軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11.地獄にございます

早速ドゥーアまでみんなを迎えに行き、合流した。

ティアラさんたちとはそこで別れる予定だったんだけど、合流したフーテンさんが「まずは猫ちゃんと行動して、アルラウネの村のフラグ立てておいた方がいいんじゃない?」といったので一緒に行動することに。

アルミハクさんは単独で来たので人形連合のPTへ。フーテンさんたち一行、猫PTとでアライアンスを組んだ。

さて迷いの森からアルラウネの村へ!と思ったのだが、ここで問題が発生。

「入れないみたいね~」

「にゃん~!」

なんらかのフラグ管理があるようで、迷いの森からの移動が出来なかったのである。GPSを渡しても無理だった。

「なら崖崩れから行かないとダメにゃんね」

そういうわけでドゥーアに『リターン』で戻って、一度伐採ギルドへ。何がクエストの起点になってるかわからないから、猫が行った通りの進路だ。

『採掘』持ちのエドさんがまず受付さんに話すと、崖崩れの最中だった。次にココロさんが話しかけると、今度は崖崩れから回復していた。

『ランクかね?』

『私は7です!』

『俺も。ランは?』

『1にゃん。でも1回目は崖崩れしてたにゃんよ~』

『ランダムか、2回話すと変わるとか?』

採掘ランクがふたりともお高い。生産で必要性があって『採掘』してるココロさんとエドさんのランクが同じって不思議な気がしたけど、納品しないと同じくらいになるのかな?

そして迷いの森へ向かうと、スマッシュゴートの大群に襲われた。猫ひとりのときより数が多い!

「抵抗せずに受ければいいんですわね!」

「無防備に受けるのも何か怖いわね」

「フーテンも前出ぇ」

「無理に出なくてもよくない!?」

ぎゃあぎゃあ言いつつ降ってくるスマッシュゴートを受け止める面々。び、びくともしない…!

「にゃん~!」

そして吹き飛ばされる猫。

更にフーテンさんは……

「た、耐えた!?」

「なんでそこびっくりしてるの!?」

HPバーがほとんど消えたように見えたが、崖から落ちることはなかった。

がしかし、猫が落ちたことを皮切りに、周辺にスマッシュゴートがドンドコ落ちてきて地面が削り落とされる。

そして起こされる崩落。

「スマッシュゴート大量過ぎ!」

「どうしても落としたい意欲を感じる!」

ガラガラとみんなで落ちていく。

落下中に周囲をスローモーションで眺める展開。

「にゃあ、あれが言ってた侵略してるトレントにゃん」

「にゃん~~??」

「あれ……、マウンテントレントちゃうで?」

「にゃん!?」

なんと。

「マウンテントレントは枯れ木のトレントですけれど、もっとこう、ゴーストっぽいですわね」

「幹の真ん中に大きい顔があって、ホラー感あるんだよね!」

怪談好きなココロさんが嬉しそうだ。

たしかに山羊を振り払っている枯れ木は、顔らしきものはついていない。枯れ木のような両腕を振り回す頭のない人間…とみたらホラーかもしれないが、そういう感じもしない、かなあ。

「でも見たことのないモンスターだ」

「似たようなモンスターを考えてるけど、強いて言えばヘルメットゴーレム…?」

「ああ! 頭投げるゴーレム!」

「たしかにあれの頭投げたあとに似てる、けどあんなに大きくないよ?」

「それな~~」

あーだこーだと話しているうちに着地。今回もトレントさんが受け止めてくれた。

「これはフォレストトレントやな」

「友好的、というか助けてくれることなんてあるのね」

バイバイ、と手を振って見送る。

アルミハクさんが全員のHPを回復してくれる。

「マウンテントレントは関係ないってわかったのは収穫だった」

「まだ敵の正体はわからないけど、ゴーレムかトレントの二択でいいんじゃないかな」

「次はどうするの?」

「コニャッコを捕まえるにゃん!」

あらかじめ大筋は話してある。

罠を仕掛けてコニャッコを捕まえカーバンクルニャッコを呼び寄せ、『万能薬』で治療。後をついていったらアルラウネの村へたどり着く。

一応、GPSがあるのでコニャッコを抜かしても村へは辿り着けそうだが、カーバンクルニャッコがなんらかのフラグの可能性もある。アルラウネの村までいって入れなかったら意味がないしね。

「箱罠か」

『罠』を持つエドさんが手伝ってくれたので、罠設置自体はすぐ終わった。しかし待ってもなかなかコニャッコが入ってこない。ちゃんと『ニャルコール』も持ってきたのだが。

「にゃん~?」

「2回目だと入らないのかな?」

「その可能性もあるにゃんね」

猫が入ってるアライアンスだから、コニャッコたちがもう近寄ってこないのかも?

猫を外してアライアンスを組み直してはどうか、と提案する前に、箱罠に動きがあった。

「ギュワーッ!!」

「かかった」

「ぎゅわー?」

なんか明らかに子猫の声ではなかったぞ??

「わ、わああ! なんという!」

箱罠の中から甲高い声がする。

……。

箱罠、子猫サイズなんだけどな。このサイズのしゃべるものってなに??

思わずエドさんと顔を見合わせる。

「なんということでありましょうか! このような野蛮な罠がまかり通るとは! この世は、この世はなんという理不尽の巣窟であることか!」

『えらい芝居がかったのがおるな』

『人でしょうか?』

『小人さん、は話しませんでしたものね』

たしかにアルテザのスプーキー・インプは会話は出来なかった。

会話が出来る小さいものは、箱罠の中でおいおいと泣いている。悲観的だなあ。いや、罠に取っ捕まったら悲観的になってもおかしくないか?

エドさんが箱罠をガシッと掴んで持ち上げると、中身が明らかになった。

「ねずみ?」

「てことはマルモ」

「でも服着てる」

「ペットのマルモか?」

「失礼なことを! 拙者を何と思っての狼藉か!」

「にゃあ、もしかして 地鼠族(ちねずみぞく) にゃん?」

「い、いかにも!」

びっくりした顔で、罠の中から小さなネズミが顔を上げた。ぽわぽわの金色の毛並みに、民族衣装だろうか、ちょっと和風にも見える上着を身に付けている。

猫を見上げて、目を大きく見開く。

「ニャッコ!!」

「ニャッコじゃないにゃん!」

「あああ~~もお~~! 次から次へとニャッコニャッコ!! この世はまっこと地獄にございますぅー!」

「聞いてないにゃんね?」

箱罠の中でじたばた暴れるので、ひとまず猫は離れていることにして、他のメンツにお任せする。

『地鼠族ってなんだっけ。風猫族の親戚?』

『ドゥーアに昔いた種族らしいにゃん、ミニチュアの主にゃんね』

『あのミニチュアか。たしかにサイズ感ぴったりではある』

『地人族がいた方がよかったかもしれませんね』

『バンザイ先生、今からでも呼ぶ?』

『一応、連絡とっておきますわね』

アライアンスチャットで話し合いつつ、ポユズさんとアルミハクさんがメインでいろいろ聞き出してくれた。どうやらルイネアには態度が柔らかいらしい。

『ルイネアが贔屓されるの、だいたい新しいクエやんな?』

『贔屓されるクエを全部集めると種族クエに行けるという噂があるんだ…』

そんな巡礼の旅みたいな。

猫は嫌がられているので、ちょっと離れたところで採取でもしている。暇な人々も一緒に採取した。『薬草』とか採れた。

『まず名前はクラノスケ』

『えらい和風な名前で来たな』

『うーん、たぶん時代劇なんだと思うよ』

ポユズさんとアルミハクさんが聞き出した話はこうである。

まずクラノスケたち地鼠族はドゥーアの地下坑道に都市を作って暮らしている。この坑道は鼠サイズなので人間が入ることは出来ないため、地人族に乗っ取られることはなかった。

『やっぱり乗っ取りだったにゃん?』

『クラノスケはそう言ってたよ』

暗い地下に押しやられた地鼠族には鬱憤がたまっていた。しかし地鼠族の王は今の現状をよしとしているため、地人族を追い出すことは出来ない。

そこで立ち上がったのが地鼠族の若様。若様は類いまれなる『 魔道傀儡(まどうくぐつ) 』の才能の持ち主で、ゴーレム『キラ』に股がり、「ドゥーアを壊してくる!」と旅立ってしまった。

『魔道傀儡!』

『地鼠族の若様??』

『キラとクラノスケ……』

『チュー臣蔵!?』

『待って情報が多すぎる』

『どういうことなの』

一時アライアンスチャットが大混乱したが、ひとまず最後まで話を聞くことに。

若様が飛び出していったことで、慌てたのは王の忠臣クラノスケである。若に何かあっては一大事!と飛び出してきたものの、肝心の若様の居場所がさっぱりわからない。

『でしょうね!』

『見守りGPSとかなさそうだしね~』

しかしある日、クラノスケは山の上にキラを見た。そこで、迷いの森から頂上を目指そうと試みた。

『ドゥーアの山の頂上って目指せたの!?』

『迷いの森から登る道はないですわね』

『登るといつの間にかドゥーアの都市へ入るから、そういうものだと思ってました』

『あれは背景なんだとばっかり』

猫もそういうもんだと思ってた…。ドゥーアがなまじ洞窟の街なもんだから、街が上まで続いているんだよ~的な背景なんだろうと。

まあ、そういう山なもんだから、迷いの森へ踏み込んだクラノスケは迷いに迷って深きへ至り、ニャッコに追われて逃げ惑っていたところ、ちょうど隠れられそうな場所があった。罠だった。今ココ!

『突っ込みどころが多すぎる』

『そうなんだよねえ…』

『魔道傀儡』については、『精霊傀儡』を完全に魔道具で成したものだろう。性能他いろいろについては今のところ不明なので、とりあえず横に置く。

『キラとクラノスケっていったらやっぱり時代劇思いついちゃうよね』

そう、有名時代劇のアレ。いや、猫もさわりしか知らないんだけども。

たしか『忠臣蔵』というやつだ。

めちゃくちゃ簡単にいうと、クラノスケの仕える若様タクミノカミがキラによって非業の死を遂げてしまったことで、クラノスケが47人の仲間を集めてキラの家へ討ち入りをし、キラを討ち取る物語である。

『47匹ネズミを集めるんか?』

『てか待って、キラと若様がコンビ組んでるのおかしくない?』

『どういうことなの』

ううむ、この情報だけではなにもわからない。

肝心のクラノスケは罠の中でキリキリしていて、これ以上詳しい話を聞くことは難しそうだ。

「ニャッコは大小さまざまに襲ってくるし! まったく! まったくもう!!」

地団駄を踏み怒っている。ぬいぐるみが怒ってるみたいでなかなかかわいい。

かわいいのだが、さてどうするか。

『とりあえず罠に閉じ込めっぱなしっちゅーのもなんやし、出したげたらええんちゃう?』

『それもそうね~~』

そして出した途端現れるカーバンクルニャッコ(大)。なるほどイベント。

「クロマルちゃんじゃないにゃ」

「状態:酩酊なのは聞いていた通りね。どうする? 回復させちゃう?」

「回復でいいと思います!」

ヤマビコさんにじゃれている間に投げつけられる酩酊回復薬『酔い醒まし』。そして撒き散らされるドロップ『ニャルコール』。

正気に戻ったはずのカーバンクルニャッコは、心なしかしょんぼりした様子だ。そしてヤマビコさんにゴロニャンとすりすりし始めた。

「なんや? 酒はやらんで」

ひとしきりスリスリした後、ちらちらとこちらを振り返りつつ森へ消えていく。

「後をついてきゃよさそうやな」

「辿り着けそうでよかったにゃん~」

そんなわけで一行は、新しい黒猫ちゃんにより無事アルラウネの村へ辿り着けたのだった。

そして始まるアルミハクさんの白ラコラたちのお見合いを、宇宙を見る目で見つめた…。

白ラコラを見ても何も違いがわからないのに、アルラウネは「こっちは美しいしこちらは凛々しい」「まるでラコラの王子ね!」などと褒め称えるのである。

ラコラの王子……。王には貫禄がたりなかったんだろうか。