撫でて労いつつ、ハーブ摘みをする。ロニはリカに対抗心があるみたいで、後ろでぷるぷるしている。尻尾振ってるので、対抗心というよりは構ってほしいのかも?

そうそう、ロニ、ちょっと歩けるようになりました。ぷるぷる止まりつつ、歩いて、またぷるぷる、という感じなので、あの歩く犬のおもちゃにちょっと似てる。歩けるようになったのは大進歩だよね。

レトとルビー、ラージは雑草を採ったり、ホッパーを採ったりと庭を好きに動き回っている。働き者だ。よく音符が出ているので、楽しんでいるようでなにより。

ルビーはたまに種を掘り返しちゃうから注意が必要なんだけど、これだけ育ってたらまあいいか。

ときどきレトが花を採ってるから何をしているのかと思ったら、レモが蜜を吸いにいっていた。仲良し。

ちなみにこういうとき、チェスニャッコのスーニャはへそ天で寝ている。お腹の白い毛がふかふか。日向ぼっこ気持ちいいね。

スーニャの昼寝を横目に収穫を終えた。

結構時間がかかっちゃったな。さくっと収穫出来る魔法があればいいのに、というのはさすがに野暮か。趣味だもんね。

頑張ってくれたレモたちみんなを労ってご飯を与え(スーニャも起きてきたのであげた)、ルイに牧草を与え、ついでにバロメッツのバロンを連れてきて食事をさせる。

ほーらみんな、ご飯だよ。

シャクシャクと勢いよく食べていくバロンは、こうして見るとただのまんまる羊にしか見えない。もこふわ。

バロンの食事を考えると、庭は長く育てるものにも向いてないんだよねえ。

お次はベランダへ。

『竜果』と『金炎の種』の栽培中。順調に育っている。水と炎という異なる栄養を与える必要があるから『タイムパス』は出来ない。のんびり見守っている。

それから、まずはベランダで植木鉢で育ててみることにした『赤ポムの枝』。根付くまではここで試して、出来たら庭に持っていこうと考えている。バロンだって言い聞かせれば食べずにおいてくれるはずだ。

林檎の花はきれいだから、いずれお花見したいね。

『赤ポムの枝』を挿し木にして育てている農家は多いので、ノウハウはある。それによると、根が出るまで出来ることは特にない。そーれ『タイムパス』。

あっという間に根付くので魔法は便利。

水と肥料を与えて、ちょっと大きくなるまで様子見かな。

さて、ようやく荷物の整理。

箪笥部屋に行って、アレコレ片づけていく。荷車の所持量に物をいわせて持ちっぱなしのアイテムが大量だ。買取露店もしてるし、ゴミといわれそうなアイテムであふれている。

ちゃんと『魔法玉』作ったり売ったりで循環しているし、ゴミじゃないんだけどね! リサイクルだよ。

箪笥にポイポイ放り込んでソート。やはり最低品質素材がかさばっているので、これは『錬金術』しちゃうことに。

せっせと『魔法玉』に変換。やはり『鍵魔法玉』がまだまだ人気なので、悩んだときはこれにしちゃう。『光魔法玉』『闇魔法玉』も少しずつ。こんなもんかな。

放り込み直してソート。うんうん、すっきりした。

荷物を軽くしたら、食事を終えたルイを連れて運送ギルドへ出掛ける。

いっぱい荷運びするぞ!

『運搬』はこの前上がったところだし、ランクアップは無し。

あれこれ荷を選んで積めたら、今度は学園都市で売るものを考える。

といっても木材に野菜に魔道具とあまり売れるものは……と思ったけど、あるじゃんね、魔道具。

『錬金釜』!

早速材料の鍋釜を買って、ついでにお野菜ということで、野菜売りのおばちゃんの元へ行く。なんだか久しぶりだぜ。

「おばちゃんにゃーん!」

「おやいらっしゃい。今日もたくさん買っておくれよ!」

「任せるにゃん~!」

今日は最低品質野菜の日じゃなかったようで、普通のお野菜だ。あれやこれやと吟味しつつ、購入していく。

そういえば、おばちゃんの村も学園都市の近くにあるんだよね。いずれ行こうと思いつつなかなか行けてなかったから、この旅行中に行けるといいな。

「今度おばちゃんの村にも寄らせてもらうにゃんね~」

「猫ちゃんならいつでも歓迎だよ!」

「嬉しいにゃん!」

「神官さまたちもよく出入りしてくれてね、ありがたい限りだよ」

ほうほう。

資金力のある農家神官たちのことだ、マイ別荘ならぬマイ畑をきっとみんな買ったんだろうな。マレビトダンジョンあるし、富豪ワープ出来るしね。

そういえば以前言っていた、おばちゃんの村が村から街になる案件だが、ちょっと揉め事はあったものの、無事に街になったらしい。発展した!

村の周りが柵から塀になったそうで、魔物が攻め込んで来なくて安心できるようになったんだって。発展ってそういう効果もあるんだね。

どうやらノーカさんが頑張っているようだ。また一人だけ違うゲームしてる……。

あとは旅の準備ということで、猫も教本を買いに行く。

『ウォーターストライク』は覚えたから、次は『アースストライク』『ウィンドストライク』かな。ストライク系は学習MPも判明しているし、今のうちに六属性全部買って覚えてしまえばいいか。そうすれば、六属性の『 魔硝子(クリアビジュー) 』が作れるようになるし。

本屋さんで散財した猫だけど、まだちょっとお金はあるんです。一応、手持ちは八桁あったからね! 七桁飛んだのは痛かったけど、素寒貧になったわけじゃないのよ!

そんなわけで魔法師ギルドで教本の購入。

魔法は覚えているけど、魔法師のランクは上がりにくい。元々上がりにくいジョブらしいから、仕方ないんだけどね。残念。

さて、お野菜をいっぱい買ったし、『錬金釜』を作ったし、教本も買ったし、荷物は詰めた。

準備万端。

よし、待ってろよ学園都市!

……はい。

荒野が広がっていますね……。

街道をのんびりのんびり、荷車に運ばれていく。

従魔はルイ、リカ、ラージ、ルビー、スーニャ。それからレトとシロビに、ロニ。

廃都へ行くときは遠くに山々が見えたりしたものだけど、学園都市方面はあんまり山がない。あるにはあるけど、ちょんと高い山が二つ三つある程度で、青々とした山が連なったりしていない。

地平線まで荒野が広がっている。うーん、広大。

青々とした草原に森に山に白い遺跡に、という感じの廃都旅も楽しかったけど、これはこれで趣があっていい。

街道に沿って移動しているので魔物には遇わないのだが、ときどき回転する草が襲いかかってくるのでそれにだけ注意が必要だ。タンブルウィードってやつね。

タンブルウィード――回転草は風で枯れた草が巻き込まれて道を転がり丸くなるという自然現象(?)で、草の塊がころころする内にでかくなってぶつかってくるのである。

当たったらダメージ星が出て向こうが大破するだけなんだけど、サイズや草の種類によってはこっちの被害が大きくなったりする。毒草だったりすると毒になるしね。

ちなみにうまく避けて『採取』できると草が手に入る。だいたい『雑草』なんだけど、30個くらい一気に入るのでちょっと面白い。

だいたいラージがどーんとぶつかっていって食べてくれる。おやつなのか嬉しそうだ。

タンブルウィードを避ける以外は、平和な道程だ。

猫が『従魔法の基本』を読む横で、レトは教本の豆本を読んでいる。真剣だ。新しい魔法を覚えられたらいいね。

ルビーはふよふよと絨毯で浮いていて、ときどきレトをつついて嫌がられている。どうやら休憩を促しているみたい。そろそろ言うこと聞いておかないと、ルビーに怒られるぞ、レト。

そう思いつつもルビーの地団駄が見たくて放っておいちゃう猫はわりとダメな飼い主。にゃふん。

ロニは猫の膝の上。シロビも同じく膝の上に伸びている。白いコンビで丸いのと長いのがいて見てて面白い。