軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.森のトレント

村に辿り着いたことにより、アルラウネから無事『調薬』を教わることになったリーさんとポユズさんが離脱。『農業』について教わりたいアルミハクさんとヤマビコさんも離脱。

残ったティアラさん、ココロさん、エドさん、フーテンさん、猫とルイで新PTを結成、ひとまず村周辺を探索してみることになった。地鼠族のクラノスケはルイネアのポユズさんやアルミハクさんと行動を共にしたいようで、そちらへ同行している。

ルイネアのふたりはどちらかが探索へ加わろうかと言ってくれたのだが、今回はクラノスケがいなくても問題なさそうなので、村にいてもらっている。

「アルラウネの依頼はフォレストトレントの調査か」

猫のときに出なかったのはソロだったから、あるいはLVが足りなかったから、だろうか。両方かもしれない。ともあれ進展があるのはよいこと。

「たぶんこれで山頂のゴーレムが何者かわかるようになるんじゃないかな~と」

「柔らかい上にヒーラーがいないので、いのちだいじに、戦闘は仕方ないもの以外はなるべく避ける方向で」

「了解です! 火魔法持ちですんで、戦力外と思ってください!」

「わたくしもですわ!」

「攻撃は任せてもらえれば。ヒーラーだけよろしく~」

「やるにゃん~」

「そこはかとなく不安にゃん~」

猫も『ヒール』と『ファイアヒール』しかないから不安にゃん。他のヒールも覚えようかな。

斥候のエドさんを先頭に出発!

エドさんは『森歩き』も持ってるので任せて安心だ。

今でこそあまり重視されていないが、「昔は持ってないと 斥候(スカウト) と言えないくらいの覇権スキルだった」とのこと。

迷いの森以降、大規模な森マップがないことも廃れた理由のひとつだろうって。たしかに必要な場所の完全マップが既にあるんじゃ、いらないって思っちゃうのもわかるかも。

ちなみに猫は主にアイテム採集と迷子防止で取った。あと『森歩き』ってスキル名がいいよね、旅してる感じで。

「迷いの森ならフォレストトレントの出る位置もわかるけど、惑わしの深い森とは別マップだろうな」

「となると、最初に落ちた地点で会ってるから、そこまで戻ります?」

「戻りつつ痕跡を探すくらいでいいんじゃない~?」

「頑張るにゃん~」

まずは来た道を戻ることに。

ちなみに猫の持ってた『ニャルコール』は、アルラウネの村にいる間に、マイルームの箪笥へ仕舞ってきた。みんなにとっては大した敵ではないとはいえ、ブラックニャッコが出てきても困る。カーバンクルニャッコだったらまた集落に案内されちゃうかもしれないしね。

「あ」

「にゃん??」

「そういえばアルラウネが、トレントはマンドラコラと仲がいいって言ってたにゃん」

「マンドラコラ…」

一瞬エドさんが遠い目になったのはお見合いを思い出したからだろうか。猫も遠くを見つめてしまう。

「じゃあマンドラコラも探しつつ行くか。野生の……野生の? ……とにかくマンドラコラは、大抵は擬態してる。だが特徴のあるロゼットを作ってるからわかりやすい」

ロゼットはタンポポでよく見る、葉が丸く開いた状態のアレだ。アブラナ科の植物もするっていうから、ラコラもするのだろう。ラコラがアブラナ科かは今となってはだいぶ怪しいところだが。

「タンポポみたいなのを探すにゃんね!」

「……ランはタンポポ探しとか似合うな」

「タンポポかわいいにゃんよ?」

「うん。タンポポはランに任せる」

エドさんたらかっこつけなんだから。

タンポポとトレントの痕跡を探しつつ、落下地点を目指す。

トレントの痕跡は落ちた枝とかで、細い枝にも葉が芽吹いているのが特徴らしい。

「トレントは挿し木で増えるにゃん?」

「どうだろ。でもたしかにトレントの花とかは聞いたことないかな~」

「風媒花じゃないか?」

「ヒィ、花粉!」

「ゲームでまで花粉は断固拒否ですわ!!」

「トレントも種類が多いからね~花粉持つやつもいるのかも…」

「季節も春にゃんね…」

「ヒエエーー!!」

ココロさんとティアラさんはどうやらリアルも花粉症らしい。平然としているように見えて顔が嫌そうなエドさんもきっとそう。フーテンさんは笑ってるので違うのかも。

猫? 猫は対策を万全にして迎え撃つタイプ。負けんぞ。でも春は可能な限り引きこもってます。

「あ、タンポポ」

「ロゼットな」

「にゃん~」

タンポポのように見えるロゼットの群生地を発見。

「これ全部マンドラコラかと思うと、踏み入るのはさすがに躊躇いますわね…」

「マンドラコラは厄介ですもん」

「倒していいなら拡大『タイムパス』だけどそういうわけでもないし、どうする~?」

「にゃあ、たぶんこれ全部じゃないにゃん」

農家の勘が大半は白ラコラだと告げている。いや、葉っぱの形がね。すごく見覚えのあるやつが多いのだ。マンドラコラは白ラコラより葉の切れ込みが少ない、猫調べ。

「これとこれがマンドラコラだと思うにゃん~、あとは白ラコラにゃん。あ、こっちはたぶん緑」

「さすが農家。白ラコラって攻撃してくる?」

「してくるけどダメージが出るような攻撃じゃないにゃんね。煩わしいだけにゃん」

「それなら白ラコラたちを起こして、マンドラコラが逃げるのを追いかける…?」

「にゃん~、出来れば友好的にいきたいにゃん」

「それもそうですわね」

白ラコラ相手なら、やれることはこれかなあ。というわけでまず『ピュリファイ』付き『ミスト』を撒いてみる。

「おっ」

ピルピルと震えながらロゼットが起き上がった。だんだんシャキッとしてくる。

あとは『液体肥料』だけど、手持ちはアルラウネに卸してしまって、今持ってない。うう、やはり手持ち全てを売り払ってしまうのはよくない。

「猫としたことが肥料の手持ちがないにゃん~!」

「『液体肥料』でいいなら少しあるよ~」

さすが大商人!

『液体肥料』を取り出すと、どっこいしょとばかりに白ラコラが土から出てくる。ワラワラしている。

「マンドラコラと緑ラコラは出てこないんだね~」

「緑ラコラは動かないにゃんよ~。代わりに歌うにゃん」

「歌う草…」

「サッサさんが悔しがりますわね」

はっ、そういう興味もあったか。楽師のサッサさんも人形連合のメンバーだが、今回は楽師関連のイベント中ということで来られなかったのだ。

今度緑ラコラの歌を撮影して送っておこう。

白ラコラたちが『液体肥料』に喜んでいる隙に、マンドラコラはそろそろと葉を伸ばし、ぴょんと飛び出して逃げていった。

「仲間を捨てて逃げるとはいい根性ですわ!」

「元々囮用なのかね~」

マンドラコラは大根サイズなので、足は全然速くない。エドさんがこっそり追いかける間に、猫は白ラコラに埋もれた枝を発見した。おお?

「トレントの挿し木、発見にゃん」

「『トレントの芽吹き枝』な」

たしかにアイテム名はそうです。

……はっ、レトの杖に使ってもらった『ベビートレントの若木』ってもしかして育成できたりした!?

いやいや、さすがに動く植物ばかりコレクションするのはよろしくない。でも『トレントの芽吹き枝』はありがたく懐にしまっちゃう。猫が持っていけばいいよってみんな言ってくれたし。

ちなみに『トレントの芽吹き枝』は、指揮杖らしい。普通の『トレントの枝』より性能が高いが、加工には耐えられないのであまり人気はない。一応、トレントのレアなんだって。拾う方は品質があまりよくない。なるほど、たしかに低品質だ。

枝を拾ったら、マンドラコラを追いかけるエドさんと合流。

「枝もあったにゃんよ~」

「うん。こっちも合流しそうだ」

エドさんが示した先には、大きな木にぴょんぴょんと体当たりしているマンドラコラがいる。白くて丸々とした、あれがシュガーマンドラコラなんだろうか? 猫が以前倒したやつはもうちょっと小さかった気がしたけど。

「ん~~、キャンディマンドラコラかな」

「えっ、あのレアなやつです!?」

「シュガーにしてはでかいってくらいしかわからないけどね~」

違う種類らしい。キャンディとかいうわりにサイズはかわいくないわがままボディだが。

「シュガーより使う魔法が多くてめんどくさいかな~」

「単体だと大したことはない」

「あっ、動きましたわ!」

体当たりを受けていた木がゴソゴソと動き、伸びていた枝が垂れ下がる。よしよしと慰めているような動き。

「フォレストトレントにしてはでかいな」

「上位種なんてあったっけ?」

「イベント専用かもしれませんわね」

慰められたマンドラコラが身振り手振りすると、大きな動く木――フォレストトレント?がこちらを向いた。

木には小さなウロが3つ開いており、それが崩れた顔のような配置になっている。

「ヒィ!」

ホラー好きだけど怖すぎるものは苦手なココロさんが声をあげた。どことなく楽しそうではあるが。

なかなか奇妙な顔のトレントはしばらくこちらを見ると、枝を上げてバイバイ、というように手を振った。そして大きな体を揺らして立ち去った。

周囲の木々にもトレントが混ざっていたらしく、ザッザッと立ち上がっては去っていく。

「争う気はない、て感じかな~?」

「トレントってアクティブではないですけど、プレイヤーから逃げたりもしないやつですよね?」

「ですわね。我関せずって雰囲気だったと存じますけれど」

「にゃん~?」

調査というからには、これが異変ってことになるのかな?

立ち去った後を調べると『枯れたトレントの枝』が拾えた。

「今度は枯れてるにゃん」

「これは見たことのないアイテム」

「持ち帰ってこの依頼は終わりだな」

肝心のトレントを追えなかったのかというと、目撃したのは特殊なイベント空間だったようで、戻ったらいなくなっていたのである。

一応「落下地点まで行くかどうか」を話し合ったけど、新アイテムも出たし十分異変じゃないか?ということで探索は切り上げて帰還。

アイテムをアルラウネに渡して、かくかくしかじか。

「あら、それはフォレストトレントに、王に成り上がるものが現れたのだわ」

フォレストトレントの王。

『鼠王国が出てきたと思ったら今度はトレント王国が誕生してしまう』

『群雄割拠の時代なのかもしれませんわね…』

『時は戦国にゃん!?』