軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13.地底王国

「トレント種は強敵が現れると進化して強くなろうとするのよ」

「その代わり個体数を一時的に減らしてしまうの。王のために命を捧げるのね」

「その後は王から小株が生まれて前より増えるのだけれど、今はきっと王のために数を減らしているのだわ」

王のためにトレントが枯れて『枯れたトレントの枝』になり、これを王になるトレントが取り込むことでパワーアップする仕組みらしい。自己犠牲!

『キングトレントは予想外やな』

『トレントの上位種っていうとナイトとかメイジとかはいるから、まあクイーンとかキングとかいても不思議ではない……のかな?』

『これってたぶん、あの若様のゴーレムと戦うために進化するってことですよね? そうなると我々はどちらと戦うことになるんでしょう』

『たぶんトレントと共同戦線になるんじゃないかな~?』

『でも若様は助けなきゃいけないにゃん?』

『それよねえ』

『調薬』や『農業』を教わってた組も合流して相談。

『ひとまずアルテザにいた3人に、キングトレントと地鼠族の情報を探してもらっていますわ』

『ある程度調べてもらったら、迎えにいって合流したいところなんですけど、我々の中に『罠』が使えるものがいなくて…』

『猫が行くにゃん!』

『助かります!』

ナマナマさんとバンザイさん、ショーユラさん、それからサッサさん、更に硝子連合のタレイアさんとエンジェルさんも合流だそうだ。情報収集の人手がいるので呼んでみたらしい。

『そういうことならこっちでも何人か、声かけてみようか?』

『お願いするにゃん~!』

アルミハクさんが農家神官にも声をかけてくれて、お暇してたノーカさん、タスクさんが合流することに。まずはドゥーアで情報収集に当たってもらうことになった。

『私たちもドゥーアに戻って情報収集した方がいいかな? アルラウネの村で出来ることがあまりなさそう』

『もう『調薬』は一通り教わったにゃん?』

『まだもう一段階あるみたい。でもこれは、後回しで構わないわ』

『にゃん~、それが必要な情報の可能性もあるから受けてしまってほしいにゃん』

『たしかにそうかもね~』

『調薬』講習が残ってるリーさんとポユズさん、『農業』を教わるヤマビコさんとアルミハクさんはさっきと同様、村に待機。

それからエドさんとフーテンさんも「森の中の方が得意」と森の探索に残ることに決まった。

それ以外のメンバーはいったん、ドゥーアへ戻って情報収集のやり直しだ。みんなGPSをもらっているから、アルラウネの村へは迷いの森から行ける。

そんなわけでドゥーアへ『リターン』。

みんなと待ち合わせて合流して、アライアンスへ召集した。

『よろしゅう~~』

『よろしくお願いします』

『イベントあざます! よろしくですー!』

『ようこそようこそ』

『よろしくにゃん~!』

賑やかになったところで、情報収集のチーム割り。これについてはわりとすぐ決まった。

猫が地鼠族の話が聞けたのは、レト連れだったからだろうと憶測され、マルモ持ちが主に地鼠族の情報収集班に。

バンザイさんは地人族なので、地人族の情報収集に。

残りはトレントと、他に異変がないかを探っていくことになった。

「うちのマルモが凶悪犯みたいな顔になっとる」

「うちもですわよ奥様…」

初心者の頃に召喚契約して以来、あまり構ってこなかったというナマナマさんとエンジェルさんのマルモは顔が大変渋い。好感度が低いとこんな感じになるんだね…。

対するタスクさんとノーカさんのマルモは穏やかな顔をしている。

「前に猫ちゃんがマルモをマイルームの庭に放ってるって話を聞いてから、家庭菜園でマルモを放つのが大流行してなー」

「そうだったにゃん!?」

「さすがに新たに契約するやつはいませんでしたが、持ってたやつはわりと関係改善しましたよ」

「進化は他のにしたいから止めてるけどな」

やはり進化先は『木登りマルモ』か『シティーマルモ』しか出ないそうだ。畑マルモとか出ないかな、とのこと。それは猫も気になる。

「にゃ、畑マルモといえば、『モンシラのタマゴ』孵化したにゃんよ」

「おお、そのチョウチョ気になってたんだよな!」

「思ったより全然小さいですよね」

タスクさんとエンジェルさん、ノーカさんは、孤児院でモンシガ退治した面子だ。ラモの進化について説明する。

「へえー! 受粉用にカンラ菜育てなくてもよくなるかも? 孵化させてみるわ」

「いいですね、農業補助はありがたいです」

「俺はやっぱり余らせそうだから、売るかな」

「あ、売るなら買う買う」

「いいのか? この場で買ってくれるならありがたいが」

「2匹育ててもいいし、誰かに売ってもいいしな」

農家ではないエンジェルさんから、タスクさんがタマゴを購入する。ちょっとの交渉で売買が成立。結構お高めだった。……猫、タレイアさんから『炭』でもらっちゃってよかったんだろうか。

ちょっと遠い目になっていると、気がついたエンジェルさんが笑った。

「タレは逆に金払ってでも押し付けたと思うから気にせんでいいよ」

「にゃん~…」

タマゴのことは、ノーカさんからユミーさんやアベルさんにも伝えておいてくれるそうなのでお任せした。みんなの分のモンシラも、農業特化に進化しそうだな。ラモのお仲間だ。

閑話休題。

マルモの、いや、地鼠族の情報収集である。班といってもぞろぞろみんなで行くよりは手分けした方がよさそう、ということでふたり1組に組分け。

猫はノーカさんとコンビ。エンジェルさんはタスクさんと。

余るナマナマさんはバンザイさんと合流することに。地人族と地鼠族の関係を探れるんじゃないかとのこと。

ノーカさんとふたり、肩にマルモを乗せての情報収集だ。ルイの手綱を引いてくれる。背が高いのでルイに乗ってもノーカさんの方が頭が上だ。

「まずはどこへ行きます?」

「猫が行ったのは行政施設と運搬、採掘、冒険者ギルドくらいにゃ。そこ以外の方がいいにゃん?」

「そこで地鼠族について教わったんですよね? それなら念のためもう一回、同じところ回ってみましょうか」

「了解にゃん~」

猫たちは『鍛冶』は持っていないので、ミニチュア家具が多いという工房の奥などには入れない。そのため、ミニチュアがあるとわかっている図書室と、クエストを拾ったギルドを回ることにした。

まずは近場から、ということで冒険者ギルドへ。

まずは迷いの森へ行ったときの「森ピクシーの討伐」依頼を報告。

ついでに受付さんに聞く。

「惑わしの深い森にまつわる依頼はないにゃん?」

「深い森へ行かれたんですか!?」

「にゃん?」

予想外に驚かれた。

「いえ、惑わしの深い森は、招かれる森なんです。妖精に親しいものが案内される、などとも言われていまして」

「そうだったにゃん? 猫、崖崩れにあって落ちて迷い込んだにゃんよ」

「崖崩れに!? あ、ああ、そうか、マレビトでいらっしゃいましたね」

「そうにゃん。猫たち頑丈にゃん~」

「事故で迷い込まれたのですね。それは大変だったでしょう。惑いの森の奥には、凶悪な妖精植物たちが跋扈していると噂されていますし」

「凶悪な妖精植物たち」

アルラウネとマンドラコラのことだろうか。アルラウネのこと、強化してきちゃった気がするな…。

とりあえず惑わしの深い森での依頼はなさそう、と思ったら出てきた。

「調査依頼にゃんね」

「はい。脅威がないかの確認になります」

「脅威」

『トレントの王は脅威ですかね?』

『ゴーレムと地鼠族の侵略?も悩ましいところにゃんね?』

『とりあえずトレントの王については報告しておきますか』

『了解にゃん~』

トレントの王が成り上がるらしい、と報告すると受付さんが立ち上がった。

「とっ、トレントの王が!?」

「なんだって!?」

カウンターの向こうがざわざわと。騒ぎになってしまうやつ?とちょっとびっくりしたけど、いつの間にかイベント空間に入っていて他のプレイヤーの姿は消えている。

『レイドになるイベントじゃなさそうですね』

『にゃあ、そういうことにゃんね』

妖精に親しいものが招かれる、とかいうし、人を大きく巻き込むタイプのクエストではなかったのかもしれない。…まあいいか!

「もし迷いの森まで出てくるのだとしたら、数百年はなかったことです」

「そんなに」

「無為に成り上がるわけじゃないみたいですよ」

対策隊とか出そうだったので、ゴーレムが現れた話も切り出す。

「なんと、地鼠族のゴーレムですか…。最近やけに崖崩れが頻発するとは思っていたのです」

むむむ、と受付さんは唸り声をあげて顎を擦った。

「実は地鼠族とは近頃、交流が途絶えているのです。古い坑道が見つかったことで、どこかの道が閉ざされたのではないかと噂されていたのです。しかし何分それがどこなのか我々にはわからず…」

「にゃあ、地鼠族との交流は、それまでは続いてたにゃん?」

昔、そういう種族がいたんだよ~みたいな話じゃなかったっけ?

「余所の方にはあまり詳細にはお話ししないのです。その、捕まえて売ろうとする方なども昔、いまして……」

「にゃん~…」

たしかに喋るぬいぐるみのような印象だったし、いろいろ狙われちゃったりもするのか。

「地鼠族は魔道傀儡の使い手です。かつて地底王国を築いた彼らの技術は素晴らしいものでした。それだけに彼らのゴーレムを相手取るとなると…、それはたしかにトレントが成り上がるのもわかります」

「そんなに」

「地底王国って、地人族じゃなくて地鼠族が築いたものだったんです?」

「ドゥーアの地底には地鼠族が、ビオパールの地底には地人族が築き、古くはふたつの王国が蜘蛛の巣のように地下で繋がっていたといいます」

「今は繋がってないにゃん?」

「地人族だけが知る道があるとはいいますが、多くは採掘によって道が閉ざされてしまったとか…」

「にゃあ……」

採掘によって崩れたことが原因で地下へ追いやられたのなら、侵略をされて乗っ取られた、ていうのも地鼠族にとっては間違いじゃないのかも?

それにしては、王様は温厚派みたいなのがちょっと気になるけども。

『道が閉ざされてしまったのなら、ドゥーアに取り残されてる地鼠族もいるかもしれないにゃんね』

『そうですね、ちょっと探してみましょうか。……の前にちょっと話が進みすぎてる気もしますし、情報のすりあわせもしときましょう』

受付さんたちはゴーレムとトレントの王について対策会議をするということで、イベントは一段落。

イベント空間から、通常の冒険者ギルドへ戻ってくる。

『……というわけにゃん~』

『なるほど、招かれる森ね~、道理でGPSだけでは移動できないわけだ』

『こっちはやっぱりフォレストトレントの生息数が減ってるって話が出てたな。これは掲示板でも、迷いの森にアプデが入ったんじゃ?て話題になってる』

『地人族からは特にめぼしい情報は得られませんでしたな。印象からすると、地鼠族とは微妙な関係のようでしたぞ。それも地底王国のことを思えば納得でしたが』

はてさて、どう攻めたものか。